さこっち先生こと、ECコンサルタントの酒匂 雄二さんがショップオーナーさまのお悩みを聞いて、ネットショップの改善点やサイト最適化についてアドバイスをする連載です。
今回は、馬毛や自然の木を使ったブラシを自社工場で一貫生産している「ショージワークス」さまのからのご相談にお答えいただきました。
レビューを投稿してもらうには?
最初のご質問はレビューについてです。
そのためには、どうしたらよいか?
とのこと。さっそく答えていきたいと思います。
ポイントを付与する
まずは、カラーミーショップ管理者ページのレビュー設定を確認してみましょう。
すでにショージワークスさんでは設定されていますが、レビュー投稿者を「購入者のみ」にすることで、お客さまだけにレビュー投稿画面へのリンクを表示することができます。会員限定価格を設定しているショップさんは、レビュー投稿者を「会員のみ」に限定して、レビューの信頼性を高めるのも一つの手ですね。
さらに、レビュー投稿者にポイントを付与するのもおすすめです。ネットショップや受注・発送メール、同梱物に「会員登録&レビュー投稿で、次回お使いいただけるポイントをプレゼント!」というアナウンスをすることで、レビューを投稿するメリットと導線を増やすことができます。
この際に付与されるのは、自社発行ポイントです。オンラインモールのように他のショップでも使えるポイントではないので、自社発行ポイントやクーポンをプレゼントすることは、リピーターの獲得にも有効な施策と言えるでしょう。
サイテーションを増やす
近年、注目されているのがUGCです。UGCはUser Generated Contentの略で、一般ユーザーによって作れられた「ユーザー生成コンテンツ」の総称のこと。具体的にはブログやYouTube、SNSなどに一般ユーザーが投稿したコンテンツや感想、レビューを指します。これらはネットショップに投稿されたものではありませんが、サイテーション(言及・引用)と呼ばれ、SEOの観点からも効果があります。
これまでのSEOでは、被リンクを受けて初めて効果があると言われていました。しかし、サイテーションはリンクをされていなくても、WEB上で言及さえされていれば、SEO効果が期待できます。
例えば、「ショージワークスの馬毛ブラシ最高!」というツイートがあったとします。このテキストをそのままGoogleで検索すると、ショージワークスさんのサイトが上位に表示されるでしょう。店名が入っているので当然ではありますが、ツイートの内容と関連度が高いサイトであると検索エンジンが認識しているとも言えます。
このことを用いて、TwitterでRT&フォローキャンペーンやInstagramでフォトコンテストを開催して、WEB上での言及数を増やしているネットショップもあります。集まった投稿をネットショップやブログに埋め込めばサイテーションになりますし、リアルなお客さまの声としても活用できるというわけです。
ユーザーレビューとSEO
2021年10月19日にGoogleの検索品質評価ガイドライン(General Guidelines)(※)が改訂されました。
※検索品質評価ガイドライン…Googleの検索結果を評価する際に指針とされるマニュアルのこと。
約170ページにわたって英語で書かれているため読むのは大変ですが、16ページあたりの改訂箇所を抜粋して日本語に訳したものが以下になります。
レビュー、リファレンス、専門家による推奨、ニュース記事、その他の信頼できる情報を探してください。ユーザーレビューは、製品やサービスを提供するウェブサイトの評判のソースとして役立つことが多いです。多くのユーザーレビューは、製品やサービスを提供するウェブサイトの評判の情報源として役立ちます。
このことから、GoogleがWEB上のユーザーレビューを参考にしていることがわかります。さらに、レビューがSEOにとっていかに重要かも窺うことができると言えます。
賑わいを演出する方法を知りたい
2つ目のご質問はネットショップの見せ方についてです。
とのこと。ここからは、私が講師を務める少人数制のネットショップ運営講座「カラーミーカレッジ」の1期生である「美観堂」さんの事例を交えてお話したいと思います。
美観堂さんは講座のスタート時から、一番の売れ筋商品である「黄ニラしょうゆ」ページの賑わい演出に注力されていました。
当初は商品写真と説明文があるだけでしたが、講座を通じて、まずは実店舗がお客さまで賑わっている様子や作り手の姿などを載せて、人気(ひとけ)づくりをされました。
商品写真の登録数も2020年は3枚と、やや物足りなさを感じます。
現在は調理例や素材の写真を追加して8枚になり、それだけでも印象がずいぶんと変わりましたね。
商品ページの下部にはスタッフの笑顔の写真もあり、画面の向こうではこの人たちが発送やサポートをしてくれているんだなとわかります。
