[prologue:description=おいしくて低糖質な「ふすまパン」が人気の「フスボン」さん。よむよむカラメル編集部も大好きなパンの誕生秘話にせまるべく、東京恵比寿の路面店へ訪れてみると、オーナーさんはまだいらっしゃっていないようで…。:image_path=https://calamel-wordpress.s3-ap-northeast-1.amazonaws.com/contents/uploads/2016/03/29145022/0005_original1.jpg]
こんにちは!よむよむカラメル編集部です。
スタッフちゃん: いらっしゃいませ!
スタッフくん: すみません。オーナーですが今こちらに向かってるところで…少しおまちいただけますか。
はい!ありがとうございます。たくさんパンが並んでますね。
お店で売れてるのはどれですか?
スタッフくん: 人気はここらへんの「マフィン」ですね。今日も品切れになっちゃいました。
スタッフちゃん: あとは「十勝あんぱん」。糖質制限してる方でもしっかり甘くて満足していただけます。きちんと甘味もあるのに糖質10g以下に抑えているんですよ。
ふむふむ。「ふすまパン」はよく耳にしますが、いろんな種類があるんですねー。
スタッフくん: あっ、お客さんが…。
どうぞどうぞ。
???: こんばんは。本当におまたせしてすみません…!
初めまして。オーナーの川谷さんですか…?
川谷さん: はい、そうです。初めまして。遅れて本当にごめんなさい、川谷洋史と申します。
スタッフくん: あ…。初めまして!!
えっ!
川谷さん: すみませんバタバタさせてしまって。この荷物、撮影もあるので避けたほうがいいですよね。ちょっとおまちください。
ありがとうございます。おかまいなく…!
あれ。おふたりも川谷さんと初対面なんですか?
スタッフくん: (小声で)はいっ!東京にはなかなかいらっしゃらないので実は僕らも会うのは初めてです。
スタッフちゃん: (小声で)もともとアルバイトしていた同級生の紹介だったので、初対面なんです…!
(小声で)みんな初対面じゃないですか。(笑)
川谷さん: おまたせしました。では取材を始めましょうか…!
人気のふすまパンブランドのオーナー、その正体は…。
ではさっそく。フスボンさんは、いつからスタートしたんですか?
川谷さん: 2014年9月からスタートしました。
大阪に工房がありますが、なぜ東京にお店を出されたのでしょう?
川谷さん: まさに、こういう取材のためです。何かプロモーションを展開するにも、メディアがこちらに集中してるので。なのでここは「アンテナショップ」という位置付けです。
フスボンさんを立ち上げた経緯を教えてください。
川谷さん: はい。フスボンは、よりよい「ふすまパン」をつくりたいと思って、ぼくが立ち上げたブランドなんです。
パンをつくる仕事をもともとされていたんですか?
川谷さん: えーっと…それがちょっとややこしくて。実は、ぼく地元で市議会議員をやってるんです。
市議会議員さん…!
川谷さん: はい。2007年くらいから議員をやってるんですが、さらに遡ると、もともと建築士をやっていたんですね。
市議会議員のほかに建築士の顔も持っていらっしゃるんですか、川谷さん。
川谷さん: そうなんです。話を戻すと、議員になってからお付き合いでゴルフへ行くようになり、体を鍛えるためジムへ行くようになったんです。からだづくりをするうえで最終的に「食生活の見直し」に行き着いたんですね。当然低糖質・高たんぱくなメニューになるんですけどそれをストイックにやっていくと、どうしてもパンとかごはんを食べたくなることがあって。
ふむふむ。
川谷さん: それで低糖質な「ふすまパン(※)」が世の中にあるってことを知ったんですが、既存の製品においしいものが少なかったんです。
うーんたしかに。ぽそぽそしていて、甘くなくて…。
川谷さん: そうなんですよ。あとはふすまは小麦の一番外側の部分なので農薬とかマーガリンとか人工甘味料も気になって。低糖質だけにこだわって他の健康が損なわれてしまうパンじゃなくて、本当においしいパンが食べたい。そんな想いからパンをつくりはじめたんですね。
じゃあビジネスを始めようという入り口というよりは…。
川谷さん: まずは自分が食べたいものをつくってみよう、というのが先です。最終的に世間からもニーズがあるんじゃないか?って気づいたんです。
※「ふすま」とは、小麦などの穀物の外皮や胚芽のこと。小麦粉と違って糖質を多く含む胚乳が一切含まれていないために低糖質。ダイエットなどで注目されている。
「言ったらあれですけど…キリンでもゾウでも…。」
購入されてる方はどんな方が多いですか?
川谷さん: 女性が多いです。
なのでデザイン面でも、バンビのイラストをいれてキャッチーにしたり。親しみやすいカタチをとりながら、でも中身もしっかりしてるっていうのを目指しています。
なるほど。なぜバンビを…?
川谷さん: あー…それは言ったらあれですけど、キリンでもいいしゾウでもいいし…。(笑)
あっ。そうなんですか!!(笑)
川谷さん: ブランドを始めるとき「親しみやすくするために何かキャラクターがあったほうがいいよね」っていう話になって、ぼくが「かわいいからバンビがいいなー」ってなんとなく言ったら、そのまま進んでカタチになっちゃいましたね。
お店の看板にもなってますね!
