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元大企業のエンジニアが始めた、 シャルキュトリー専門店「Petit ACCUEIL」の話

いつも画面越しに見ているネットショップのむこうには、想いのつまった“モノ”とそれを届ける“”たちがいます。このコーナーでは、知られざる商品開発ストーリーやお店の裏側に迫る現場レポートをお届けします。
今回ご紹介するショップ
「食材」と「品質」にこだわったシャルキュトリーのお店「Petit ACCUEIL(プティアクイーユ)」。世界で名高い大手企業のエンジニアを務めた店長が営む、このお店はまさにエンジニアならではの徹底ぶりが伺えます。今回は、そんな店長の佐々 剛さんに話をお伺いしました。

エンジニアならではの徹底した品質管理で、最高のおもてなしを

さっそくですが、「シャルキュトリー」とは何でしょうか?

豚肉や鶏をつかったソーセージ、ハム、テリーヌ、パテなどの加工食品のことです。

「Petit ACCUEIL」のネットショップ

食品関連のお仕事をずっとされていたのですか?

実は、SONYで電気とソフト両方のエンジニアをしていました。
アクイーユの前身は、もともと娘夫婦が盛岡で営んでいたワインが自慢のレストラン。ですが彼女たちがフランスでお店を開業することになりまして、それなら盛岡のお店を私が手伝おうかなと。そこで2012年に会社を辞めて翌年1月から働きはじめました。

すごいスピード感!

もちろん、全く畑違いのチャレンジだったので、最初はとても苦労しました。

商品へのこだわりについて教えてください。

おいしさはもちろん「安心」にこだわっています。
ですから、うちでは合成保存料は最初から入れていません。その代わり昔からソーセージ作りなどに使われている岩塩の成分を用いて、菌の増殖抑制に生かしています。

「無添加の商品が欲しい」という世の中の要望に応えたい気持ちもあります。
しかし冷蔵ですと、岩塩の成分で菌の増殖を抑えなければ真空パックにしても10日も持ちません。そのため作った直後に冷凍せざるを得ないんですが、冷凍してしまうと食味がどうしても落ちてしまう。無添加をとるか食味をとるか、といったジレンマは常に抱えています。これについては時間をかけて解決しようと思っていますが。

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素材はどんなものを使用しているのですか?

基本的には岩手県産の厳選素材を使っています。
岩手には希少価値の高い「短角牛」や、食鳥の女王として知られる「ほろほろ鶏」をはじめとしたすばらしい素材がたくさんありますからね。フランス産のものも一部ありますが、どれもとっておきの素材を使っています。

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包装方法にもこだわりがあるそうですね。

ネットショップで販売しているものについては、真空パックと瓶を使用しています。パテに似た肉料理のリエットやコンビーフなども瓶に詰められたらかわいいなと思ったのですが、品質を優先した結果、あえて真空パックを選びました。

品質向上のため、瓶で提供しているのはレバーだけ。
レバーは詰めてから加熱しているので問題ありませんが、コンビーフなどは加工済みのものを詰めることになるので、衛生面で問題が多かったんです。

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そういった知識を身につけるのは大変でしたか?

エンジニアだったので、科学とか食品とかの知識を身につけることは全然苦ではなかったです。むしろどうしたらよりよいものを作れるか?と試行錯誤を凝らす時間は、実験をしているみたいで楽しくて好きでした。

ちなみに、ネットショップがとてもオシャレですが、これはどなたが作ったのですか?

デザインは息子とその友達が作りました。サイト内の写真もすべて息子が撮っています。私からは明確な指示は特にせず「すごくシンプルにしてくれ」とだけお願いしました。

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メディア掲載が相次ぐ注目度の高さ

何かメディアに掲載されたことはありますか?

実は「BRUTUS」(マガジンハウス)という雑誌のお取り寄せグランプリに掲載されまして、《パンの友》ジャンルでうちの「短角牛のコンビーフ」がグランプリをいただきました。

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はっきりした経路は覚えてないのですが、東京のフードコーディネーターの方に商品を送ったらとても気に入っていただいて、そのうち気がついたら掲載されていました。つい最近は「女性自身」(光文社)や「ELLE a table」(ハースト婦人画報社)などにも掲載され、私たちにとって大きな財産になっています。
 

実験心で、ほっとする時間を全国に届けたい

最後に、佐々さんにとって「プティ・アクイーユ」とは?

店舗を持たないシャルキュトリー専門店は成り立つのか?」という実験です。
遊びか?と突っ込まれそうですけど(笑)、それが正直な今の気持ちです。店舗をもつと商圏が狭くなり意識がローカル向きになる。それならいっそ店舗を持たず、全国のおいしいものを求める人たちとダイレクトにつながろうと考えました。
そのため量は追わずで勝負しています。「前回ご満足いただいた」という実感があるので、リピーターの方からのご注文が一番うれしいです。これからも、宅飲みで「ほっとする」時間を提供したいと思っています。

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