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海外のワインや全国各地の日本酒など、ネットショップではさまざまなお酒が販売されています。「家飲み」の需要も増えており、ネットショップでお酒を売りたいと考えている方もいるでしょう。
でも実はネットショップでお酒を販売するためには、税務署で申請をして「通信販売酒類小売業免許」の取得が必要です。そこでこの記事では、通信販売酒類小売業免許とはどのようなものなのか、取得方法や必要書類などもあわせて解説します。
![ツクルくん](https://s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/calamel-wordpress/contents/uploads/2020/08/18145944/tukurukun-honban.jpeg)
ネットショップでお酒を販売するには免許がいるんだね。もともとお店でお酒を売っていても必要なものなの?
![カラミちゃん](https://s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/calamel-wordpress/contents/uploads/2019/02/28171910/neko.png)
はい。ネットショップでお酒を販売するには、「通信販売酒類小売業免許」が必要ですので、お店で販売をしている方も改めて免許を取り直さなければなりません。
目次
ネットショップでのお酒販売は「通信販売酒類小売業免許」を取ろう
では早速、ネットショップで酒類を販売するのに必要な「通信販売酒類小売業免許」について詳しく見ていきます。なお、お酒の販売に関する免許には、ほかにも「一般酒類小売業免許」と「特殊酒類小売業免許」もありますので、知識として知っておきましょう。
通信販売酒類小売業免許とは?
「通信販売酒類小売業免許」は、2都道府県以上を対象に、インターネットやカタログなど通じてお酒を販売するための免許です。つまり、「ネットショップで酒類を販売するための免許」といえます。
取得するには、事務所がある場所を管轄している税務署で申請を行いましょう。また、以下のような特徴があります。
- ・お酒の店頭販売などはできない
- ・1都道府県の消費者のみを対象とした販売はできない
- ・ほかの酒類販売業者へ販売できない
- ・販売できるお酒が限られている
通信販売酒類小売業免許はお酒をネットショップで販売するための免許ですので、店頭で販売を行う場合は、また別の酒類の免許を取る必要があります。なお、残り2つの酒類の免許に関しても下記で簡単にご説明します。
「一般酒類小売業免許」とは?
酒屋やコンビニエンスストアなどの店舗を構え、個人の消費者や飲食店などにお酒を販売するための免許です。
実はこの一般酒類小売業免許でも、ネットショップや通信販売を利用してお酒を販売することはできます。
ただ、対象は店舗がある場所と同一の都道府県内のみのため、全国を対象にお酒を販売するネットショップを運営するには、やはり通信販売酒類小売業免許が必要です。
「特殊酒類小売業免許」とは?
「特殊酒類小売業免許」は社内で従業員に対して社内販売するなど、特殊な場合に必要な免許です。そのため、ほとんど利用されることはないでしょう。
下記に3種類の酒類販売免許についてまとめましたので、ご覧ください。
名称 | 概要 | 販売対象 | 扱える酒類の制限 |
通信販売酒類小売業免許 | インターネットやカタログを通じてお酒を販売するための免許 | 2都道府県以上 (全国) |
あり |
一般酒類小売業免許 | 販売場所(店舗)を設けて、お酒を販売するための免許 | 同一都道府県内 | 原則なし |
特殊酒類小売業免許 | 社内販売など特殊な場合に必要な免許 | 会社役員や従業員など | ー |
なお、酒類を販売している同業者や酒類の製造者にお酒を販売する(卸売)場合は別途、酒類卸業免許が必要です。
通信販売酒類小売業免許で販売できる酒類
先ほど、ネットショップで販売できるお酒の酒類が限られているとお伝えしましたが、国内産のお酒か、外国産のお酒なのかによっても売ることができる酒類が異なります。
国産の酒類の場合
