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コーヒーの香りに誘われて…
この店(KONCENT)から歩いて5分のところに「SOL’S COFFEE(ソルズコーヒー)」というコーヒースタンドがあるのですが、こだわりの焙煎手法でつくる体にやさしいコーヒーに魅了されまして、いちファンとしてKONCENTにいらっしゃるお客さまにもぜひ飲んでもらいたい!という想いからわたしたちが出店を依頼したんです。
コーヒー飲みつつお買い物を楽しめちゃうんですね!
そうなんです。最近は蔵前エリアで毎月開催している「月イチ蔵前」というイベントはじめ、街全体が注目されるようになって立ち寄ってくださる方もかなり増えました。
「ユニーク」「おしゃれ」だけじゃない雑貨たち。
それにしても店内は、おもしろい製品がたくさんありますね!
ありがとうございます! ここKONCENTは、モノを創る人と造る人、そして使う人をつないでいくデザインのプラットフォームをコンセプトにしたお店です。アッシュコンセプトのものづくりを発信するショールームのような場所でもあります。
主にオリジナルブランド「+d(プラスディー)」の雑貨のほか、わたしたちの会社とさまざまな技術を持つ企業が一緒になって開発したデザインと実用性を兼ねそなえた生活日用品を販売しています。
「+d」の中で戸村さんのお気に入りはありますか?
どれも大好きなんですけど、わたしのお気に入りはこの「ピタコロ」です。
ピタコロ…?
実はマグネットなんです。磁石って少し無機質でそっけないイメージがありますが、これはカラフルで丸っこくてやさしいイメージにデザインされているのが気に入ってます。
つなげるとオブジェみたいになるし、落としてしまったときうるさくなかったり、カードスタンドとして使えたり。小さな気遣いがたくさん詰まっているところもお気に入りのポイントです。
かわいいだけじゃなくて使う人によって使い方のアイデアがふくらむのがすてきですね。
そうなんです。これに限らず見た目におもしろいもの・おしゃれなだけではなく、作る人も使う人も、みんなが自然と笑顔になれるものを目指してデザインしてます。
作る人も笑顔になるデザイン。
「作る人」もですか?
はい。たとえばわたしたちのオフィスはここに併設されているので、スタッフはパソコンの前にいるだけではなく作ったものが使う人の手に渡るところまで見ることができます。お客さまの反応や意見を直接見たり聞くことができるので、とてもよい環境なのではないかと思います。
買った人のリアクションをダイレクトに感じられるんですね。そういえば「作る人」に対するアプローチとして、学生を対象にしたコンペも開催されていますね。
武蔵野美術大学 工芸工業デザイン学科とアッシュコンセプトが共同し、産学連携コンペとしてスタートしました。今年で4回目となりますが、プロ・アマの境界を超えたすてきなアイデアに出会えることを期待して、毎年開催しています。
ちなみに、このコンペでは商品化が確定し販売が開始されるとデザイナーの元にロイヤリティーが入る方式を採用しています。
なぜその方式を採用されているのですか?
入賞して終わりではなく実際に商品になるまでの過程や商品になってからの反応までトータルにデザインすることを知ってもらいたい、考えてもらうきっかけにしたいという気持ちからです。
学生コンペであってもデザイナーとして最後まで責任を持ってプロジェクトに携わることができるんですね。
はい。使う人のことを考えられることが、作る人にとっても笑顔になれるデザインに繋がると思うので!
店頭に小さなお皿が…?
ところで、あちらに小さなお皿がずらりと並んでいますが…?
これは「きんしゃい有田豆皿紀行」というプロジェクトで、有田焼の26窯147種類の豆皿を集めた企画展示になります。
すごい数ですね!アッシュコンセプトさんがデザインされた雑貨だけ並んでいるかと思いきや…びっくりしました。 「きんしゃい有田豆皿紀行」はどんな企画なんでしょう?
佐賀県有田焼400年事業のひとつで400年の歴史を持つ大きな産地を、もっと多くの方に知ってもらい足を運んでもらおうと考えた企画です。
なるほど。でもなぜ豆皿を集めたんですか?
