プレスリリースを配信したことはありますか?プレスリリースは、企業の広報・PR活動に欠かせないツールで、一般的に新商品発売や新サービス提供開始、イベントの開催などニュース性の高い最新情報をメディア関係者に届けることを目的に配信します。「商品の魅力×メディアの影響力」で、ネットショップのアクセス数がグンと増える可能性もあります。
そこで今回は、株式会社PR TIMESの小暮さんに、プレスリリースの基本情報や、成功事例、上手な書き方のコツなどについて幅広くお話をお伺いしました。
株式会社PR TIMES(ピーアールタイムズ)
目次
PR TIMESについて教えてください!
PR TIMESはどういう会社なのでしょうか?
PR TIMESは企業の広報・広聴活動の支援を主な事業とする会社で2005年12月に設立されました。同名のプレスリリース配信サービス「PR TIMES」は、2007年にスタートしました。
創立から17年ほど経ち、現在はプレスリリース配信サービスに加えて、企業のストーリーを届ける広報サービス「PR TIMES STORY」や、動画プレスリリース配信サービス「PR TIMES TV」など、新たなプラットフォームもご利用いただけるようになっています。また、効果測定をはじめとしたコンサルティングサービスも提供しており、企業のPR・広報全般を幅広く支援しています。
プレスリリースとは
プレスリリースとはどういうものなのでしょうか
プレスリリースは、新商品発売やイベント開催の告知、会社設立のご挨拶、組織変更のお知らせなど、企業が新しく世の中に知らせたい情報をまとめた公式文書のことを指します。おもに、メディアを通じて広くメッセージを届けることを目的として利用されています。
プレスリリースは、かつては新聞社や雑誌社の記者宛に送るのが主流でしたが、今はフリーのライターを含め、幅広いメディアの方々が受け取り、執筆活動等の一次情報として役立てています。
プレスリリースの起源を教えてください
プレスリリースの始まりについては諸説ありますが、一般的には100年ほど前にアメリカで生まれたといわれています。
20世紀初頭(1906年)、アメリカのペンシルバニア鉄道が脱線事故を起こした際に、新聞社に向けて声明を発表しました。当時、事故などは隠蔽される傾向にあったようですが、同社は事故の詳細をまとめた資料を公式に発行し、ニューヨークタイムズはその原文をそのまま転載しました。これがプレスリリースの発祥だといわれています。
都合の悪い情報は隠され、それゆえに不信感を生むこともあった時代に、ペンシルバニア鉄道がマイナスな情報を開示したというのは画期的なことで、社会全体の報道姿勢が見直される大きな転機だったのではないかなと思っています。
以降は、FAXや手紙、1990~2000年代に入ってからはメールにPDFを添付して送るなど、多様な方法で公式資料が配信されるようになりました。また、2000年代にはWeb上でもプレスリリースが公開されるようになり、その流れに乗って、2007年に我々のサービスがスタートしました。
プレスリリースを配信するとどのような成果が得られるのですか?
配信をする目的は企業ごとに違いますが、プレスリリースはメディアに向けた公的な資料を提供するものなので、新聞や雑誌、テレビ、ラジオなどのメディアに取り上げてもらい、より多くの方に情報を届けることが第一目的になると思います。
配信効果は、メディア露出による注目度向上のほかに、副次的な効果も期待できます。かつてプレスリリースといえば1対1の関係で記者など個人宛に送るものでしたが、Web上での配信サービスが始まって、メディア関係者だけでなく不特定多数の人の目に触れられるものに変化しました。つまり、直接生活者の方に届くという効果も期待できます。
「PR TIMES」で配信しているプレスリリースはGoogle検索の上位に表示されることも多くあります。また、「PR TIMES」のSNSでも発信をしているので、よりその効果を実感いただけるのではないかなと思います。
幅広く注目される傾向が強くなっているからこそ、プレスリリースの使い方にはテクニックが必要です。それを理解されていて、「メディアの方だけでなく一般の方にもお届けしやすいタイトル・構成にしよう」と工夫されているEC担当者さんは結構多いですよ。
PR TIMESでの配信について
「PR TIMES」でプレスリリースを配信するにあたり、アカウントの事前登録はいりますか?
