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モニターテストからInstagram集客まで、制作会社の知見を生かして急成長! 離乳食のお店「mogcook」

いつも画面越しに見ているネットショップのむこうには、想いのつまった“モノ”とそれを届ける“”たちがいます。このコーナーでは、知られざる商品開発ストーリーやお店の裏側に迫る現場レポートをお届けします。
今回ご紹介するショップ
三重県・紀北町から、新鮮な旬のお魚の離乳食をお届けしているネットショップ「mogcook(モグック)」さん。カラーミーショップ大賞2016 では、充実したコンテンツ配信と優れたSNS活用が評価され「新人賞」を見事獲得されました。今回は運営元である株式会社ディーグリーンの企画営業担当・立花 圭さん(写真左)に、ショップ開店の背景やSNSの活用方法、お客さまとの信頼関係の築き方について詳しく伺いました。

制作会社がスタートした新規事業は、なんと離乳食の通販!

「mogcook」運営元のディーグリーンさんは、クリエイティブ事業がメインとお聞きしました。

はい。私たちの会社は地元・三重県を中心にWebサイトやDTPを請け負う制作会社でして、お客さまのネットショップや商品パッケージのデザインを手がけてはいますが、自社で商品開発や販売などに取り組んだことは、それまでほとんどありませんでした。

ではどういった経緯で離乳食の通販を…?

あるとき知人から「地元の魚を使った離乳食の定期便をやったらおもしろいのでは?」と企画の相談を受けたんです。以前から会社が培ってきた知識・経験を試すための「実験場」としてネットショップを運営することを検討していたこともあり、すぐに新しい事業の立ち上げが決定しました。そして…当時入社してすぐの私がその担当になったんです。

ええっ。それは、なんとも急な展開ですね!

そうなんです! 当時はWebの知識も全くないうえ、ネットショップの運営経験もないといった状況でしたから。ですがこの企画自体にとても魅力を感じたので「やります!」と勢いよく返事をしてしまいました。(笑)

なるほど。会社としてはもちろん、立花さんにとってもゼロからのスタートだったのですね。

じっくりとテストを重ねながら、戦略設計を着実に推進!

最初に取り組んだことは何でしたか?

まずは1年間、モニター300名を全国から集めてテストマーケティングを実施しました。実際に需要があるのか?どういった反応をいただけるのか?といったところを検証しつつ、LPの改善、リスティング/SNS広告、さらに配送業者とのやり取りなども勉強していきましたね。

リアルな声を参考に、 着実に準備をされてきたんですね。

はい! 本格的にショップを立ち上げる前にリアルな声をもらいながら、いろいろな施策を試すことができたのは非常によかったと思っています。テストマーケティングのモニターがそのまま顧客になってもらったことも、初期の顧客確保という点で有効でしたね。

なるほど、そういったメリットもあるんですね。開店はいつ頃されたんですか?

研究の末ネットショップを立ち上げたのは、2014年6月でした。開店後数ヶ月で、カスタマーサポート専任スタッフ、PR・広報専任スタッフをそれぞれ雇用して、インターネットマーケティングのコンサルティングもお願いしました。とにかく常に勉強しながら事業を走らせてきましたね。

カラーミーショップを選んでくださったのは、何か理由があるんですか。

実は少し前まで別のシステムを導入していたのですが、そのシステムでは「カゴ落ち(商品をカートに入れたのに買い物を中断してしまうこと)」が多かったので、カラーミーショップに引っ越してきたんです。引っ越してみると、デザインのカスタマイズ性が高い面でもカラーミーは非常に魅力的でしたね。アクセス解析や売上分析の機能も使いやすいので、とても重宝しています。

ありがとうございます! ネットショップ制作の段階で特に意識していたことなどありますか?

そうですね、まずネットショップの導線設計は今でも試行錯誤しながら続けているところです。全体の世界観を統一するために、ページの色やトーン、フォントのルールなどはあらかじめある程度決めておきました。

さすが、制作会社さんです。マーケティング面での工夫は何かありますか?

はい。赤ちゃんが食べる食材を通販で定期購入するというのは、ターゲットである子育て中の女性にとって、非常にハードルの高い選択なので、まずは広告で認知度を高め、お試し商品を手にとってもらい、定期サービスの申し込みへ引き上げる、という手法をとっています。

なるほど。具体的にはどのような手法をとられましたか?

具体的にはGoogle AdWords、Yahoo!プロモーション広告や、Facebook・TwitterなどSNSでの広告出稿ですね。それぞれに出稿して、その効果を計測しました。それと、お試し商品購入を1件獲得するためのコンバージョン単価にも着目しています。「どうすれば少しでも単価が安くなるか?」と考えてABテストを繰り返した結果、サービス開始当初は2,500円程度だったCPAも、現在は780円程度まで下げることができました。

テストと細かな分析が実を結びましたね。非常に勉強になります。

Instagramのフォロワーが急増! 気になる投稿内容は?

mogcookさんのInstagramはフォロワー数が6000人を超えていますね。

ターゲットとなる方たちが日常的にどんなメディアを見ているのか考えた結果、Instagramを最も見ていると考えて、SNSの中でも特に更新に注力するようになりました。

どんな内容を投稿されているんですか。

離乳食レシピの画像やイベント情報、サービス情報を、ハッシュタグとともに毎日投稿しています。また、こちらからターゲットとなりそうなユーザーを積極的にフォローし、地道にフォロワーを獲得していきました。開始から半年でなんとか1,000フォロワーを獲得し、そこからはフォロワー数が順調に伸びていきました。

地道な努力の積み重ねが功を奏したんですね。実際に売り上げにも貢献している感触はありますか?

