ボルダリング用品やクライミング・登山用品を幅広く取り扱うECサイト「グッぼる」。ショップ開設のきっかけや、実店舗で活用している「Square対面決済」の効果、今後の展望などについて、代表の由井 辰美さんにお話を伺いました。
価格競争への危機感からECサイトを開設
ECサイトを立ち上げた経緯を教えてください。
ECサイトと電子決済の連携が進んだ2012年ごろ、ECモールの躍進に危機感を感じていました。 ロッククライミング用品は「命を守るための道具」なので、あらゆる状況を想定して販売しなければなりません。クライマー視点で見ると、価格競争の激しいECモールでは、そういった道具を適切に販売できるとは思えませんでした。商品のセレクトや管理・サポートには専門知識を要するため、自由な販売形式に懸念を抱いていたのです。
ロッククライミングを愛する者の一人として納得のいくサービスを作りたくて、自らECサイトを立ち上げることにしました。
エンジニアとしての経験を生かしてサイト構築
開設にあたり、カラーミーショップを選んだ理由は何でしたか?
過去にシステムエンジニアの経験があり、特にデータベース系の言語が得意だったので、そのスキルを活かせるサービスを探していました。カラーミーショップは細かなカスタマイズにも対応していると噂で聞き、構築に理想的な環境だったのが決め手となりました。 それから、電子商材(ダウンロードコンテンツ)が販売できることも大きかったですね。
電子商材も取り扱っているんですね。
ロッククライミングには「トポ」と呼ばれる岩場のルート図が必須アイテムなんです。 危険箇所やアプローチ方法の精査には時間がかかるため、1ヶ所の岩場が書籍化されるまでに10年かかることも珍しくありません。この状況を変えるため、PDFで電子トポを販売したところ、当時は世界的にも珍しかったことから注目され、かなりヒットしました。
物販を始めたのにはどういったきっかけが?
電子トポの販売が軌道に乗って約1年が経ったころ、地元彦根に開業したクライミングジムが好調で、そこでの物販も非常に反響がよかったんです。ただ仕入れ量が上がるにつれて、多くの在庫を抱えてしまう経営的リスクも感じたため、自分でデータベースを組んでカラーミーショップに商品登録をしたのが始まりでした。
「Square対面決済」の導入で作業効率が10倍に
Squareと連携した対面決済機能を導入される前の在庫管理方法を教えてください。
ECサイトと実店舗の在庫管理を別々でしていたので、同時に売れると在庫数が合わなくなるなどのトラブルが発生することがありました。カラーミーショップのAPIを使って同期するシステムを自作しましたが、それでもデータの整合性がとりづらくて悩んでいました。
導入してみての感覚はいかがでしたか?
想像の遥か上をいく画期的な機能でしたね。「一体誰が考えたんだ?」と驚きました。これを使えばネットショップと実店舗の受注・在庫を一元管理できますし、別途データベースを用意する必要もありません。これからネットショップを始めようとしている人にも紹介しましたが、皆さんメリットを感じて前向きに導入を検討されています。
以前はレジ締めや棚卸しにどれくらい時間がかかっていましたか?
今の10倍くらいは時間がかかっていました。Square対面決済のおかげでその手間が格段に減りましたし、もちろん実店舗のほうでも人的コストが大幅に軽減されたので、当店以外のECサイトでの効果もかなり大きいんじゃないかと思います。
フットワーク軽く、変化し続けるECサイト
日々のショップ運営でこだわっているポイントはありますか。
約8年間、毎日10分~1時間くらいの時間を割いてショップのテコ入れを行っています。文字色を変える、見づらいところを改良するなど、気になった点や要望をいただいた箇所に必ず触るようにしています。
毎日の地道な改善が、お客さまからの信頼や売上アップにつながっているんですね。今後もECを成長させるために実施していきたい施策はありますか?
現状の販売方法では頭打ちになるのが見えているので、中国で主流となっている「ライブコマース」のような仕組みを取り入れて、購入率アップを図りたいです。 また近頃は、メーカーさんのインタビュー動画をトップページに載せて商品購入へ導くことも構想しています。これは知見のある専門店だからこそできることで、無数の商品が並ぶ大型モールには真似のできない取り組みですからね。
ECサイトは、いかにフットワーク軽く変化できるかが大事なポイントです。他店ができない売り方を追求することで、お客さまの満足度を高め、信頼していただけるサイト作りを続けていきたいです。