企業の移転や新拠点開設のタイミングでは、取引先や関係者から祝花が贈られるのが一般的です。
花の輸送・ラッピング・設置、そして役目を終えた後の廃棄までを含めると、そこには少なからずCO2排出が伴います。
お気持ちは大変ありがたい一方、企業として掲げる環境方針やサステナビリティ目標とは必ずしも整合しないケースもあります。
こうした課題に対し、株式会社JTBが新拠点への移転を機に立ち上げたのが、祝花の代わりにカーボンクレジットの購入を通じて社会貢献できる支援サイトです。
移転のお祝いを、「モノ」ではなく「未来への支援」に置き換えるこの取り組みは、社外からの共感を得ながら進んでいます。
今回は、「株式会社JTB カーボンニュートラル推進サイト」の立ち上げ背景、短期間で形にするための工夫、そして開設後に見えてきた反応について、大阪第三事業部 営業推進課長の大橋 幸千人さんに伺いました。
祝花を“環境支援”に変えるという発想
今回、立ち上げたサイトを詳しく教えてください。
今回開設したのは、一般的な商品を販売するECサイトではありません。
J-クレジット制度を活用し、カーボンクレジットの購入を通じてJTBの脱炭素への取り組みにご賛同いただくための環境支援サイトです。
JTBグループでは、事業活動における環境負荷を段階的に削減し、事業活動全体で2050年までにCO2排出量実質ゼロ(カーボンニュートラル)を目指すという長期目標を掲げています。
「地球を舞台に、人々の交流を創造し、平和で心豊かな社会の実現に貢献する」という経営理念のもと、交流を創造するすべての事業を、持続可能なものにしていく。その一環として、サステナビリティへの取り組みを進めてきました。

そんな中で、東京・大阪それぞれで大規模なオフィス移転が決まりました。
移転に際しては、取引先企業や関係先のみなさまから多くの祝花をいただくことが想定されますが、輸送や装飾、廃棄まで含めると、どうしてもCO2を排出してしまいます。
ありがたいお気持ちを受け取りながらも、「当社が目指す方向性と本当に合っているのだろうか」という声が社内で上がりました。
そこで、祝花の代わりに、脱炭素につながる支援という形で祝意を受け取れないかと考え、今回の取り組みを始めました。
J-クレジットを活用した、わかりやすい環境支援の仕組み
環境支援の仕組みについて教えてください。
本サイトでは、国の認証制度である「J-クレジット」を活用しています。
J-クレジットとは、森林の育成や間伐などの適切な森林経営活動によって生み出されたCO2吸収量などを、国が「クレジット」として認証する仕組みです。
本事業での環境支援は1口5,000円=300KgのCO2削減分のクレジットから受け付けており、口数はご賛同企業さまの意思で自由にお選びいただけます。 集まった支援は、森林保全やCO2削減につながる取り組みに活用され、カーボン・オフセットという形で環境カーボンニュートラル社会への貢献になげることができます。
ご支援いただいた企業さまに対しては、感謝の気持ちとして、「感謝状(オフセット証明書)の発行」や「ご賛同企業名の掲載(新拠点ビルのサイネージおよび本サイト)」といった形でのご案内を行っています。

「急ぎでも確実に立ち上げる」ための選択
サイトを立ち上げるにあたり、課題はありましたか。
一番大きかったのは、スピード感です。
移転の案内状を取引先企業さまへ送付するスケジュールがすでに決まっており、その中にQRコードを掲載して、サイトへ誘導する設計を想定していました。
そのため、短期間で確実に立ち上げられること、精算業務の業務効率化が重要だったため、クレジットカード決済がスムーズに導入できることが必須条件でした。
新しい取り組みだからこそ、「確実にきちんと動く形で始めたい」というのが正直なところだったのです。
過去の実績があったからこそ選べたカラーミーショップ
その中で、カラーミーショップをお選びになった理由を教えてください。
実は当社では、過去に別のECサイトでカラーミーショップを利用した実績がありました。
制作面・運用面の特性をある程度把握できていたのも選択した理由のひとつです。
また、今回のカーボンニュートラル推進サイトは、急ぎで立ち上げる必要がありました。
過去の実績があったからこそ「この条件であれば、カラーミーショップで問題なく進められる」という判断ができました。
制作側としても柔軟性が分かっていたため、短期間で形にできたと思います。
共感が生まれ、会話が広がるという副次的な効果
実際にサイトを立ち上げてみて、反響はいかがでしたか。
祝花という“当たり前”を別の形に置き換えたことで、JTBとしての想いや姿勢、目指している方向性が伝わりやすくなりました。
サイト立ち上げ後の反応としては、「CO2削減にもつながるなら、ぜひ賛同したい」と共感してくださる企業さまが多く、運用開始3か月で50社以上にご賛同いただいています。
みなさまのご支援で、100トン以上のCO2のが削減を実現することができました。
また、日頃の営業活動の中でも、「こういう取り組みをされているんですね」「初めて知りました」と言っていただくことが多く、JTBのサステナビリティへの取り組みを知っていただくきっかけになっています。

祝意を社会貢献につなげる選択肢として
今後、この取り組みをどのように展開していきたいとお考えでしょうか。
現時点では、本サイトは拠点移転に伴う期間限定の取り組みとして運用しています。
移転に関する祝意を受け取るためのサイトとして、一定期間運用する想定です。
一方で、今回の反応を通じて、「祝意を社会貢献につなげる」という考え方そのものには、今後も可能性があると感じています。
当社だけでなく、取引先企業さまの取り組みとしても活用できる形が生まれれば、さらに広がりが出てくるかもしれません。
また、今回の支援への賛同がきっかけで、多くの事業パートナーの皆さまから、サステナビリティを軸とした事業連携の依頼を頂戴しています。
当社と思いを同じくする企業さまとの輪が広がり、カーボンニュートラルの実現に向けて新たな事業を創造できる可能性があると思うと、とてもワクワクしています。
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