全国に190店舗を展開する人気チェーン「ラーメン山岡家」。その公式通販サイト「山岡家商店」では、お店の味を最大限に再現したラーメンと公式グッズが人気を博し、実店舗のコアなファンからも支持されています。今回は、同店のECサイト開設の経緯や集客方法などについて詳しく伺いました。
ブランディングと認知拡大を目的にECサイトを開設
ECサイト「山岡家商店」を立ち上げた理由について教えてください。
実店舗以外で新たな顧客接点を模索したとき、最も近道な方法がECだったため、自社ECの立ち上げを目指すことになりました。
転勤などで実店舗のない地域へお引越しされたお客さまに、引き続き山岡家のラーメンを食べていただけるようにすること、未出店地域の方々にも山岡家の味を知っていただくことを目的に立ち上げました。またその結果として、企業イメージが高まり、採用面でもプラスになればと期待していました。

株式会社丸千代山岡家 外販事業部 橋本 芳麿さん
ECのスタート時、実店舗のお客さまの反応はいかがでしたか?
当初は「お店の味を再現できるはずがない」という声もありましたが、山岡家の味を愛するからこその厳しいご意見として受け止めていました。商品発売後は、「再現度が高くておいしい」などと嬉しいコメントをいただけるようになりました。
EC開設にあたり、カラーミーショップを選んだ理由を教えてください。
何社か比較検討したなかで、最もコスパに優れていたのがカラーミーショップでした。低予算でも、幅広い機能を実装できる点に魅力を感じています。
商品の発送作業は委託されているのでしょうか。
今は3社に委託していて、クール便と常温配送を使い分けています。全受注商品のうち約9割は、生麺の開発でもお付き合いのある新潟の麺工場から発送しています。
新潟の委託先では何名体制で対応されていますか?
4名体制です。作業精度が高く、梱包作業時の入れ間違いなども非常に少なくて助かっています。
再現性の高いラーメンと公式グッズが人気
商品開発の際に、苦労されたことはありますか?
ご家庭向けの食品開発では、必ずしも実店舗での人気メニュー順に商品化できるわけではありません。再現が難しいものもあるため、開発のしやすさを考えて発売する順番を工夫する必要がありました。
商品開発にはどのくらい時間がかかりましたか?
生麺やチャーシューの開発は約3か月、乾麺は半年以上かかりました。特に乾麺の麺は一からの開発なので、原料の選択と配合や茹で時間まで細かい調整が必要でした。山岡家では、創業者でもある会長や社長の承認を得た商品でないと世に出ません。お店の味の再現性が高くなければお客さまにも喜んでいただけないので、食品の商品開発にはかなり力を入れています。
現在はどんな商品が人気ですか?
ラーメンでは醤油味や特製味噌味が人気です。公式グッズの中では、お店でも使用しているラーメン丼がダントツの人気で、海苔やスープ柄などのスマホケース、パーカーやトレーナーなども安定して売上を伸ばしています。
当初の想定よりもギフトとしての需要が高く、グッズの売れ行きが好調ですね。入学祝いや一人暮らしの男性へのプレゼントなど、幅広い用途で活用されています。
集客や販促の方針について教えてください。
すでに店舗はたくさんのお客さまが来店されている環境ですので、ECのための広告宣伝は最小限にとどめています。実店舗にポップやポスターを掲示してお知らせすることもありますが、来店されたお客さまには他にお伝えすべき情報がたくさんあるため、ECを大々的に宣伝するのは難しいのが現状です。
では、どのような方法で認知拡大を図ってこられたのですか?
基本的にはSNSや公式LINEを活用してコツコツと認知を広めてきました。カラーミーショップのメルマガ機能も利用しています。
また、2024年10月にリリースした山岡家の公式アプリも活用しており、こちらは約半年間で約127万ダウンロードを突破しました。今後は準備が整い次第、アプリユーザー向けにECの告知を強化していきます。
密なコミュニケーションでファンとの絆を深めたい
ECサイト以外でも、販路を開拓されていますか?
現在は外販事業部として卸売の販路を拡大中です。昨年からは海外展開もスタートさせました。海外向けの卸売は輸出先の国の規制に従う必要があるので慎重に準備を進めており、まだまだこれからではありますが、今後の成長を目指して力を入れていく予定です。
EC事業をさらに成長させるために、どのような展望をお持ちですか?
山岡家には、大きく広告宣伝費をかけて集客するよりも、熱いファンの方たちと丁寧にコミュニケーションをとり、絆を深めていくやり方のほうが合っていると感じます。現在の3倍、5倍、10倍と段階的にECの売上目標を達成するために、アプリをさらに活用できるよう準備を進めていければと考えています。
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