有田焼に興味を持っていただき実際に足を運びたくなるようなポイントはどこだろう?と考えたときに窯元ごとの個性が浮かんだんですね。
というのも、有田焼の窯元は約150窯あるのですが「有田焼」とひとくちに言っても技法も作風もさまざまで、そのおもしろさが意外と知られていないのでは?と感じたからです。窯元ごとの個性を知るきっかけとして、豆皿ならサイズも価格も手に取りやすいかなぁと。
たしかに食器に詳しくなくても、豆皿がこうやって並んでいると気軽に手に取れます。プロダクトのデザインだけでなく企画自体のデザインもされるんですね。
そうなんです。豆皿は小さいけどきちんと技術がつまっているしどの窯元にももともとあるものなので、窯元ごとの魅力を伝えるのにものすごく適していたんです。
言われてみれば、海外だとケーキ皿のサイズが一般的ですし…実は豆皿ってものすごく日本的なものですよね。でもこんなにたくさんの豆皿どうやって集めたんですか?
1週間くらいかけてひとつひとつ窯元をまわって発掘していきました。
やっぱり見学してみると熱量がすごく伝わってくるんですね。そこで感じた想いとか職人さんたちの生活風景を伝えたくて、窯元をまわった際にあわせて取材をさせてもらって。
で、今回は展示とあわせてこのような書籍にまとめたんです。
それぞれの窯元の紹介とあわせて原寸大で豆皿を紹介しています。巻末には「きんしゃい特典」というのを付けてみました。
きんしゃい特典?
この本を持って掲載されている窯元を訪れるとさまざまな「おもてなし」を受けられる特典があります。内容は窯元ごとでも異なりますのでここでは秘密にしておきますね。(笑)
行ってみてのおたのしみ、ってことですね!おもしろい試みです。
豆皿や本を手にした人が少しでも有田焼に興味を持って、佐賀県に行ってみたくなるきっかけになればと思います。
地元を盛り上げる!浅草の革職人さんとのコラボ。
最近のプロジェクトで何かおもしろいものなどありますか?
そうですね。浅草を盛り上げていくのを目的にした「+d × TOKYO L」というブランドを最近スタートしました。これは140年以上の革製品づくりの歴史をもつ浅草の職人さんたちと+dのデザイナーがコラボして製品を作っているんです。
浅草が革製品づくりで有名だってこと、初耳です!
そうですよね。このプロジェクトきっかけにそういった文化的背景を知ってもらえたら、と思ってます。
ちなみに、どんなものを作ってるんですか?
わたしのおすすめはこれです。指で履く靴「ユビグツ」。
か、かわいいー!
靴メーカーさんが制作しているので、ステッチなど細かなところまで本格的なんですよ。
雨の日など家にいるシーンでゲームとは違ったカタチでコミュニケーションが生まれるアイテムです。
見た目にもかわいいですしルールも不要なので、どんな人でも自然と遊べちゃいます。これがあるだけで会話が弾んだり笑顔になったりするのがすてきですよね。
遊び心たっぷりで、これは大人も夢中になっちゃいそうです。
上質な革と長年の技術だからこそ可能なプロダクトにこだわってデザインしたものなので、そこは抜かりないです!
ただおもしろいだけでなく、技術や特性、もともとその会社にあるポテンシャルを最大限活用されているんですね。
デザインの力で、世の中をもっとおもしろく。
最後にこれからアッシュコンセプトさんが挑戦したいことなどあれば教えていただけますか。
KONCENTのような場はこれからも増やしていきたい想いがあります。店舗ごとの立地を生かしてその店舗ごとの魅力がどんどん強まったらいいなと。もちろんそういった活動だけでなく、デザイナーや企業、産地のものづくりを応援するプロジェクトも積極的に続けていきたいです。
みんなを笑顔にしてくれる雑貨を楽しみにしています。今日はいろいろと楽しいお話をありがとうございました!
蔵前本店の情報はこちら
住所:東京都台東区蔵前2-4-5 1F
TEL:03-3862-6018
営業時間:11:00~19:00