このように、買い手と作り手が見える活気のある商品ページに生まれ変わった結果、1件もなかったレビューが今では20件ほどに増えました。美観堂さんでは、すべてのレビューに丁寧な返信をされています。ショップの心遣いが見えるありのままのレビュー欄はスタイリッシュとは言えないかもしれませんが、お客さまに安心感を与える役割を担っていると感じます。スタイリッシュなイメージにこだわることで敷居が高くなり、レビュー投稿のハードルを上げてしまうことも考えられますので、個人的には気軽に投稿できる雰囲気作りを優先されるのがよいかと思います。
ショージワークスさんの馬毛ブラシは、洋服や靴に一家言ある方々がコアユーザーとなるでしょうから、熱量の高いレビューが期待できそうです。ぜひ、商品への想いが語りやすい雰囲気作りを心がけてみてください。
トップページの改善点を知りたい
3つ目のご質問はトップページについてです。
さらにトップページの改善点があれば知りたい。
ということで、以下はスマートフォン表示のファーストビュー(左)と、以降に続くセカンドビュー(右)の内容になります。
ファーストビューの要素はアップのブラシ写真、「Shoji Works」のロゴ、「ブラシのある暮らし。that live with brush」の文字というシンプルな作りです。ブランドサイトとしての雰囲気が伝わり、ご質問の言葉にもあった「スタイリッシュ」を目指されていることが伝わります。ファーストビューをブランドイメージに振り切っているぶん、セカンドビューに並んでいるメニューアイコンは非常に重要です。
メニューアイコンは靴用、洋服用とファッションのブラシに続いて髪、身体用と続きますが、ここで随分と趣が変わる感じがします。靴は外へ履いて出かけ、家に帰ると脱ぐ方がほとんど。靴用というと外のイメージが強いのではないでしょうか。一方、身体用ブラシは浴室で使うものです。「外の履物用と浴室の身体用」では、対極のものと感じます。
一案ですが、デリケートな素材の服や靴、繊細な髪や身体にも安心して使えるという、ブラシ全体のクオリティに関する説明を入れることで、統一感を出してはいかがでしょうか?
カテゴリーページも内容の充実を
次に、「髪のブラシ」のカテゴリーページに移動してみましょう。
目に入るのは「ヘアブラシ。(毎日のお手入れに)」というタイトルと、2種類のブラシ写真のみです。
もちろん、写真をクリックした先には商品情報の詳細がありますが、クリックやタップが1回増えるごとに、6〜7%のユーザーが離脱すると言われています。ヘアブラシのカテゴリーページにもフリースペースを設け、テキストや画像を用いてヘアブラシの特徴や強みなどの説明を入れるとよいでしょう。
ショージワークスのヘアブラシに使用している毛は、しっかりとした太さのある猪毛と弾力性のある黒豚毛を使い心地が良くなるように自社で特別に配合した100%天然毛です。体にも環境にも優しいヘアブラシです。
カテゴリーの作り込みは「フリースペース」の編集で行うことができます。詳しくはカラーミーショップのヘルプセンターをご参照ください。
クリックされるバナーとは
各カテゴリーへのアイコンの下には「that live with brush」とイラストの入ったバナーがあります。こちらのバナーをスマートフォンで見ると、画面に対して横幅がやや短いですね。画面に横幅を合わせるか、中央揃えでの表示をすると、よりよくなるのではと思います。
バナーの遷移先のコンセプトページでは、ものづくりに対する想いや姿勢がコンセプトムービーと共に紹介されています。ショージワークスの世界観を知っていただくための非常に重要なコンテンツですが、バナーに使われているのがかわいらしいイラストで文字も小さく、どの程度クリックされているのか少し気になりました。
このバナーにこそ、職人さんの手元などのクラフトマンシップを感じる写真を使って、ブラシ作りへのこだわりを伝えるコンテンツであることがわかるデザインにするとよいでしょう。
コンセプトページについて
コンセプトページで気になったのは枠で囲んだ部分です。
ヒノキ、ウォールナット、豚毛、馬毛といったブラシの素材が紹介されています。この部分は特にスマートフォンで閲覧しているときにタップしたくなる箇所かと思います。ヒノキをタップするとヒノキを使用した商品一覧に、馬毛をタップすると馬毛を使用した商品一覧に飛べると、より親切になるでしょう。
おわりに
ショージワークスさんのネットショップをパソコンとスマートフォンで見比べてみると、パソコンでの操作性、閲覧性は非常によいと感じました。
しかし、スマートフォン版は先述した通り、まだまだ作り込みができる余地があります。スマートフォン版を見ている訪問者は多いと思われますので、ページを制作・編集した後は、スマートフォンで行間、改行、タップしたくなる箇所などをチェックしてみてください。
この記事が少しでもネットショップ運営のお役に立つことができれば幸いです。
それでは、第5回でお会いしましょう! ありがとうございました。