はい! 受注の際にとっているアンケートでも、Instagramを見てサービスを知ったと答えてくださる方は多いので、重要なメディアとして位置づけています。

ターゲットと近い属性のユーザーにアプローチしやすい点で、やはりInstagramは非常に有効なんですね。

毎月届くことが少しでも楽しみになる工夫と接客を

写真を拝見していると商品だけでなくかわいい食器や盛りつけなどにも心が奪われます。こうした「演出」にも、やはりこだわっていらっしゃるのでしょうか?

はい、これは弊社の社長がよく言うことなのですが、私たちはお客さまの心がキラキラするようなサービスを届けているので、自分たちも常にキラキラすることを意識しています。

これは配送の段階でも同じです。お魚だけが毎月届いてもお客さまはいつか飽きてしまいますから、毎月届くことが少しでも楽しみになってもらえるような仕掛けができないかと、日々考えて実行しています。これまでもサプライズで誕生日プレゼントを入れたり、定期購入終了のお客さまにはおまけの商品をつけたりして、喜んでいただきました。

すごい! ただ定期的に届くよりもずっと親しみが沸きますし、これなら喜んでもらえる以上に信頼していただけそうです。

離乳食って、生まれたばかりの宝物みたいな赤ちゃんが口にするものでしょう。これからの一生を左右する味覚形成期に、mogcookを選んでくれている。私たちはこのことを強く自覚して、お客さまの信頼を壊すようなことがないよう常に心がけています。スタッフもこの部分はとても大事に考えているので、お電話での問い合わせなどにも非常に丁寧に対応してくれています。

とはいえ旬のお魚を扱っていると不測の事態が発生することもありますよね? たとえば予定したとおりにお魚が獲れなかった、ですとか。

注文に対して魚が足りないという困った事態は、実際よく発生しますね。その際、全体の商品ボリュームを変えず、漁獲の少ない魚種は少ないまま、他の魚を増やして対応しています。

個人的なイメージですが、ECサイトを運営していると、どうしても販売商品の規定サイズ・数量にとらわれがちです。ですが、私たちのサービスが持つ「旬」という大きなセールスポイントを考えれば、今のこうしたやり方も間違ってはいないのかなと考えています。幸いなことに、クレームをいただいたこともありません。

サービスの特性・魅力を余さず伝えるための情報設計とリアルな活動

ネットショップを運営する中で、特に苦労されていることなどありますか?

今でも苦労しているのは、サービスの特性をどうすればわかりやすく説明できるか?という部分です。「子どもの成長に併せて魚の種類を選べる」「定期配送で届く」とか。他のショップさんを参考にしながら、商品名や画像、説明の仕方やレイアウトなどを今までにも数回変えてきたのですが、未だ「これだ」というところまでたどり着いてはいません。このわかりづらさが原因で、せっかくサイトに来ても商品を買わずに離脱する方もまだまだ少なくないと思っています。

情報設計面での改善の余地が、まだまだありそうですね。

はい。今後は自分たちのサービスを今一度整理して、サイト上に落とし込んでいく作業を早く行っていきたいと考えています。またサイトのコンテンツが増えるに伴い、デザインの統一感が失われて少しずつゴチャゴチャしてきてしまうので、そういった部分でもユーザー目線に立ち、改善を進めていきたいと思います。

あとは説明がむずかしいというところで、ネットだけでなく展示会や自社開催イベントなどリアルの場にもなるべく出ていくことで、お客さまの声を拾い上げ、どんどんサービスを体験していただいています。

先ほども言ったとおり、名前も知らないブランドの離乳食をいきなり通販で買うのはハードルが高いので、まずはコストがかかっても一度こちらからコンタクトポイントをリアルの場で作り、実際に試食してもらうようにしています。もちろんすぐに効果が出ることは少ないですが、続けているうちに徐々に口コミで顧客を獲得できるようになりました。

離乳食の「その前・その後」へ ライフイベントに合わせた事業拡張

離乳食事業において、何か目標にされている数字や指標はあるんでしょうか。

やはり売上は重要な指標のひとつと考えています。私たちのサービスでは、月間の売上目標を前月の105%と定めて進めていますね。簡単な目標ではないので達成できない月もありますが、頑張れば手に届くかも!という緊張感は常にあります。それを3年続けた場合、今の売上の5.5倍に達している予想なので、3年後には売上5.5倍を目指したいです。

5.5倍を達成するためにも、今後チャレンジしたい施策などありましたら教えてください。

今までは離乳食を中心にサービスを展開してきましたが、立ち上げ期にサービスを利用してくださったお子さんはもう3歳くらいになる計算です。ですから、すでに離乳食を卒業された子どもも対象とした幼児用のサービスの強化にも努めていきたいです。

離乳食の「その後」まで事業を拡張していく。

そうですね。離乳食の「その前」にも可能性を感じています。プレママの食に対する関心の高さというのもサービスを始めてみて強く感じたので、プレママ対象の商品やサービスも展開していきたいですね。

「お祝い用に商品を買いたい」という声が近頃増えてきたので出産祝い用の商品をつくって販売したのですが、子どもと食に関するライフイベントに対する需要もおもしろいですね。特に「お食い初め」なんかおもしろいのでは?と考えています。

子どもに関するライフイベント。着眼点がユニークです。

そうなんです。これまでは生産キャパが間に合わず実現できていませんでしたが、お食い初め用の鮮魚の販売や離乳食用の魚の予約チケットなど、子どもの成長イベントにからめた新しいサービス展開は、考えるだけでワクワクしてきます!

今後の展開がますます楽しみになりました。今日はありがとうございました!

※ このインタビューは、2016年にカラーミーショップで公開したインタビューを再編集したものです。