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顔と名前は積極的に出す! “会いに行きたくなる店長”を目指す「田嘉里酒造所」の情報発信

いつも画面越しに見ているネットショップのむこうには、想いのつまった“モノ”とそれを届ける“”たちがいます。このコーナーでは、知られざる商品開発ストーリーやお店の裏側に迫る現場レポートをお届けします。
今回ご紹介するショップ
沖縄・やんばる地域で琉球泡盛の製造・販売を行う「田嘉里酒造所(現・やんばる酒造株式会社)」さん。2017年5月に開催されたカラーミーショップ大賞2017では、店長とその家族の明るさ・元気さが伝わる前向きなブログ更新が評価され、特別賞「ベスト店長賞」を獲得されました。今回はネットショップの開店秘話や日頃のアウトプットにおける工夫について、店長の池原 文子さんに詳しく伺います。

ホームページもSNSもなかった! 従業員数6名の小さな酒造所

まずは池原さんの経歴と、ネットショップ立ち上げの経緯について教えてください。

はい! 私はここ沖縄北部にある「やんばる」という地域で生まれ育ちました。高校卒業後はしばらく県外で過ごしていましたが、家族で守ってきた当酒造所に入ったのが2013年のことです。

店長の池原文子さん、通称「まるた娘」。(写真左)

当時の酒造所にはネットショップはおろか、ホームページやSNSなど、情報発信のためのツールが何ひとつありませんでした。Webの知識を持っている者もおらず、完全に手探り状態のままショップ開店準備を始めたのを覚えています。

そうだったんですね! まずどんなことから準備を進めましたか?

当時は自力でネットショップを作ろうとしていたので、瓶洗いなど通常業務の合間に技術書を買ったりセミナーに通ったり…試行錯誤の連続でした。

とはいえ日々の業務も忙しい中、一からの自作は時間・技術的にも厳しく、現実的なプランではないことがすぐにわかりまして。

そうなると、やはり外部の方に発注を…?

はい。私は見やすいWebページのラフを仕上げることにのみ専念し、最終的にネットショップコーポレートサイトの制作は外部の業者さんに委託しました。

開店準備において一番苦労した点はどこでしたか。

イメージ通りのサイトを作りたかったので何十枚もラフを描いたんですけど、それが一番苦労した点ですね。おかげで開店までには1年半もの月日を要しましたが、満足度の高い仕上がりになったので力を入れて正解だったと思います!

現在のネットショップの裏側にはそんな苦労があったんですね…! ちなみに、尊敬する人や目標とした存在は何かありましたか?

尊敬する人は特にいませんが、ネットショップにおける目標は「北欧、暮らしの道具店」さんです。扱っている商材や雰囲気はうちとまったく異なりますけど、あんなふうに質の高い情報発信を目指していきたいですね。

そういえば、ネットショップの運営を決めたころ一番最初に『ドリルを売るには穴を売れ』という本を読みました。商品の売り方からお客さまの気持ちまで実践的な内容が網羅されていて、商品企画・販売の初心者だった私にはすごく勉強になる一冊でしたね。

普段の仕事の中で心がけていることはありますか?

普段の仕事では、良いと思ったものはまず取り入れて自分で試してみることを大切にしています。もちろんやってみて合わなければ潔くやめる(笑)常にスポンジのような姿勢で、周囲の声を柔軟に取り入れながら成長していきたいですね。

顔と名前はどんどん出していく。売り手の人柄を伝える情報発信

池原さんはショップブログをこまめに更新されていますね。アウトプットへの意欲はもともと高いほうですか。

そうですね。学生時代から日記を書くことが好きだったり、友人とのやりとりもその頃から多かったように思います。今のブログもいわば日記みたいなものですし…学生時代の延長線上にある感じですね。

ブログはいつも「あの人が読んだら笑ってくれるかな」とか「この人に伝えたい事だ」とか、身近な人の顔を想像しながら書いています!

投稿からにじみ出る温かさの理由が、わかった気がします。

ありがとうございます。ただもちろん、当たり前のことですが会社に迷惑をかけないことだけは心がけています。

社の看板を背負っているので何でも好き勝手書くわけにはいかないですが、「うちのことを発信できるのは私しかいない!」という気持ちで(笑)
それを皆さんに少しでも楽しんでいただけたら嬉しいですね。

FacebookなどSNSの更新に何かこだわりはありますか?

なるべく頻繁な更新と、顔や名前を出して親近感を持ってもらうことを意識しています! できる限り読み手の方に喜んでいただけるようユーモアを交えながら…特に工場での動画配信が好評のようです。

ブログとSNSの使い分けはどのようにされていますか?

SNSには過去を振り返れるような検索機能がなく、投稿もどんどん下に流れていきますから、その日その時のテンションを前面に出して投稿しています。

逆に、きちんと書き残しておきたいことや商品紹介・裏話などはブログ記事にする感じですね。

池原さんのサービス精神には私たちも驚かされました! 顔や名前を出しての活動に踏み切ったのはなぜですか?

どんな人から商品を購入するのか、お客さまがひと目で分かるようにしたかったんです。
店長である私の顔をしっかりと出しつつ、商品にも必ず感謝のお手紙を添えて発送しています。「沖縄に来る機会があれば、ぜひやんばるにも遊びに来てくださいね!」と図々しくも書き添えて(笑)

2017年のカラーミーショップ大賞では、こうした地道なファン作りの活動が「ベスト店長賞」に結びつきました。

ひとえに応援してくださった方々のおかげです! こんなにたくさん応援してくださる方がいたとは…私自身も非常に驚きました。

残念ながら東京での授賞式には参加できませんでしたが…関東から応援してくださったお客さまには近いうちに直接お会いして、お礼を言いたいです!

沖縄まで「会いに行きたくなる店長」を目指して

今後、ネットショップで挑戦してみたいことはありますか?

もっと気軽にお買い物していただけるよう これからも立ち止まらず、日々の更新や決済方法の見直しなどを進めていきたいと思います。クラウドファンディングのようなWebならではの手法で販路を拡大したり、お客さまと一緒に楽しみながら商品を作ったり、提供できる酒造所に進化していければな、と。

地元やんばるでは、どんな存在でありたいとお考えでしょうか。

私たちの酒造所は地元に育ててもらいながらここまで続けてこれました。これからも地元にこだわりながら、自分たちの目の届く範囲で商売をしたいですし、それが私たちの強みだとも思っています。

そういう意味では、お客さまに直接発送できるネットショップは非常にありがたいです。近頃は私たちに会いにわざわざやんばるへ来てくださる県外のお客さまもいるので、日々の活動で「やんばるファン」を着実に増やせているのかなって。
私が目指すのは訪ねたくなる酒造所会いに行きたくなるネットショップ店長。販路や規模は広げつつ、今までと変わらないスタンスで商品をお届けしていきたいです!

※ このインタビューは、2017年にカラーミーショップで公開したインタビューを再編集したものです。