イタリアの王族や初代首相、哲学者ニーチェらにも愛されたイタリア・トリノ最古のカフェ「Bicerin(ビチェリン)」。日本国内にも数店舗を展開しており、郷土菓子「バーチ・ディ・ダーマ」や、オリジナルのコーヒーサンドなどが人気です。
高級感あふれる商品ビジュアルから、秘書が選ぶ“接待の手土産”としての需要が高まり、順調に売上を伸ばし続ける同店に、ECサイトの運用状況についてお話を伺いました。
多様なギフト需要に対応できることがサービス選びの決め手に
カラーミーショップを選んだ理由は?
当店の商品は贈答品としてのニーズが高いため、ラッピングや熨斗(のし)などのギフト需要にも細やかな対応ができたり、在庫状況をタイムリーに確認できるような、操作性の高いカートサービスを求めていました。
また、当店では一部商品をECモールでも販売していますが、モールでは細かな設定ができなかったり、独自のストーリーを打ち出すのが難しいといった課題がありました。月々の出店料などのコスト面も含めて検討した結果、総合的に優れていたカラーミーショップで独自のECサイトを開設することが決まりました。
ECサイトのほかに、公式サイトも運営していますよね。
2つのサイトの相互連携ができる仕組みがあることも、カラーミーショップを選定した決め手のひとつです。
ECサイトだけでなく、公式サイトでも商品紹介記事やブランドストーリーなどのコラムを定期的にアップしています。記事と商品ページを相互リンクさせることで商品情報を肉付けしやすくなりましたし、より付加価値を打ち出せるようになったと思います。
サイトリニューアルとLPの設置で、回遊率・滞在時間が大幅に向上
ECサイトをリニューアルされたのはいつですか?
コロナ禍が始まった2020年です。
それまではブランドカラーのグリーンを基調としたサイトでしたが、リニューアル後はグリーンを残しつつもホワイトを中心に、シンプルで買い物しやすいサイトに作り替えました。
なぜリニューアルに踏み切ったのでしょうか?
コロナ禍で実店舗の営業ができなくなり、EC事業を強化する必要に迫られたことが大きな理由です。それまでは人手が足りない中で実店舗を回してきましたが、思いがけず時間的な余裕ができたことも、ECに本腰を入れるきっかけとなりました。
当店の人気商品「バーチ・ディ・ダーマ」は、秘書が選ぶ“接待の手土産”として殿堂入りを果たすなど高い評価をいただいています。ですが、他の商品についても合わせて知っていただきたいですし、商品の開発プロセスや作り手の想いをストーリーとして伝えたい気持ちもありました。こうしたブランド構築の観点からも、自社ECサイトを強化すべきという結論に至り、リニューアルすることになりました。
リニューアル後の成果はいかがですか?
サイト全体の回遊率が上がり、滞在時間が延びました。
当店では読みものページをLP(ランディングページ)のように作成しているのですが、そこからの流入も大きく伸びましたね。バーチ・ディ・ダーマなどのキーワードで検索したユーザーがLPを経由して購入に至る率と、公式サイトから流入して購入する率とを比較すると、最近は7:3くらいでしょうか。LP設置の効果が大きく表れていると思います。
SEOの面でも大きな効果がありそうですね。
そうですね。
また、当店の商品は贈答品としての需要が高いですが、バーチ・ディ・ダーマなどはお客さまによってはあまりなじみのないお菓子だと思います。ですので、どんな背景を持つ商品で、どんな価値があるのかを明示する必要がありました。さらに、受け取り手が商品について調べた際にも、送り手がどんな思いで商品を選んだのか感じ取っていただきたかったので、商品ごとに丁寧な説明を加えました。その想いはしっかり伝わるようになったのではないかと思います。
ほかにも力を入れている施策はありますか?
既存顧客のリピート率を上げるためにステップメールを導入し、たくさんご購入いただいた方には、定期的にメールを送ってフォローしています。ほかにもInstagramショッピング連携を行ったり、コロナ禍ではnoteに毎日1記事ずつアップしていました。
毎日1記事はすごいですね。
SEOの一環で、バーチ・ディ・ダーマなどの商品名だけでなく、「手土産」や「チョコレート」、「秘書」など幅広い検索にヒットするよう、さまざまなキーワードを盛り込んだ記事を戦略的に発信していました。
どんな成果を得られましたか?
企業さんからコラボレーションに関するお問い合わせが増え、新たなビジネスにつながっています。
具体的には、企業のロゴ入りの特注パッケージをご用意して、法人向けにカスタマイズしたオリジナル商品を提供しているのですが、おもてなしの手土産として重宝していただいています。
SNS×EC連携、企業コラボで全国的に愛されるブランドへ
今後ECサイトを運営する上で、どんなことに取り組んでいきたいですか。
SNSとECの連携をさらに深めていきたいです。
これまでSNSのアカウントは一つしかありませんでしたが、実店舗とECでアカウントを分けて、それぞれで集客につなげられるよう運用したいと思います。また、オンラインと実店舗で相互にポイントを使えるようにしているので、OMOにも力を入れて取り組んでいきたいと考えています。実店舗のない地域のみなさまにもぜひファンになっていただきたいですし、全国の企業さんとのコラボも促進していきたいですね。
それから、お店の名前にもなっている看板商品「ビチェリン」の認知も、Webを通じて今後いっそう広げていきたいと思っています。18世紀にトリノで生まれた伝統的なホットチョコレートドリンクで、実店舗では専用のグラスに入れて提供しています。 エスプレッソの苦味とチョコレートの香り高さ、泡立てたミルクのまろやかな口当たりが絶妙にマッチした一品ですので、ぜひ一度飲んでいただけたら嬉しいです。