アカウント作成のための企業登録申請が必要です。担当者様や企業様の情報をフォームに従って入力・お申し込みいただき、大体1営業日くらいで担当者が確認。審査に通れば、登録いただいたアカウントID・パスワードで管理画面にログインできるようになります。確認事項がある場合は別途ご連絡しております。
管理画面では、入稿や配信日の設定、配信先・配信方法の選定などの操作ができます。また、同じアカウントIDで、プレスリリースを出すだけでなく、弊社別サービスの「PR TIMES STORY」を配信することもできます。
「PR TIMES STORY」とはどんなサービスなのでしょうか?
「PR TIMES STORY」は、ニュースを届けるプレスリリースとは違い、成果の裏側にあるストーリーを当事者自らが語る記事です。
企業の頑張りや奮闘などのエピソードもニュースとして価値があります。ただ、プレスリリースは、新情報でないと発信ができないという前提があるので、そういった企業ストーリーはプレスリリースとして配信することはできません。それを解消するために生まれた新サービスが、「PR TIMES STORY」です。
既存商品の開発秘話や創業の背景など、過去を振り返って想いを伝えたいときに役立ちます。近年は価格競争ではなく、情緒的な価値や社会的価値をどう伝えるかが重視される傾向にあるので、ECとの相性がよいかもしれません。「新たに伝えたいトピックはないけれど、商品やサービスに対する想いを発信したい」というときは、ぜひご利用いただければと思います。
ありがとうございます。プレスリリースは個人でも配信することはできますか?
審査はありますが、事業者であれば個人事事業主でも配信は可能です。
プレスリリースを配信するには事前に登録が必要で、審査があります。審査では架空の団体・事業ではないことを確認します。法人は法人番号などで営業実態を確認できますが、個人事業主にはそういうものがないので、場合によっては追加で資料をご提供いただくこともあります。
事業者ではない「個人」の場合は、我々もニュース性を担保しにくいため、基本的にはご利用いただけません。ただ、書道家や小説家、デザイナーなど、お仕事上の肩書きがある方はご登録いただいている例もあります。
御社サービス、「minne」で活躍されているハンドメイド作家さんや、「SUZURI」でイラストを販売されているクリエーターさんのように、なにかしらの肩書きがあればご登録いただける可能性が高いですが、個人名では登録できませんのでご留意ください。なお、肩書きがある方でも、ケースバイケースで身分証明書や出店予定、Webサイト、企画書などを事前に確認させていただくこともあります。
「PR TIMES」でのプレスリリースの配信や「PR TIMES STORY」への掲載に掲載可否基準はあるのですか?
「コンテンツ掲載基準」があります。内容は、「必ず新しい情報にしてください」や、「法令を遵守してください」、「調査データを載せる際には調査期間を明記ください」といったもので、お客様の利益を守るためにぜひ守ってくださいねとお願いしています。
「PR TIMES」も「PR TIMES STORY」も、「コンテンツ掲載基準」を設けることで、情報源としての品質をキープしています。
掲載内容はプレスリリースやストーリーの配信後に審査しています。たとえば、何年も前の話が今始まったことのように書かれていると事実誤認になるので、「表現の変更をお願いできませんか?」とご連絡したり、薬機法などの法律に触れる場合は、「お客様のためにも取り下げたほうがいいですよ」と促したりと、状況に合わせて対応しています。また、法律など専門性の高い内容の場合は、外部専門家に事実確認をお願いすることもあります。
なるほど。掲載基準や事実確認なども行われているのですね。ちなみにプレスリリースの配信費用ってどれくらいかかるものなのでしょうか
プレスリリースの1回の配信で3万円、月間契約プランは1カ月8万円で最大30件まで配信できます。ストーリーも同じ料金体系です。月に3件以上の配信予定がある場合は、月間契約プランのご利用をおすすめします。
料金プランはこちらからご覧いただけます。
ネットショップで効果が出たプレスリリースの事例
プレスリリースを配信したことでネットショップで効果が出たリリース事例はありますか?
