[prologue:description=東京・築地にある天然鮭専門店「昭和食品」さん。全国からこだわりの鮭を求めてお客さんが訪れる人気のお店です。その店長・佐藤友美子さん(通称:しゃけこさん)は、元・ライターから鮭専門店の店長になった、少し変わった経歴の持ち主。しゃけこさんに迫るインタビューに続き、今度は築地場内を案内してもらいました。:image_path=https://calamel-wordpress.s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/contents/uploads/2016/02/23093945/tsukiji_15.jpg]
しゃけこさんの案内で、場内こと中央卸売市場へ潜入します。
しゃけこさん: 築地市場って「場内」って言われている「中央卸売市場」と、「場外」と言われているここらへんの町並みが、関東大震災くらいからずっと力を合わせてやってきたのね。
これから案内いただくのは、場内ですね。
そう。プロが出入りするところではあるけど、飲食店なんかあるところは自由に出入りできるから、観光客もたくさんいるのよ。今年、中央卸売市場は豊洲に移転しちゃうから、ここのところはますます多いわね。
しゃけこさん: 築地はもともと貨車が入ってきてたのね。だから建物のかたちがアーチ型になってるの。本当に古いでしょ。
しゃけこさん: 建物の外と中の壁がないから、ターレット(荷物の運搬に使われる乗り物)とか自由に出入りしやすいんだけど、温度管理ができないのね。豊洲へ移転したら、温度管理できるような閉鎖型の市場になるから、もう二度とこんな市場の姿は見られないの。残念でしょう。
こんなにワクワクする風景が見られなくなるのは、とても寂しいです。
しゃけこさん: 日本中探してもこの大きさの市場は当然ないわねー。わたしたちはみんな残念に思ってると思うの。でも、しかたない。こればっかりは。時代がどんどん変わっていくからね。
アーチ型の建物内、水産物仲卸業者売場を案内してもらいます。
???: ああぁっ!なーーーによ!おはよーーー!!!!
しゃけこさん: おはようございますー!
???: …ん?そちらさんは?
えーーっと…
???: おいしいのあるよ。ほれ。
刑部さん:今の時期の中じゃコレ、ウマイほうよ。
やった。なんだか分からないですが、みかんありがとうございます。
しゃけこさん: フフフ。こちらはね、仲卸「尾吾」の刑部さん。刑部さんとは、消防団(京橋消防団)の仲間なんです。それでこっちは、鮭好きのお友だち。
刑部さん: へぇ〜、鮭好き!なんの鮭が好きよ?
どえーっ。なんだろう…。
刑部さん: 鮭っつっても、ピンキリあるからねぇ!鮭がどーやってココに来るか知ってる?
(し、知らない…)
刑部さん: なんだい!知らねえじゃないかぃっ! まずね、日本に帰ってくる鮭はね、じーさんばーさんばっか。産卵して死んじゃうからね、鮭は。
しゃけこさん: じーさんばーさんじゃありません。産卵前ですから、精力的でギラギラです。
そうなんですね…!
刑部さん: 今の若い子って、天然と養殖の味の違いとか判らないでしょ?
うーん、判らないですね。
刑部さん: だめね。フツーに判るようにならないと。
しゃけこさん: いろいろ食べ比べてみるとおもしろいよ。ちなみにうちの店頭で売っている鮭は、天然物。天然の鮭は、天候や自然の摂理に左右されるけれど、種類や製法により味の違いがあって、鮭ワールドは奥深いの。
刑部さん: 鯖とかもね、ほとんどそこらに出てるのはノルウェーの冷凍よ。味噌煮食べると分かるよ、日本の鯖は全体に脂が乗ってるのよ。でも外国のは皮岸(皮の近く)だけ脂っぽいの。
へぇ〜。勉強になります。
しゃけこさん: そうだ。お昼ごはん買っていこうかな。今日、何がおすすめ?
刑部さん: 今はカツオね、あとはヤリイカ。煮るか焼くか。
しゃけこさん: うーん、イワシ3本にしとくわ!
ありがとうございました!
刑部さん: じゃ、あの橋のたもとで〜!!! 毎度ォ!
(どこだろう…!)
知る人ぞ知る、築地市場の真ん中にある図書館「銀鱗文庫」へ
しゃけこさん: 実はこのお店の並びの2階に「銀鱗会」っていうのがあって。
2階があるなんて、気づかなかったです。銀鱗会というのも初めて聞きました。
しゃけこさん: さっき通ってきた水産仲卸業者の有志が集まる団体なんだけど、若い人たちに教養をつけてもらうために勉強会とかしていて。会員になると「銀鱗文庫」で本を借りられるの。
銀鱗文庫!いったいどんな本が集まってるんですか。
しゃけこさん: じゃあ、入ってみましょうか。
1 2