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買い付けた雑貨を実家に送ったらゴミと間違われたことも。 10年続くチェコ雑貨店「チェドックザッカストア」の話

チェコのいろんな古本屋さんと仲良くなって、絵本を集めた話

最初に行ってた古本屋がけっこうデカイところだったんですね。昔は1回の買い付けで何千冊とか買ってたんですよ。ダンボールで10何箱とか。すると、その本屋のヤツと仲良くなるじゃないですか。

はい。

で、その子たちが独立して自分の町に戻って古本屋を始めてたりして、そうすると、なんかその町に行くようになるんですよ。そうやって地方にネットワークが広がって。

じゃあ首都プラハ以外にも足を運ぶんですか。

プラハに着いて3日くらい買い物して蚤の市行ったら、すぐ地方に移動して、車でいろんなところまわるのが多いですね。

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谷岡さんのお友だちの本屋さんが、チェコのいろんな町にあるんですね。

ホントにそんなかんじ。地方の本屋同士で繋がってるんですよ。だから仲良いヤツのお店に行くと「タニオカ今来てるらしいぞ!」「アイツ今回俺の店こなかった!」とかバレるんですよ。(笑)

人気者ですね。

うん、みんな仲良し。おみやげ持って行ったりして。古本屋で出会った子が大きくなって自分の町に帰ってネットショップやり始めたのが、ついに実店舗作ってとか…あとは友だちの子どもが成長していくじゃないですか。そういうのを見れるのは、ホントおもしろいです。

いいなぁ、すごくうらやましいです。

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買えるのは日本でここだけ。廃棄されゆく60〜80年代家具たちの話

チェドックさんのイチオシアイテムはなんですか?

なんだろ、むずかしいな。60〜80年代のチェコの家具は、結構珍しいんですよ。

このイスとかですよね。アンティークなのに、クロスがとってもキレイですね。

うん。家具のリペアの技術とかないんで、状態の良いものしか買ってこないって決めていて。むこうで100個とか集めてコンテナで1回で送ってるんですよ。

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チェコではどうやって買い集めてるんですか。

むこうのヤフオクみたいなヤツとか…。

ヤフオク!?

うん。あとは「誰々が家具持ってる」っていう噂を聞いたら友だちに買ってきてもらったり、家具を持ってる人から写真を送ってもらって買ったり、それで集まったモノを全部友だちの家の倉庫に集めて…。

チェコのお友だちの協力がマストですね。

うん、いないと無理。それを今度はコンテナに積んで。大変よ、これ。

チェコの家具なんて、見たことなかったです。

そりゃそうよ。60年〜80年代の家具って、つい最近ちょっと見直されるようになったんですけど、むこうの人からすると「いらないもの」だから。

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えっ!こんなかわいいのに?

チェコの人からすると、社会主義時代のモノって良い思い出のあるものではないからね。

なるほど…。

プラハにIKEAができたとき、すんごい捨てられてて。街中にダンプトラックの後ろを外したみたいなゴミ捨て場があるんですよ。そこにグッチャグチャになったイスがばーーっと山積みになって。そういうの見てたら「こんなかわいいのになぁ」って悲しくなったよ。

チェコの家具の魅力、みんなに知ってほしいですよね。

そう、それこそチェコの家具屋にすら売ってないんですよ。リサイクルショップに行くと数年前のIKEAのイスかアンティークの100年前のしかなくて、この年代のモノがフツーに売ってることってなくて。

チェコですら買えないと。

そう。だから日本だとうちだけ。探すの大変だから競合もいない。 最初に家具輸入するときなんか、チェコの税関で揉めたんですよ。

 

「なんだコイツ…!」と思われながら税関をくぐり抜けた話

それまた、なぜ…?

コンテナで家具を送るとき、中身の説明のところに全部「古い家具です」って書いたんですよ。

はい。

そしたら税関の人に「なんだコイツ」って言われて。「この家具、新品でしょ?」「いえ古い家具です。」「オマエ、古い家具をそんなイスだけで150個とか…いったい何するつもりなんだ?」ってメッチャ怪しまれて。

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そっか。むこうの人にとっては、本当にいらないものだから。

そうそう。税関の人も「実は100年モノのアンティークとか入ってるのか?」と思ったらしくて「歴史的価値あるものを国外に出すときはちゃんとした手続きが必要だから、買った場所でそういったものではないという証明書を取って来い!」って言われて。死に物狂いで書類を手配したんですよ。

…今、サラッとすごいこと言いましたね。

だってネットショップとかで買ったり、人んちのモノを買い取ったりして集めたものだから、そんな証明書なんてないじゃないですか。結局、買ったところの写真を見せたりして納得してもらいましたよ。

めちゃめちゃ大変ですね…。

いやーー!かなり大変でしたよ。だから家具、買ってください。(笑)

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爆発的ブームは来ないくらいで、ちょうどいい。

今「北欧」なんか大ブームですが。

良くも悪くも日本人ってブランド好きじゃないですか。だから「ルイ・ヴィトンとかグッチを名前で買う人なんか…」とか卑下する人でも、マリメッコとか持ってたりするじゃないですか意外と。北欧とかも結局デザイナーやブランドの名前がしっかり出てるじゃない。そりゃ売れますよ。

たしかに。

そういうのがないんですよね、チェコって。共産主義国だったんで、アノニマスなデザインで工場でいっぱい作ってる機能的なモノとかが多くて。そこが独特の味になってるのかなと思うんですけど。

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目標はやっぱり「売り上げを伸ばす」とかでしょうか。

そりゃ売れるに超したことはないんですけど。例えば、芸人の一発屋とかと一緒でポーンて人気に火がつくと瞬間風速的にものすごい儲かったりしますよね。ブームが去ったとき「ああいうキャラいたよね」みたいな。

はい。

自分としては変わらずがんばっているつもりなのに「懐かしいね」って勝手に過去のモノにされちゃうの、嫌じゃないですか。だから、一過性で売れたくないですね。っていうか、チェコのモノって爆発的に売れたことないんですよね。

たしかに記憶を辿ると、チェコブームが来た記憶が…

そうそうそう、そうなんすよ。「チェブラーシカ」とかだと、2000年当時に公開されて流通ができて爆発的ブームになったけど、チェコの「クルテク」とか同じよーなキャラクターだけどさ、そういうの全くないからね!

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クルテク、みんな絵本とかで見たことあるはずなのにブームになったことないですよね。

そうそう。「なんかいるなアイツ」みたいな。 でもそういうバランスが結構いいのかな〜と最近思ったりして。

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なるほど。

だからずっと変わらずにね、淡々と好きな人が興味を持ってくれて、手にとってくれたらいいなぁと思いながらお店やってますよ。爆発的に流行らないくらいがちょうどいいと思ってます。ハハハハハ。

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