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嘘なく“心から好きなもの”がセレクト基準。天気のように変化する「SUNNY CLOUDY RAINY」の話

いつも画面越しに見ているネットショップのむこうには、想いのつまった“モノ”とそれを届ける“”たちがいます。このコーナーでは、知られざる商品開発ストーリーやお店の裏側に迫る現場レポートをお届けします。
今回ご紹介するショップ
東京・蔵前にあるセレクトショップ「SUNNY CLOUDY RAINY(サニークラウディーレイニー)」さん。“天気のように変化のあるお店”をコンセプトに愛情をもって選びぬかれたファッション・生活雑貨が並びます。今回は店長の秋山香奈子さんに、お店のこれまでと未来についてお話を伺いました。

蔵前の問屋さんとオフィスのなかでもひときわ目を引く、おしゃれなビルですね!中に入るとすごく広くて驚きました。

ありがとうございます。3面に広がった窓からたっぷり自然光が入るし柱もないので、空間をゆったりと使えて、すごく気に入ってるんです。

店長の秋山香奈子さん

開店前に想定していた広さよりもずっと広かったんですけど、足を踏み入れた瞬間「ここでやりたい!」って、即決でした!

蔵前でお店を探していたのは理由があるんですか?

最初は清澄白河のあたりで探していたんですけど理想の物件がうまく見つからず、しばらく行き詰ってしまって。それまでノーマークだった蔵前でなんとなく探してみたら、たまたまこのビルを見つけました。

蜂の巣みたいなかわいらしい窓が印象的なレトロなビル。

 

やっぱり自分のお店をつくりたい! バイヤーから独立を決意。

SUNNY CLOUDY RAINYは、いつごろ開店されたんですか?

2015年の春です!

秋山さんは、それまでどんなお仕事をされていたんですか?

実は、みなさんも使ったことのある大手ファッション系ECモールで 店長 兼バイヤーをしていました。買い付けから企画の立案、商品撮影の立ち会いまで…何でもやってましたね。

そうだったんですね! 独立を決意された理由というのは…?

何かがきっかけだったわけじゃないんですけど、通販だけだとお客さんと関わっている実感がなかなか沸かなくて。
それで、ECモールの仕事をしていくうちに「リアルなお店をつくって、手応えを感じたい!」という気持ちが自然と強くなって、独立にいたりました。

なるほど。ですが、ネットショップも同時期にオープンされていますね。

はい。遠方にお住まいの方や忙しい方のことを想像すると、ものを売ることとネットショップは切り離せないと考えていたので。ネットショップをきっかけに、お店へ訪れてくださることも期待できましたからね。

お店とネットショップを同時に運営するのは大変ですよね。

毎日いっぱいいっぱいです(笑)。 でも、お客さまの「コレがほしい!」という気持ちにはなるべく応えたいので、この2つはどうしても両立していきたいんです。

ちゃんと「好き!」なものだけを並べたい。

ファッションがメインかと思いきや、いろんな商品が並んでいますね。

開店当初から全部置いてました。
服も好きだし雑貨も好きだし、食べものもうつわも好きだし…よくばりなんです(笑)。

いつも、どんなふうにして商品を買い付けされているんですか?

気になる作り手さんにわたしから声をかけて、お取引きがスタートすることが多いです。わたし自身、お買い物することが大好きなので、そこで出会ったものや作り手さんをきっかけに声をかけています。

洋服以外にも、こんなにかわいいハチミツが!

ふむふむ。

それから、作り手さんと気持ちよく仕事をするためにもその方の人柄を知っておきたくて、できるだけ会って直接お話をすることを大切にしています。そのときの会話から「こんなコラボができるかも」と想像がふくらんで、商品に展開されることもあります。

紅茶専門店「TEAPOND」さんの紅茶の中から、天気をイメージした3種をセレクト。
商品にオリジナルの帯をかけています。

とつぜん声をかけても、皆さん意外と歓迎してくださるのでとってもありがたいです。

気になる展示会へ行ってみたら、ずっとファンだった別の作家さんを紹介いただいたり。自分のちょっとした行動から次々とつながりが生まれて、ほんとうにご縁に生かされているなぁと思います。最近は、世の中の狭さが恐ろしいくらいです(笑)!

秋山さんの行動力が思わぬつながりに結びついているんでしょうね。ちなみに商品セレクトに基準はありますか?