国産の酒類をネットショップで販売したい場合、酒類の品目ごとの販売量が年間で3,000キロリットル未満の酒類製造者(蔵元)が製造・販売している酒類に限られます。
どういうことかというと、例えばA社という蔵元(酒類製造者)の日本酒を仕入れてネットショップで販売しようとします。その際、A社が年間で出荷する日本酒の量が3,000キロリットル未満ではないと、A社のお酒をネットショップで販売できません。
さらに、「酒類の品目ごと」とあるため、仕入れて売ろうとしているのが日本酒だったとしても、A社が造るすべての酒類(焼酎やビールなど)の出荷量もそれぞれ年間で3,000キロリットル未満である必要があります。
A社の日本酒の年間出荷量が3,000キロリットル未満でも、ビールの年間の出荷量が5,000キロリットルであった場合、A社の日本酒を仕入れてネットショップで売ることはできないのです。
外国産の酒類の場合
ワインやウイスキーなどのお酒を海外から輸入してネットショップで販売する場合は、特に酒類の制限はありません。
ただし、輸入する際に食品衛生法に基づいた審査があったり、日本語で輸入者の名称や食品添加物などを表示する必要があったりなど、輸入したものを販売することに対してさまざまな規則がありますので注意しましょう。
通信販売酒類小売業免許を取得するための4つの要件
通信販売酒類小売業免許は、申請すれば誰でも取得できるという訳ではなく、以下の4つの要件(必要な条件)を満たしている必要があります。
この要件があるのは、販売者が問題ないかを確認するためで、過去に酒類の販売許可を取り消されていないかや、ネットショップの経営状態は問題ないかなどをチェックされます。
では4つの要件について、概要を説明します。
1.人的要件 |
免許の申請者が、過去に酒類の製造や販売に関する免許の取り消しを受けたことがないかや、国税や地方税の滞納処分を受けたことがないかなど、販売者に問題がないかの確認。 |
2.場所的要件 |
申請書に記載する販売所(実際の業務を行うネットショップの事務所など)が、酒類の製造所や飲食店などと同じ場所ではないことが必要。 |
3.経営基礎要件 |
免許の申請者(法人であれば役員)が過去1年間に銀行取引の停止処分を受けていないか、販売管理体制がきちんと構築できているかなど、営業するための資金力・知識のチェック。 |
4.需給調整要件 |
通信販売酒類小売業免許で販売が可能な酒類の定義。
※販売できる酒類でご説明した「国内産の場合、酒類の品目ごとの販売量が年間で3,000キロリットル未満の酒類製造者(蔵元)が製造・販売している酒類」のこと
|
上記の要件を満たしていれば、通信販売酒類小売業免許を取得することができるでしょう。
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通信販売酒類小売業免許の取得方法・必要書類・期間や費用とは?
冒頭でお伝えしたように、通信販売酒類小売業免許は税務署で申請する必要があります。以下が、通信販売酒類小売業免許を取得する大まかな流れです。
それでは、1つずつ確認していきましょう。
1.販売する酒類の決定・蔵元探し
「とりあえず免許だけ取得して、どういうお酒を売るかは後で決めよう」と思っている方もいるかもしれませんが、それはできません。なぜなら申請時に、「販売する酒類についての説明書」も一緒に提出する必要があるからです。
さらに販売するのが国産のお酒の場合、蔵元からの証明書(酒類品目ごとの年間出荷量が3,000キロ未満である証明)を一緒に提出する必要もあります。
蔵元を探して販売の許可を得るには時間がかかるため、早めに探し始めましょう。
2.必要書類の準備
通信販売酒類小売業免許の申請に必要な書類は、多岐にわたります。
申請に関する書類でいえば、倉庫や作業場となる建物の構造を示す図や収支見込みの資料。添付書類として住民票や納税証明書、先ほどお伝えした蔵元の証明書など何十枚にもなります。
そのため、分からない点は所轄の税務署の担当の方に相談しましょう。
なお、必要書類の詳細や見本は国税庁のホームページに掲載されている「通信販売酒類小売業免許の手引き」から確認できます。
3.所轄の税務署かオンラインで申請
必要な書類がそろったら、ネットショップの住所を管轄している税務署に提出します。税務署の開庁時間は基本的に平日(月~金)の午前8時~午後5時までです。
