60年変わらない味を、新しい届け方で。「しるこサンド」の松永製菓が広げるファンとの接点
「変わらないこと」と「変化していくこと」
まずは、松永製菓の事業について教えてください。
主な事業内容は、ビスケット製造です。
スーパーなどに卸す「しるこサンド」をはじめとした「家庭菓子」と、サービスエリアや百貨店で販売するプレミアムラインの「贈答菓子」の大きく2つに分かれています。
特にコロナ禍を経て、贈答菓子をお取り寄せする文化が育ってきたと感じています。
「お菓子をつくること、それは笑顔をつくること。」という企業理念に基づき、実直に続けてきた製品作りが、今の支持につながっているのかもしれません。

しるこサンドが60年間愛され続けてきた理由は、どこにあるとお考えですか。
1つ目は、変わらないこと。
味わいや形、大きさに至るまで、発売当初から変えることなく「3枚食べると小豆の味がする」というくらいの優しい味わいにこだわり続けています。
2つ目は、変化していくこと。
こちらは1つ目の「変わらない」と対極にありますが、時代や暮らし方の変化に合わせてお客さまの生活に寄り添った形にするためには必要なことです。
具体的には、3世代同居から核家族での暮らしが主流になったことに合わせて、個包装や少量商品の開発など包装や販売形態を変えております。
変わらない味を守りつつ、届け方は時代に合わせて変えてきたんですね。
「食べたことがない」「知らない」人に届けるために
現在所属されている広報部は、近年立ち上がった部署だそうですね。どのような背景でできたのでしょうか。
自社製品の販路を拡大するにあたり、「中小企業こそ、広報部門の重要性が高い」という代表の方針があったためです。
また、立ち上がった2018年は創業80周年という節目の年でした。
当時の認知度調査では50代~70代がメインターゲットとなっていたため、より若い世代にもターゲットを広げていく必要がありました。
Z世代をはじめとする若い世代の「食べたことがない」「知らない」という方にも、しるこサンドを知ってもらうため、年間を通じた認知度向上施策に取り組むことになったのです。

ちなみに可兒さんは広報部の立ち上げから携わられたと伺いましたが、それ以前はどういった業務をされていたのですか?
私は2015年から2017年までは派遣社員として、販売スタッフをしていたんです。
そして2018年に社員として入社し広報部の立ち上げに参加しました。
実際の売り場をご経験されていたんですね。ではそこから広報として若い世代に知ってもらうために、どういった取り組みを行ったのでしょうか。
まずはテレビやSNS、広告などを通じて、しるこサンドを知ってもらうところから始まりました。
そこからSNSキャンペーンやメルマガ、テレビ・雑誌などへの露出を重ねて、商品をより身近に感じてもらいます。
さらに、コラボや作品内で商品を目にすることで「買ってみたい」と思っていただき、実際に購入できる場所も増やしていきました。
購入後も、定期的な話題づくりやメルマガなどを通じて、また手に取っていただけるような関係をつくっています。
このような「認知→周知→購買意欲→購入→リピート」という一連の流れを意識していて、現在は特に「購入」につなげる施策に力を入れていますね。
「知ってもらって終わり」ではないんですね。実際に、ユーザーに変化はありましたか?
分かりやすい例ですと、SNSのフォロワー層が変わりました。
2018年~2020年頃は、男女比6:4で男性が多く40~60代がメインでしたが、2021年頃から男女比4:6と女性が増え、メインは30~50代に、また次点でZ世代のフォロワーも1割弱となりました。
SNSのフォロワー層にも、変化が表れているんですね!
「しるこサンド」が「ちいかわ」に登場。60周年のコラボレーション
若い世代との接点づくりという意味では、映画『ちいかわ 人魚の島のひみつ』とのコラボレーションも大きな取り組みですよね。どのような経緯で実現したのですか?
もともと原作がXで投稿されたときから、しるこサンドが登場していたんです。
今回その回が映画化されること、そしてしるこサンドも60周年という記念イヤーであることが重なり、コラボが実現しました。
特に大切にした点は、原作ファンがワクワクするようなパッケージにすること。
そして全国の方の手元に届きやすくすることです。
原作にもともと登場していたんですね!お客さまからはどんな声が届きましたか?
ちいかわファンの中には、しるこサンド自体を知らない方や食べたことのない方も多くいらっしゃいました。
そうした方がコラボをきっかけに、コラボ商品だけでなく通常のしるこサンドもお召し上がりくださって。
「こんな美味しいお菓子があるなんて!」「これはつい夢中になって食べちゃいます」といったコメントをいただいたことが、とても印象的でした。
原作登場時も今回の映画コラボ時も、ECサイトには通常の4倍ほどのアクセスがあり、しるこサンドを知ってもらうきっかけになったと感じています。
コラボは認知だけでなく実際の購入にもつながったんですね。
では60周年という節目の年に新しい取り組みに挑戦するうえで、大切にしていることはありますか?
しるこサンドというブランドと同様「変えないこと」と「変えたほうがいいこと」をしっかりと見極めるのを大切にしています。
広報に関してもつい企業側の目線で進めてしまいがちですが、大切なのはお客さまがどんなものを望んでいるか。どんなコラボや取り組みだと楽しんでもらえるかを常に考えています。
また、実際にターゲットに近しい社員の意見を重要視し、凝り固まった企画にならないように注意しています。
SNSやメディアは「入り口」、ECサイトは「お店の中」
自社ECを始めたきっかけと、どのように広げていかれたのかを教えてください。
もともと、遠方の方などからお電話でご注文を受けていました。
その後ネットショッピング自体が一般的になったこともあり、当社も自社ECを運営しようということで2018年頃に始めました。
当時はしるこサンドなどのケース販売がメインでしたね。
開設後は、商品が手に入りにくい地域の方や、ふだんお店に足を運びづらい方でも気軽に楽しんでいただけることを目指して、ケース販売から少量販売を始めたり、贈答用商品の取り扱いを開始するなど、少しずつ広げていきました。
スーパーでも広く親しまれている「しるこサンド」を、ECサイトで入手する魅力やメリットについて教えてください。
ECでは期間限定商品など、店頭では手に入りにくい商品をご購入いただけることがメリットです。
また、しるこサンドのプレミアム版である「生しるこサンド」も販売しており、ECならではの商品ラインナップを楽しんでいただけます。