3つの事例を紹介しますね。
1つめは福岡の和菓子屋さんです。
新商品発売のタイミングでプレスリリースを配信されました。新商品は和菓子には珍しい生のお野菜をつかった和菓子でメディアにも取り上げられたこともあり、ECサイトへの流入が3倍に増えたそうです。
2つ目は関西の靴屋さんです。
キャッチーなコピーや靴に使用された新素材などメディアに取り上げられやすい要素を、タイトル前半やリリースの上部に盛り込んで配信しました。メールで送られる場合、初めの10文字くらいでメールを開いてもらえるか否かがきまります。なので、タイトルは非常に重要です。
3つ目は京都の老舗和菓子屋さんの「PR TIMES STORY」です。プレスリリースではなかなか配信ができない商品開発秘話をストーリーで発信しました。その内容がYahoo!ニュースなどさまざまなメディアに掲載され、自社のECサイトには通常よりも10倍近いアクセスがあったそうです。
もちろん、「プレスリリースを出せば必ず売上が上がる」ということではありませんが、紹介した事例では、メディアに取り上げられてより多くの方に商品が認知された結果、興味・関心を引いて、ECサイトに訪れる人が増えたのだと考えられます。
小暮さんおすすめのお手本になるプレスリリースはありますか?
各社さんで配信目的も商材も違うので、「こうすればいい」という正解はありませんが、お手本になりそうなプレスリリースの例はホテルニューオータニさんのリリースです。
ニューオータニさんのプレスリリースは、「型」が決まっていて統一感があります。タイトル+TOP画像で伝えたいポイントが端的に表されていて、食品は「おいしそう」、イベントでは「素敵な体験ができそう」と興味を引かれます。またURLの位置もよく考えられていると思います。最初のうちはニューオータニさんのプレスリリースを参考にされてもよいかもしれませんね。
小暮さん流、プレスリリースを成功に導く秘訣とは?
上手なプレスリリースとはどういうリリースでしょうか?
まずタイトルと画像がうまくマッチしているプレスリリースは、魅力が伝わりやすいと思います。「PR TIMES」では必ずタイトルとTOP画像が一緒に表示されますし、当社の公式TwitterやFacebookといったSNSのほか、Google検索でも同じなので、統一感を持たせるとよいです。アイキャッチとなるサムネイル画像は、プレスリリースの入稿時に管理画面で選ぶことができます。
そしてタイトルはかなり大事です。タイトルひとつでクリックされるか否か、リリースを見てもらえるか否かが決まります。
では上手なタイトルのコツを教えてください!
タイトル作成のポイントは、冒頭に重要な情報や、興味を持たれそうな情報を入れること。メールの受信設定によってはタイトルの後半が切れて表示されることがありますし、Googleの検索結果やSNSでも同じことがいえるので、十分に意識してください。
画像やアイキャッチはどのようなものが良いのですか?
プレスリリースでは、メディアが使いたいと思えるような情報を盛り込むことが大切です。とくにBtoCでは画像に注目が集まりやすく、読者や視聴者に興味を持ってもらうための入り口になるので、重視していただければと思います。特にこの4つを意識してみてください。
① 画像は背景あり・文字なしを推奨
商品写真をお撮りになる場合、白背景のお写真を掲載されるかたが多くいらっしゃいます。商品が目立ちわかりやすいのですがメディアで転載する場合、利用シーンがわかりやすいお写真が好まれる場合もありますので白背景だけでなく、背景があるお写真もご用意ください。
また、画像には文字を載せないほうがおすすめです。ニュース記事などに文字入りの画像が使われていると宣伝目的である印象が強くなってしまったり、広告枠を提供しにくくなったりするため、敬遠されることもあります。
② 画像は複数枚用意
とくに食品の場合は、1枚でシズル感を伝えるのは難しいので、アングル違いの画像が複数枚あると、より魅力が伝わりやすくなります。パッケージや、おいしいペアリングの例を画像で見せるのもおすすめです。
③ 掲載メディアを意識
どのメディアにどう取り上げられたいかをイメージして、最適な画像を用意することも大切です。ファッション好きな人が見るメディアなら、おしゃれさを優先すべきでしょうし、ママ向けのメディアであれば、食材のアレンジ料理や、調理工程の画像を入れることがポイントになるかもしれません。
④ 画像の取扱いについて
「クレジットを必ず入れてほしい」「画像の加工を控えてほしい」という場合は、画像にクレジットを入れ、補足として画像下に注意書きを明記しておけば、各メディアで適切に対応してもらえます。プレスリリースとして発信される内容は第三者の誰にでも使われる可能性があります。
おもにメディアの記事などに使用されることがありますので、あらかじめご了承ください。なお、報道目的以外で、特定の画像が許可なく第三者に商用利用されている場合などには、速やかに申立てをおこなうなど、しかるべき対応を取っております。
プレスリリースを実際に配信してみよう!配信前に押さえておきたいポイント
配信したいと思ったときにまず準備するものやポイントを教えてください。
「PR TIMES」で配信する場合を踏まえて4つのポイントをお話させていただきますね。
① 原稿は何文字くらい?決まったフォーマット(形式)はある?