平日に税務署へ行けない方は、国税電子申告・納税システム「e-Tax」でも申請が可能ですが、一部書類に限られます(そのほかの書類は郵送などにより送付)。
また、e-Taxを利用するためには、まずはe-Taxの利用申請が必要になりますので、所轄の税務署へ持ち込んだほうが、結果として早く提出できる可能性が高いでしょう。
4.審査・結果の通知
申請をしてから審査が行われ、結果が通知されるまではおおよそ2カ月ほどですが、同じ時期に申請する人が多いと、2カ月以上かかる場合もあります。また場合によっては、申請者が税務署へ出向く必要があったり、現地確認が行われたりすることもあるでしょう。
結果は書面で通知され、免許付与の許可が下りなかった場合でもその旨の通知が来ます。
5.免許の取得(費用の納付)
免許が許可されたら、税務署へ行って免許を受け取りましょう。その際、登録免許税として3万円の費用がかかります。
なお、一般酒類小売業免許等の条件の緩和を受ける場合は、登録免許税を納付しなくてよい場合もあります。
ネットショップで酒類を販売する際の注意点
通信販売酒類小売業免許を取得したら、ネットショップで酒類が販売できるようになりますが、「酒税法」や「酒類業組合法」に基づいたさまざまな義務がありますので、きちんと果たさなければなりません。
その義務の中でも、販売する際にかかわってくる大切な義務が「表示基準の遵守」です。
未成年の飲酒を防止するため、表示基準を遵守する
酒類を販売する際の表示基準は、正確には「未成年者の飲酒防止に関する表示基準」といい、その名の通り未成年者の飲酒を防止するための注意書きのことです。
ネットショップでお酒を販売する際は、TOPページの目立つ部分や申込み画面、納品書などに「未成年者の飲酒は法律で禁止されています」「未成年者に酒類は販売していません」と明記しましょう。
この表示を行わないと、罰金や免許取り消しの対象となる恐れがあります。
カラーミーショップでお酒を販売するには?
カラーミーショップでお酒を販売したい方に向けて、マニュアルをご用意しておりますのでぜひご一読ください。
また、カラーミーショップでは購入時に年齢確認を行うページの設定ができます。
年齢確認ページの設定はこちらのマニュアルでご確認いただくか、下記の動画でも設定方法を解説していますので、ぜひご覧ください。
※上記の年齢制限の設定は、フリープランには対応しておりませんので、フリープランをご利用中の方は、顧客情報を入力するページで「20歳以上である」ことをチェックする項目を作成していただく必要がございます。詳しくはこちらのマニュアルでご紹介しておりますのでご確認ください。
通信販売酒類小売業免許を持たずにお酒を販売した場合
もし、通信販売酒類小売業免許もないのにネットショップでお酒を販売してしまった場合、酒税法により、懲役1年または50万円以下の罰金が科せられる可能性があります。
さらに、不正行為などがあった場合には免許を取消されることもありますので、必ず免許を取得して酒類の販売を行いましょう。
まとめ:お酒でネット販売・開業するためのポイントはこの3つ
今回は、ネットショップでお酒を販売するための「通信販売酒類小売業免許」について解説しました。ポイントは以下になります。
- ・ネットショップでお酒を販売するには税務署で「通信販売酒類小売業免許」を取得する
- ・ネットショップで販売できる国内産のお酒には制限がある
- ・通信販売酒類小売業免許を取得した後も、表示基準の遵守など守るべきルールがある
なお、今回お伝えした内容は、「通信販売酒類小売業免許の手引き」に書かれていますでの、ぜひ詳細をご確認ください。
よくある質問
「通信販売酒類小売業免許」という免許が必要です。実店舗で酒屋を開業している場合も、ネットで販売を開始する際には税務署で申請して取得が必須です。
また、取得するためにはある程度の要件を満たしている必要があります。取得するための要件はこちらの章で解説しています。
通常、申請してから免許を取得するまで約2カ月といわれています。ただし、申請が混雑している場合は2カ月以上かかることもありますので、余裕をもって申請しましょう。
申請手順や機関についてこちらの章で解説していますので、ぜひご一読ください。