川谷さん: 後付けになっちゃうんですが、鹿せんべいの材料にふすまが使われているんですね。あと「足が細くてかわいらしいので、そういう女性になってほしい」といったことを言ってます。(笑) あと、ネーミングの由来についてもよく聞かれるんですが…。
「フスボン」の「フス」はふすまからきていますよね。「ボン」は?
川谷さん: 「ふすま」と「ボンジュール」をかけあわせた造語なんですけど、大豆粉に含まれる「イソフラボン」の「ボン」から付けましたとか、そういう説明もしています。(笑)
でもしっかり見た目にキャッチーで、響きもかわいくて。戦略どおり、女子ならみんな手に取りやすいです!
川谷さん: そうなんです、そこは大切にしています。
「糖質制限」というと制限という言葉からストイックなイメージがあると思うんですが、ぼくたちは女の子たちが「ただかわいい」「ただおいしい」そういうライトな感覚で入れる「からだづくり」を提案したいと思っています。
健康志向やダイエットを強く意識されていない方にも、食べてもらいたいですよね。とってもおいしいですし…!
川谷さん: うん。若い女の子とか働く女性に、気軽にフスボンをストックしてもらいたいです。毎日お腹が空いた時にちょっとずつ食べてもらえたらうれしいですね。
コンクリートの配合のように試行錯誤を繰り返して本当においしいものをつくりあげる。
今パンの種類は何種類くらいあるんですか?
川谷さん: そうですね最初6種類だったのが、今は30種類くらいになりました。メインのフスボンをつくったあと「十勝あんぱん」をつくって、そこからどうなっていったかな。たしか「塩バターロール」をつくったのかな。
このバターロール、食べたことあります、すっごくおいしかったです…! ちなみに初めて買われる方に、おすすめしたいものはどれですか?
川谷さん: 「クランベリークリームチーズ」ですかね。しっかり甘みがあるので焼いたり何か塗らなくても、おいしく食べられます。あとは「ブラックペッパースモークチーズ」も、食事やお酒に合わせられるのでおすすめです。
これらのレシピは、すべて川谷さんが考案されてるんですか?
川谷さん: はい、そうです。
パンづくりは、何か独学で勉強をされて?
川谷さん: はじめつくったときは、パンの知識もなかったのでもう独学で。パンの本を読んだり、知り合いで家でパンを作っている人に聞いたり。大学のときコンクリートの研究室にいたんですけど、パンづくりもコンクリートを強くしていくのと同じ感覚で、どうやったらおいしくなるか配合をいろいろ試行錯誤していったかんじです。
コンクリートの研究がこんなところで出てくるとは。
川谷さん: まずは、てきとうにつくってみるんです。たとえば10個変数があったらまず1個だけ動かして残りの9個は固定する。その変数がパンにどう影響するかを認識して、違う変数を動かしてまた結果を探る。何回もやっていると感覚的にいろいろ分かってくるので、一気に何個も変数を動かしたくなるんですけど、そこは我慢して地道に進めました。
レシピの開発は、まるで実験みたいなんですね。
川谷さん: そうです、もうまさに実験。なので「失敗してもともと!」というかんじで開発していったからこそ、今があると思っています。
パンは、今どれくらいの人数で製造しているんですか?
川谷さん: 今は4、5人なんですが、イートインもはじめたので増やしていこうと思っています。
イートインのオープンもあって、お忙しいところ今日は本当にありがとうございます…!
川谷さん: いやーなかなかバタバタしていて。これからまた新たに運営を整理して、4月から再スタートしたいところです。
今後の展望は?
川谷さん: 商品ラインナップを増やしたいですね。あとはいろんなお店とのコラボレーションや商品開発とかもできるようになったらいいなと考えてます。
とにかく今いそがしい!ってかんじですよね。
川谷さん: そうですね。初めてお会いする方にむちゃくちゃなところお見せしてすみませんでした。(笑)
暗くなっちゃったのですが、最後に、お店の外観をもう一度撮影してもいいですか?
川谷さん: どうぞどうぞ!ちょっとまってくださいね。あの柱じゃまですよね、取ります。
川谷さん: …よしこれで大丈夫。あっ、ふたり入ってるよ。
ありがとうございました! お客さんいらっしゃいましたね。少しこのまま外にいさせてください。
川谷さんが、まさかパンの業界に関わっていないとは、びっくりしました。
川谷さん: マジですか。そうなんです、関わってないんですよ。
しかも、議員さんだとは。
川谷さん: よく驚かれます。もちろん選挙とかもするんですよ。
選挙とふすまパンの事業が同時に動いてるなんて。
川谷さん: もちろん議員の仕事が本業です。最近だと、どこの地方も人口減による税収の減少に悩んでいて「シティセールス」といって自治体が地方の特色をブランド化する動きが活発なんですね。そういうこともあって、ゼロからブランドをつくること、人が作ったものでなく自分で作ったものをネットを通じて販売する経験を、身をもって経験できているのはありがたいです。
そこらへんの「ものづくり」に対する意識は建築から来てるのかもしれませんね。
川谷さん: そうですね。本当は建築の仕事もやりたいですけど、今はちょっと無理ですね。
ではせっかくなのであらためて…最後にひとことおねがいします。
川谷さん: そうですね。さっきも言ったように他のブランドとのコラボとか商品開発に挑戦したいっていうのと、最終的にはフスボンがコンビニに並んで、もっと手に取りやすくなれるようがんばりたいです。
今日はおもしろいお話をありがとうございました!