目安としてMicrosoft社のWordで、2~3ページ以内の情報量に収めるのがおすすめです。Wordの1ページの文字数は、デフォルトで1,440文字に設定されています。文章が長すぎると全体像が伝わりにくく、途中で離脱されることが考えられますし、FAXでは枚数が多すぎると配信を止めるようにお願いされることもあるのでご留意ください。情報を追加したい場合は、参考資料として別途PDFなどをご用意いただくとよいですよ。
原稿は、プレスリリースもストーリーも基本的にはお客様にご用意いただいております。コンテンツ掲載基準以外のルールはないので、タイトル、サブタイトル、リード、本文などの枠内で自由に作成いただけます。
初めて配信する場合は不安に思われるかもしれませんが、当社が運営する広報担当者向けメディア「PR TIMES MAGAZINE」では執筆ポイントをまとめたテンプレートを無償提供しているのでご安心ください。テンプレートは、新商品発表用や新サービス発表用などパターン別に何種類かご用意しています。最初はこのテンプレートに沿って作成いただき、慣れてきたら伝えたいメッセージに合わせて構成を調整いただければと思います。
ストーリーの原稿は、例えばネットショップなどで掲載している既存の記事を再構築すれば、作成しやすいのではないかと思います。ただし、記事をそのまま転載することはおすすめできません。そもそもプレスリリースはメディアの方が見るものなので、ファンに向けた言葉になっている部分は変えたほうがいいです。趣旨は同じでも大丈夫なので、創設者や担当者などを主語にして、想いや経緯が語られている原稿に仕上げてくださいね。
② 配信前にやるべきことは?
配信機会をよく考えて、配信スケジュールを立ててください。ネットショップの配信機会としては、新商品や期間限定商品の発表のタイミングや、イベントなどの開催前、リニューアル実施後、「累計売上個数●万個突破」とアピールしたいときなど、さまざまなケースが考えられますよね。
それぞれの配信機会から逆算して、配信スケジュールを組んでみてください。なお、配信情報の粒度が小さすぎると受け取った側が取り扱いに困ることもあるので、ある程度話題性の高い情報に絞ったほうがいいかもしれません。
③ 配信に最適な日時は?
新商品を発売する場合は、ページ公開日に手動で配信するか予約配信するのが一般的です。基本的にはネットショップの販売準備が整った状態、つまり商品概要や画像などが一通り揃った段階で、配信をご検討いただければと思います。
とはいえ、早めに情報提供しておくと公開当日に記事にしてもらえる場合もあるので、「●月●日からサイトオープン予定です」と明記して、3日から1週間くらい前に配信するのもアリだと思います。
イベントの場合は、2週間から1カ月くらい前に配信するのがおすすめです。メディアによっては、事前に1回取り上げて、さらに明日開催とか今日開催というタイミングで、SNSに投稿してくれるケースもあります。
④ 配信先はどのように決める?
配信先は、約1万2000社のなかから最大300メディアまで選択いただけます。
配信方法も自由に選べますが、FAX文化の残る新聞社や雑誌社にはFAX、インターネットメディアにはメールなどと、配信先の事情に合わせて変えていただいたほうが効果的だと思います。
ちなみに、4大メディアのなかでもとくに掲載が難しいのはテレビです。番組枠数の少なさからもわかるように、かなり狭き門となっています。ただ、Web上で話題になっているものは取り上げられやすい傾向にあるので、まずはそれをめざして、ローカルから全国区へと段階的にステップを踏むという方法もあります。
ありがとうございます!最後に小暮さんから一言いただけますか?
はい。PR TIMESでは、平日は毎日勉強会を開催してノウハウを提供しています。はじめてプレスリリースを作成する方にも安心してご利用いただけるよう、適切な情報配信のやり方や、メディアと出会いやすくなるためのテクニックなどもお伝えしていますので、必要に合わせてぜひご利用くださいね。
本日はありがとうございました。