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「選択肢を広げよう パティスリー業界で自分らしく働くには」セミナーレポート

「カラーミーショップ by GMOペパボ」と株式会社柴田書店の「カフェスイーツ」編集部主催、製菓・製パン・カフェ業界で働く人たちの働き方を広げるためのセミナー「選択肢を広げよう パティスリー業界で自分らしく働くには」を2024年8月29日(木)、東京・渋谷のセルリアンタワーで開催しました。
今回はセミナーレポートをお届けします。

昨今、製菓・製パン・カフェ業界では女性たちの活躍が目立っていますが、ライフステージの変化など環境的な要因や体力的な問題で、働き続けたいが断念せざるを得ない人も多いという問題があります。
そこで、自分のライフスタイルに合った働き方を選ぶきっかけづくりになればという思いから、今回のセミナーを開催いたしました。

(左)パティスリービヤンネートル オーナーシェフ 馬場麻衣子さん(中央)リョウラ オーナーシェフ 菅又亮輔さん(右)アディクト オ シュクル オーナーシェフ 石井英美さん

第1部:パティシエとしての働き方

登壇者紹介

石井 英美 氏(アディクト オ シュクル オーナーシェフ)
社会人経験を経て、お菓子好きが高じてエコールキュリネール国立(現辻調理師専門学校東京)に入学。フランス、アンジェのル・トリアノン(現在閉店)、ル・グルニエ・ア・パンで研修後、 吉祥寺のアテスウェイ、渋谷のヴィロン、ラデュレ・ジャパンにて経験を積む。ラデュレでは、退職までの2年間マカロン製造部門長を務める。2014年4月に、目黒区八雲にアディクト・オ・シュクルを独立開業。2016年、日本洋菓子協会連合会公認技術指導員に任命される。

第1部には「アディクト オ シュクル」(東京・都立大学)のオーナーシェフである石井英美さんが登壇。スイーツライターの笹木理恵さんがモデレーターを務めました。

メインテーマは「パティシエとしての働き方」。
石井さんは、もともとご実家の事業を継ぐつもりでしたが、20代中頃にお菓子作りに興味を持ち、パティシエになることを考え始めたそうです。
しかし、そこからすぐにお菓子作りを本格的に学び始めた訳ではなく、30代になってライフステージが変わる出来事が訪れた時に、「このままではパティシエになることができなくなるのか」と考え、今しかない!と製菓学校への入学を決めたとのことでした。そのきっかけや、パティシエをめざした理由、修業時代に悩んだこと、その解決方法などを中心に話が進みました。石井さんのヒット商品、猫デザインのクッキー缶への想いを「“売りたい”よりも“つくりたい”を大切にしたほうが、お客さまにも受け入れてもらえる」と話します。

置かれた場所で一生懸命仕事をし、人から信頼されるような人間になることがその後のキャリアにつながる」という石井さんの言葉に参加された皆さまは深く頷いていらっしゃいました。

第2部:経営者として考えるこれからのパティシエとしての働き方

登壇者紹介

馬場 麻衣子 氏(パティスリー ビヤンネートル/メゾン ビヤンネートル オーナーシェフ)
大学卒業後、海外で通訳者として活動し、帰国後に飲食の世界へ転身。東京のスペイン料理店「レストラン サンパウ」の立ち上げスタッフに参加し、シェフパティシエを務める。その後もパティスリーやカフェの立ち上げに携わり、独立。2010年にお菓子とパフェの店「BIEN-ÊTRE P TISSERIE」、2017年にはジェラートとベイクの店「FLOTO」、2022年には「BIEN-ETRE MAISON(メゾン ビヤンネートル)」をオープン。

菅又 亮輔 氏(リョウラ オーナーシェフ)
高校卒業後お菓子の世界に入り、26歳で渡仏。ノルマンディ、ローヌアルプ、アルザス、パリとフランス各地で3年にわたって修行。帰国後、「ピエール・エルメ サロン・ド・テ」にてスー・シェフを務め、2007年12月「ドゥーパティスリーカフェ」オープンからシェフパティシエを務め、2010年春には2号店「ドゥーパティスリーアトウキョウ」を東京駅構内にオープン。2015年10月「Ryoura(リョウラ)」を用賀にオープン。お店を主にして、雑誌やTV、講習会などでも活動している。

第2部は東京・代々木上原で「パティスリービヤンネートル」や「メゾン ビヤンネートル」などを展開するオーナーシェフの馬場麻衣子さんと、本格フランス菓子のパティスリー「リョウラ」(東京・用賀)のオーナーシェフ、菅又亮輔さんが登壇。モデレーターはPR会社である株式会社令和PRの丸山悠未さんが務めました。

「経営者として考えるこれからのパティシエとしての働き方」をメインテーマとし、スタッフの評価や従業員サポートのほか、ECサイトの活用例まで話がおよびました。

馬場さんと菅又さんの店舗では子どもを育てている女性も働いており、スタッフのライフスタイルに応じて柔軟な働き方ができる環境づくりを心がけていました。

馬場さんのお店では、産休をとるスタッフに「ヒアリングシート」を配布しています。
出産予定日や業務の引き継ぎだけでなく、復帰後の働き方の希望や、配慮してほしいことなどを記入できるるようになっています。安心して産前産後休暇をとり、復職までを一緒に考えられるようシートを元に面談を実施されているそうです。

菅又さんは、「“お客さま最優先”を守るために、スタッフに厳しく接することもある」とお話しくださいました。人によって「これぐらいなら大丈夫だろう」の基準が異なるため、その感覚を擦り合わせ一定のクオリティでサービスを提供できるよう、しっかりフィードバックを行っているそうです。

質疑応答・交流タイム

その後の質疑応答では参加者たちから複数の悩みが寄せられました。
「スタッフがやめてしまう」という相談に対しては、「休憩時間などに、仕事に関係ない話をして、交流の時間も取っている」(菅又さん)など、シェフたちが真剣に参加者たちの質問に回答。最後のシェフたちとの交流タイムも盛り上がり、セミナーは幕を閉じました。

参加者の声

最後に、いただいた感想をご紹介します。

  • ・キャリアの積み方や、出産後の働き方について聞けてよかった。
  • ・独立希望なので、ECサイトの運営やスタッフへの対応などが参考になった。
  • ・石井さんの「信頼される人になる」という話が心に響いた。
  • ・働き方に特化した話を聞く機会が少なかったので新鮮だった。

本セミナーはアーカイブ配信を予定。詳細は株式会社柴田書店「カフェスイーツ」のインスタグラムに後日記載します。Instagram:@cafesweets_shibata

写真*天方晴子