あります。「わたしはこれが好き!」という思い入れのあるものだけを仕入れています。というのも、自分のなかで「売れるかな~」くらいの軽い気持ちで仕入れたものって、絶対に売れないんです。

絶対に売れない、ですか。

はい。ひょっとしたら自然と接客にも愛着の差が出ているのかもしれませんが、強く愛着のある商品は、どんなに高くても売れていくんです。

なるほど。

なので、自信をもって「好き」と言えるものだけをお店に並べないといけないなって、シーズンを重ねるごとに確信が強まっています。

「本当に好きなものを集める」という秋山さんのこだわりがお店の統一感を生んでいるんですね。

ほんとですか。うれしいです!
実は前職でも、周りから「絶対売れないよ」って言われて、それでも「好きだから!」と押し切って商品を仕入れて、いろんなものを混在させていたんです(笑)。だからこの店も、一見すると洋服も雑貨もあって、ごちゃごちゃで。

でもこの中のどれかが誰かの心に引っかかるかもしれないと思うと、こういう商品セレクトでもいいのかなって思ってます。

毎日変わる天気のように、ディスプレイも気まぐれに変化。

商品セレクトとあわせて、お店の内装にはどんなこだわりを込めましたか?

内装は、ずっと憧れていた special source さんというデザイナーさんにお願いしました。

「毎日変わる天気のように変化のあるお店」というコンセプトどおり、その日の気まぐれでディスプレイを動かしたいとリクエストして。フックやポールなどの吊り什器をメインに、私一人でもディスプレイを動かしやすくしてもらいました。

なるほど! そのときどきの商品にあわせて空間の印象をガラッと変えられそうです。ちなみに、試着室がすごく広いのも special source さんのアイデアですか?

そうなんです! これだけ広さがあるので、この間もベビーカーと一緒に入って試着されてるお母さんがいましたね。そこまでは全然想定していなかったので、彼らのアイデアが完璧だったんだなーって思います。

広々とした試着スペース。洋服の色を自然光で見られるのもうれしいポイント!

パパママにとってはすごくうれしい気づかいですね!

 

うれしい気持ちを少しでも持ち帰ってほしい。

最近はラッピングペーパーもリニューアルされたと伺いました。

そうなんです! ちょっと透け感のある紙にちょこちょこっと模様を描いて、ラッピングペーパーにしてみました。

これは秋山さんがデザインされたんですか?

デザインっていうほど大げさなことはしてないんですけど…こういう質感だと、いろんな色を合わせるだけでもすごくかわいいなと思って。
何色か薄紙を揃えて、お客さんの雰囲気やわたしの気分でラッピングしています。

ピンクやブルーの薄紙を重ねると、ほんのり透けてかわいい!

かわいらしいラッピングって、ものすごく心をくすぐります。

ラッピングってうれしくなりますよね。わたし自身、お買い物をするときはプレゼントじゃなくても「包んでください」って言いたいタイプなんです。細かな気づかいにハッとさせられたりすることがあるので。
なのでこうして、ちょっとうれしい気持ちも家まで持ち帰ってもらえたらいいな、と。

 

ずっと温めてきたアイデアを、いつかオリジナルの商品に。

これから何年か後に向けて、チャレンジしてみたいことはありますか。

今やっている仕事がすごく楽しいから、このペースで長くつづけていきたいなぁと思ってます。なので、具体的な目標って最近まであまり考えてなかったんです。
でも、すごく漠然となんですけど、今はお店のオリジナル商品を作ってみたいですね。

すべてご自身のオリジナルで、ということですよね。

そうです。たとえば、わたしは古着が好きなので、現代にないようなシルエットのスカートとか。こんなものがあればいいのに…っていうアイデアがたくさんあるので、いつか形にしていけたら嬉しいですね。

聞いているだけでもワクワクしてきます。

まだ誰に頼んでどう進めればいいんだろう?っていう手探りの状態なので(笑) もし作るとなったらちゃんと勉強しないと。

「好き」を突きつめて新しいものを作り出す作業、すごく楽しそうです。

でもオリジナルで作るとなると、在庫を抱えちゃう危機感とかもあって。
こればっかりはわたしの「好き」だけじゃなくて、自分のほしいものをみんなに受け入れてもらえるように、もっといろんな目線を持って取り組まなきゃいけないなと思います。

それが次のチャレンジになるところですね。今から楽しみです!

そう遠くはない未来で…頑張ります!

今日はありがとうございました!