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3つの国で成功をおさめたテキスタイルデザイナー・脇阪克二の魅力(SOU・SOUインタビュー後編)

いつも画面越しに見ているネットショップのむこうには、想いのつまった“モノ”とそれを届ける“”たちがいます。このコーナーでは、知られざる商品開発ストーリーやお店の裏側に迫る現場レポートをお届けします。
今回ご紹介するショップ
和服・雑貨を独自のテキスタイルで提案し続ける「SOU・SOU(ソウソウ)」。後編では、マリメッコの日本人第1号デザイナーでもあるテキスタイルデザイナー 脇阪克二さんについて、プロデューサーの若林さんに詳しくお話を伺いました。

【脇阪 克二さん プロフィール】
1944年、京都生まれ。1968年からフィンランドのマリメッコにてデザイナーとして活躍。1976年からは、アメリカのラーセン社でテキスタイル・デザイナーとして活躍し、1986年には、ワコールにてコレクションを発表。現在は京都でSOU・SOUのテキスタイルデザインを描き続ける日々を過ごしている。

 

若かりし頃の脇阪さん

若かりし頃の脇阪さん

江戸から続く絵師の系図の最先端にいる存在、それが脇阪克二。

SOU・SOUさんの何年経っても廃れないデザインには脇阪さんが欠かせないかと思いますが、プロデューサーの若林さんの目にはどのように映っていますか?

脇阪さんはね、すごい人ですよ。人格者。何よりピュアなデザイナーですね。物を作ることがすごく好きな人で、本質を見る目があるんじゃないかと思います。

70歳を超えた今もなおブランドの第一線を走っているのがすごいです。

脇阪さんは、出会った頃から20歳以上も下の僕に対して、信頼をもって接してくれています。僕の仕事は「今期はこんなコンセプトで図案創りましょう」とか「このデザインはもうちょっとポップな表現にした方がいいと思う」とか脇阪さんのデザインに対してディレクションすることです。それを想像以上のクオリティに仕上げてこられます。

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巨匠に注文をつける若林さんもすごいです…!

どんな重鎮デザイナーでも長年やっていると、良い意味で「独特の古さ」が出てきます。それに対する僕の役割は、時代に合わせたチューニングだと思うんです。

一方、地下足袋なんかに新しい価値をつけて生まれ変わらせるみたいな取り組みをするためにはかわいいとか「現代的な要素」だけじゃなくて「文化的な要素」もないといけないと思ってます。そのためには脇阪さんの力が不可欠です。

テキスタイル「おおらかとりどり」

脇阪克二さんデザインの「おおらかとりどり」

脇阪さんのデザインは「文化的な価値がある」ということですか。

僕は、脇阪さんを絵師(えし)の歴史に名を刻む存在と位置づけたいんですよ。着物なんかの図柄を作る日本の絵師の系図。江戸時代から明治大正昭和、そして平成になったところに脇阪さんの絵がピピッて入ってるようにしたいんです。俵屋宗達にはじまる琳派の最先端に、絵師・脇阪克二がいるような…。

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あくまで日本の絵師さんとしてということですか。脇阪さんといえば、フィンランドのマリメッコの日本人第1号のデザイナーさんとして有名ですが…。

僕はそうディレクションをしたいと思っています。だからそういう意味でも、SOU・SOUが洋服作ってたんじゃ本物にならないんですよね。新しい和服に、新しい今の日本のテキスタイルが入ることで、本物になると思うんです。

脇阪さんは本物の和の文化を作る絵師さんということですね。

「昔の浮世絵の女の人」と「ジブリ映画で描かれる女の人」だと形が全く違いますよね。同じように、菊とか水とか山にしても、昔の絵師が描く絵と今の絵って違うと思うんです。タッチも染料も全然違う。そういう視点に立って、今の菊の図案とか、桜とか、いろんなものを表現したら平成の和柄といえると思うんですよ。

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斬新な柄で、だけど着物の型をしていて、走れて、洗濯もできて。サラリーマンが買えるようなものを作ったら「現代の和服」っていえる気がするんですよね。現代の生活と和服が重なったら価値として「本物」になると思うんですよ。それをしれっと、そして淡々とやることが作り人として「本物」な気がするんですよね。だから脇阪さんの作品は、必ず残りますよ。後世に

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今の時代で評価されるのは「チーム」として脇阪さんを支えているから。

他の企業さんとのコラボレーションで、脇阪さんのテキスタイルはますます注目を浴びるようになりましたね。

ユニクロさんや他のメーカーさんからコラボの声がかかるのは、やっぱり脇阪さんが現代の図案を作っているからだと思うんですよ。過去の図案でよかったら、江戸時代でも大正でもモダンでかわいいデザインはいっぱいありますもんね。

ユニクロとコラボレーションしたステテコ

ユニクロとコラボレーションしたステテコ

「脇阪さんを平成の絵師にしたい」という想いでディレクションを10年前からやってたことが、今いろいろ実を結びはじめたのかなと思ってます。

脇阪さんが今も新しい世代への価値提案していることに感動してしまいます…。

そこがかっこいいんですよね。70歳を超えても現役で、その人の作品がお子様から御年配の方まで、そして外国の人にまで幅広く支持されているというのが奇跡なんですよ。普通はもう引退してますよね。

平成27年のテーマ「野菜」をイメージした、脇阪さんによるテキスタイル。

平成27年のテーマ「野菜」

新しい価値の提案は脇阪さんひとりではなくて、僕らがチームとなってやるべきだと考えています。例えば大御所の俳優さんみたいな人でも、若い世代の監督やスタイリストの意見を聞かなかったら、多分時代からずれてしまうんですよね。そしていい作品も作れない。

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常に何事にもこだわらないところがいいと思うんです。こだわると古くなっていくんですよね。

脇阪さんの著書では、SOU・SOUさんでの活動は楽しくて仕方がないと描かれていました。

まあ最初は半信半疑やったかもしれませんけど、信頼してくれてありがたいですね。脇阪さんは、今までそんなに表に出ることもなかったんですが、もうちょっと名前も前に出してねスターになってほしいです。

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脇阪さんみたいなスターデザイナーがいることで「ああいうふうになりたい!」という憧れが芽生えて、どんどん下の世代が育つとベストです。脇阪さんの活動をマネする人が広がると、業界の活性化にもつながるんじゃないかと思います。

なんだかとってもワクワクしてきました。和の表現をとおして新しい価値を生み出す若者がどんどん出てきてくれる日が楽しみです。今日は長時間のインタビュー、ありがとうございました。

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