実際にECを始めてみて、お客さまからの反応や関係性に変化はありましたか?
購入された方からは「愛知に以前住んでいて、結婚挨拶の手土産として地元のお菓子を探していて購入した」「こどもの頃の思い出の味として食べたかったが、近隣に売ってないので助かった」「テレビなどで見て、食べてみたい!となった際にすぐに購入でき、おいしかった」といったお声をいただいています。
思い出の味をもう一度、という声もあるんですね。
そうですね。
より身近に感じていただいたり、感謝のお言葉をいただいたりという機会が増えました。
また、商品に対してだけでなく通販対応についても高い評価をいただいております。
ではSNSやメディアとECは、それぞれどのような役割として捉えていますか?
SNSやメディアはお店の「入り口」、ECサイトは「店内」のような役割だと捉えています。
入り口で気になって足を止めてもらい、店内に入ってみると「自分にぴったりだ」と思える商品が見つかる。
その流れが購入につながっていると思います。
SNSやメディアで知ってもらい、ECで実際に商品を手に取ってもらう。先ほどのお話にもつながりますね。
続いて、カラーミーショップを選ばれた決め手も教えていただけますか?
UI/UXが分かりやすく、EC運営が未経験だった当社でも簡単に設定できたことが導入の決め手です。
テンプレートもシンプルなものが多く作りやすく、商品設定も簡単。
決済サービスなども簡単に連携でき、使いやすいと思います。
「やっぱり、しるこサンドっていいな」と思ってもらえる存在へ
最後に、これからの松永製菓について教えてください。
今後も真面目に誠実に、お客さまの視点を意識して、ご家庭のおやつには「しるこサンド」、贈り物には「生しるこサンド」を選んでいただけるよう展開していきたいと思います。
近年では、生しるこサンドを含むプレミアムラインのお菓子を手に取れる実店舗「SHIRUKOTTE」を新たに運営しています。
今後は愛知県内をメインに店舗展開を拡げながら、贈答品の認知向上や販路拡大に取り組んでいく予定です。
また、しるこサンドは、全国、特に関東圏を中心に認知・購買行動につながる施策を実施していきたいと考えております。

「変えないもの」を守りながら、新しいコンセプトの店舗などで、しるこサンドを届ける範囲を着実に広げているんですね。最後にファンの方へのメッセージもお願いします。
しるこサンドは、これまでの60年、皆さまの日常のそばで育てていただいたお菓子です。
初めて手に取ってくださる方にも、どこか懐かしさを感じる唯一無二の”しるこサンドらしさ”を今後も大切に守っていきます。
そして、長く愛してくださっている方には、変わらない安心感と、時々のちょっとした楽しみをお届けできるように取り組んでまいります。
これからも、毎日の小さな休憩や、誰かと分け合うひとときにそっと寄り添いながら、「やっぱり、しるこサンドっていいな」と思っていただける存在であり続けたいと願っています。
世代を越えて、気軽に手に取れる”いつものおいしさ”を。
そして、少しだけ心がほぐれるような、そんな時間をお届けいたします。
可兒さん、今日はすてきなお話をありがとうございました!