[prologue:description=新潟県の繊維メーカー5社が共同で起ち上げたブランド「つもりプロジェクト」。メーカーならではの視点でユニークな商品開発に挑戦しています。今回は参加企業のひとつである第一ニットマーケティング株式会社さんの工場を見学しました。:image_path=https://calamel-wordpress.s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/contents/uploads/2017/09/02114310/0102_original.jpg]
日本一の産地!新潟県のニット産業
この工場ではどんなものをつくっているんですか?
第一ニットマーケティングは、アパレルブランドさんからのオーダーを受けて薄手のセーターなどをつくっているメーカーです。
プロジェクトに参加している企業のなかでは、第一ニットマーケティングと白倉ニットの2社が「横編み」と呼ばれる方法でニット製品をつくっています。
横編み…ですか?
かんたんにいうとセーターをつくる製法のことです。
ニット=セーターではないんですね。
1本の糸でループをつくりながら編まれた生地(素材)のことをニットと呼ぶので、セーターはニットでつくられた製品のひとつになります。
横編みのほかに、丸編みなんかはTシャツの生地などをつくる製法になります。
ニットと言ってもさまざまな手法があり、それによってつくられる生地や製品も違うんですね。
そうなんです。ちなみに新潟県は国内で最も大きなニットの産地なんですよ。この工場も、国内ではかなり大規模なものになります。
この建物も、ものすごく広いですね…!
一般的な繊維メーカーは、生地をつくる工場と縫製する工場が分かれているんですけど、横編みの場合は、生地づくりから縫製、製品出荷までひとつの工場で行っているケースが多いので広い敷地をもっているんです。
なるほど。
ここでは1階で生地の製造、2階で縫製作業をしています。全行程をぐるっと見てまわれるので、一般の方の工場見学も受け付けているんですよ。
では、1階からご案内しますね。
巨大で壮観! ニットをつくる機械
ここにあるのは、セーターを編む機械です。
この機械ってどこで入手するんですか?
これは和歌山県の島精機さんがつくっているものになります。横編みの機械を作る会社の中では世界でもトップシェアの会社です。
このフロアに機械は何台あるんですか。
約140台あります。目の前にある機械は、セーターの袖部分をつくっていますね。
糸を上部にセットすると、機械が自動で編んでくれます。
これは横網みの特性なんですけど、カットロス(シャツなどの生地を裁断する際に出るような余り)が出ないので、とってもエコなんです。
設計どおり余計な部分を出すことなくパーツを編んでくれるんですね。この機械はひとつのパターンしか編めないんですか?
パソコンでプログラミングしたものを機械にインストールをするので、ひとつの機械でいろいろなデザインをつくることができます。
プログラミング…! (耳慣れた言葉に思わずたじろぐ)
機械によって編めるゲージは違って、いま見てもらっている機械は18ゲージの編み地をつくっています。
ゲージって何を表しているんですか?
1インチ(2.54cm)の中に入っている針の本数です。
この数字が大きくなるほど目の細かい生地、小さくなるほど目の粗い生地になります。18ゲージは大きいほうなのでTシャツのような目の細かい生地をつくることができます。
袖を1本つくるのに、どれくらいの時間がかかりますか。
デザインにもよりますが、20分くらいですかね。ゲージが大きいほど時間がかかります。
こっちの大きな機械はなんですか?
これはドイツのシェラー社さんのフルファッションという機械です。
ほかの機械が7〜21ゲージくらいを編めるのに対してこの機械は30ゲージのとても目の細かい生地を編むことができます。
すごく古い機械でメンテナンスをするにも部品を手に入れるのがむずかしくて、この機械を取り扱っている会社さんは国内でも少ないんです。なのでこの機械を目当てに注文してくださるアパレルさんもいらっしゃいます。
貴重な機械で生地をつくられているんですね。
では続いて2階をご案内します!
さまざまな分野の職人さんが働く2階
ここでは、型紙づくり・縫製・アイロンがけ・検品などをしています。
何人くらいの方が働かれていますか?
だいたい220人くらいかな。7割ちかくが女性です。
ここで行っているのは「リンキング」といわれる縫製作業です。
どんな作業なんですか?
伸縮性のある生地に適した縫製方法なんですけど、ひとつひとつの目に針を通すのに人の手が必要になるとても繊細な作業なんです。
この作業は中国の研修生さんたちも担当してくれています。彼女たちものすごく目がいいんですよ。
全て機械任せではなく、こういった細かな人の手による作業もあるんですね。
で、こっちはミシンでの縫製作業になります。
みなさん座らないんですね。
座って作業するよりも立ってやるほうが効率がいいみたいです。
形になったものをこのセクションでアイロンがけします。あのアイロン、ものすごく重いんですよ。
アイロンを担当されている人は、他の作業をすることはないんですか。
そうです。完全に分業なんです。それぞれのセクションにプロがいるんです。
アイロンのプロフェッショナルか〜。
最後にアイロンした製品を1点ずつゴミや傷がないかチェックします。検品が済んだら梱包して、ようやく出荷できる状態になります。
最後は全て人の手で行うんですね。1日につくられる量はどれぐらいなんですか。
1日だいたい800枚で、月にするとだいたい15000枚ぐらいかな…。
たくさんスタッフさんがいらっしゃるとはいえ、ものすごい数をつくられているんですね。
ちなみに7月〜9月は秋物冬物セーターの製造で、1年間でいちばん忙しい時期なんですよ。
お店にならぶセーターができるまでに、さまざまな職人さんや機械が関わっているのを見ることができて感動しました…! つもりプロジェクトさんの製品もここにありますか?
3階にあります。ご案内しましょう。
つもりプロジェクトが生まれるまで
つもりプロジェクトがこれまでにつくってきた製品やこれから取り組む企画について詳しくお伺いしました。来週公開予定のこちらの記事もどうぞお楽しみに。