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西荻窪・Northwest-antiquesの店主が勧める、本物のアンティーク家具3品

西荻窪にあるアンティーク家具や雑貨を販売する「Northwest-antiques」さん。販売をメインで担当する平山哲也さんと、家具や雑貨の修理を専門とするリペア職人の望月拓男さんに、おすすめのアンティーク家具を教えていただきました。

写真左から平山哲也さん、望月拓男さん

写真左から平山哲也さん、望月拓男さん

1.イギリスのドローリーフテーブル

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望月さん:これはイギリスのドローリーフテーブルです。構造上安定しやすい、2本足のテーブルを仕入れることができました。

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立派なテーブルですね。

望月さん:天板の素材は無垢です。男性が好むような古さをわざと残すように仕上げました。ある方は「いいねえ、これ。こういうテーブルで一杯飲みたいね」と言ってくれました。修復のやり方次第ではもっと綺麗にできるけど、あえて綺麗にしすぎない。木目の凹凸や歳月を感じられる道具としての佇まいが「Northwest-antiques」らしい修繕なんです。

つなぎ目で微妙に色味が違う

つなぎ目で微妙に色味が違う

 

2.天童木工のリビングチェア

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平山さん:こちらは山形県にある天童木工のリビングチェアです。60〜70年台にデザイナーチェアが世界的に流行っていたのですが、その頃に日本メーカーで成功したのが天童木工です。だから見た目だけではなく機能美を追求している。いろんな有名なデザイナーが天童木工の製品を手がけているんですよ。

どんな座り心地なんですか?

平山さん:それはぜひ座ってみてほしいなあ。クッションがない割には、ソファみたいな座り心地ですよ。

うわ、本当に気持ちいい。長い時間かけて読書したくなりますね。

平山さん:足置き台に足を乗せて、ゆっくりしたくなりますよね。

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平山さん:じつは復刻版も出ていて、レプリカも今なお販売されているロングセラーの製品です。これは60年台のオリジナルのチェアで、プライウッド(合板)といって、薄い木を重ねて蒸気の熱で曲げて整形しています。

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望月さん:木を重ね作っているから、表面が剥がれてしまった部分もあります。お金と時間をかければもっと本格的に修理して綺麗にすることはできるんですけれど、そこまでするなら新しいチェアを買えばいい。木肌を触っても引っかかりなく滑らかであれば、修理としてはこれで完成です。「Northwest-antiques」らしいところは、古いままを活かして自然な姿に留めることですね。

 

3.船旅用のトランクをテーブルに

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平山さん:「Northwest-antiques」らしいアンティーク家具として欠かせないのが、トランクです。一脚の椅子だけではなくて、二人がけや三人がけのソファの前に置いたりして、コーヒーテーブルやローテーブルとして使えるんですよ。

望月さん女性のお客さんが、トランクは「カッコいいですね」って言ってくれますね。

かわいくもありますよね。

平山さん:もともとはアパレル関係のショーウィンドウに飾られたり、ディスプレイ台として使われたりしていました。今は、一般家庭でも家具として使うんですよ。

ローテーブルの他に、違う使い方はありますか?

望月さん:収納ですね。

平山さん:ただの棚を置くよりも雰囲気が出るし、かつ台にもなる。トランクをおもちゃ箱にされる方もよくいますよ。あえて開けっぱなしにしておもちゃを飾って、見せる収納として活用するんです。

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おもしろいですね。そもそもトランクはどのような用途で使われていたのでしょうか。

平山さん:トランクは船旅用の荷物を積むためのコンテナなんです。丈夫で、いくつ積み上げても壊れないように作ってあります。仕入れたトランクに、時々各国の港や国のステッカーが残っているのも風情がありますよ。

望月さん:ほとんどのトランクは昭和の始め頃に作られたものですが、当時から海外を行き来している裕福なお宅がトランクを持っていらっしゃるんですよ。今では貴重なアンティーク家具でもあります。

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本物のアンティークとは

販売と修理でメインの仕事が分かれていると、家具を仕入れるお二人の視点も異なってくるのではないでしょうか?

平山さん:望月さんはリペア職人なので、家具を仕入れるときに1から10まで修理に必要な工数をイメージして仕入れをしています。ぼくはなるべく仕入れてから販売するまで、直しの手間がかからないコンディションのいいアンティークを選んでいます。

望月さん:修理について知らない人は、「こんな汚い道具はタダであげる」って言う。ぼくは修理にかける手間以上に品物が化けることを知っているので、安くアンティークの品が手に入ったときは、しめしめと心のなかで喜んでいるんです。安く仕入れができれば、その分お店で安く販売できます。

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アンティークの魅力はどんなものだと考えていますか?

望月さん:アンティークは古いから良いということではありません。時間が経ったゆえの艶に惚れぼれします。

平山さん:古い家具や雑貨は、木と金属の素材が多いです。腐食したり木箱が割れていたり、釘が錆びていたりします。でも、錆びたり腐ったりするのには時間がかかります。アンティークは時間をかけて古くなっていくからこそ、味を持つわけです。今は技術的にアンティーク調という加工ができるようになったので、古びたものに似せた新品を作れます。けど、あくまでも新品は新品。ずっと使われてきた本当のアンティークと呼ばれる道具は、人に使われてきた分だけの深みがあるからかっこいいんです。

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使われてきた深み?

平山さん:そのアンティーク家具が今ぼくたちの手元に残るまでには、いろいろな人の手を経て残り続けた意味や理由があります。そしてその事実に価値がある。どんなに古くても使われ続ける道具が、本物のアンティークです。

なるほど。

平山さん:ただ、同時にぼくらが伝えたいのは、みんなが思っているほどアンティーク家具は特別なものではないこと。もちろん決して安い品ではないけれど、同じ金額で新品の家具を買うなら、決して使い勝手や手にした満足感を考えると高いものではないですから。

望月さん:ぜひアンティーク家具を生活に取り入れ、人々に長く愛されてきた意味や理由を楽しんでみてほしいです。

 

今回お話しをうかがった人

平山 哲也(ひらやま てつや)
1980年 東京都八王子市生まれ。アパレル業界から30歳を機にアンティークの世界へ。小売業の経験を活かしてお店の顔を目指す。漫画とアニメと洋服が好き。

望月 拓男(もちづき たくお)
1966年 杉並区西荻生まれ。航空自衛隊勤務を経て、アンティーク業界へ。これまで20年にわたりアンティーク家具のリペアを専門とする。酒とロックをこよなく愛し、アメリカンニューシネマの世界に生きる男。
 

このお店のこと

Northwest-antiques

住所: 東京都杉並区西荻北4丁目18−6


営業時間:10時00分~18時30分
定休日:水曜日
電話:03-3396-2040
※今回紹介したアンティーク家具は一点もののため、店舗に問い合わせても在庫がないことがあります。ご了承ください。

 

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