ネットショップの役割は販売だけじゃない「ヒッコリースリートラベラーズ」がみつけた新しい役割

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ヒッコリースリートラベラーズ 迫 一成さん インタビュー

新潟県新潟市を拠点にモノやコトのデザインを展開する「hickory03travelers(ヒッコリースリートラベラーズ)」さん。「カラーミーショップ大賞2017」では、商品開発やデザインのみならず、新たな流通を生み出すためのアクションが高く評価され「地域賞」を獲得しました。今回は代表の迫 一成さんにネットショップの活用法について詳しく伺います。

コンテストきっかけで生まれた地域を超えたつながり

hickory03travelers(以下、ヒッコリー)さんの活動について具体的に教えてください。

ロゴや商品のデザインから実店舗での販売、イベント企画などいろいろやっています。最近は観光でこの町に訪れる人が増えたので、おみやげの発掘に力を入れていますね。

実店舗にはオリジナル商品だけでなくセレクトも多く並んでいますね。

自分たちのデザインしたものだけだと、どうしてもゆるい雰囲気に偏ってしまうので、セレクト商品も含めてうまくバランスをとっています。

セレクト商品はどうやってみつけているんですか?

展示会でたまたま出会うこともありますし、紹介されたり教えてもらって取り扱いを開始することもあります。

よくながめてみたら、カラーミーショップを使っているショップさんのアイテムもたくさん並んでいます! これは…福岡の「うなぎの寝床」さんのもんぺですか。

そうです! それこそ「カラーミーショップ大賞2016」のサイトで知って、僕の出身地・福岡のお店なので気になって声をかけたんですよ。昨年からここでもんぺの展示販売をさせてもらってます。

「カラーミーショップ大賞2017」にエントリーしたのも、うなぎの寝床さんが受賞されているのを知って「もしかしたら僕たちもいけるんじゃ?」と思ったのがきっかけなんですよ。(笑)

思わぬところでつながりが生まれていて嬉しいです!

見た目のデザインだけでなく売り方のデザインまで手がける

ネットショップではどんな商品を取り扱ってるか教えてください。

オリジナルTシャツをはじめ、自分たちが手がけたデザインの新潟生まれのアイテムを中心に取り扱っています。

お菓子やカレーも販売されているんですね。「浮き星」はどんな商品ですか?

浮き星」は砂糖の中にはあられが入っている新潟の郷土菓子です。もともとはたくさんの菓子屋さんでつくられていたんですが、現在1店舗でしかつくられていない貴重なお菓子なんです。これの流通をつくることを目的に、デザインを始め市場開拓など僕たちが再生をお手伝いしました。(詳しくはWebメディア「よむよむカラメル」の記事をどうぞ!)

こちらのカレーはどんな経緯でつくられたんですか?

このカレーは、もともと新潟の学校給食を作っているところの製品で、小麦粉不使用・米粉でつくっているのでアレルギーの方でも安心して食べられるんですよ。グルテンフリーが世間で流行していることもあって、セレクトショップさんへの卸しでも人気の商品です。

じつは最初カレー専用米のお話をもらっていたんですけど、単体よりも売れるはずということで、ギフトボックスとルーをあわせて販売してみたんです。

見た目のデザインだけでなく「どうしたら売れるか」まで考えた総合的な提案をなさっているんですね。

そうなんです。最近よくある「おしゃれなパッケージにしました」「カッコいいコピーをつけました」だけの仕事を見ると。カッコつけて売れ続けるなら、それでいいんですけど、やっぱり売れるところ、流通までを考えたい気持ちがあります。

そういった気持ちが、商品のデザインなどをメインにしながら自分たちで店舗をもって販売をし続ける理由につながるんでしょうか。

それは大きいですね。実店舗やネットショップなど販売機能を自分たちで運営していると、お客さんの反応や売り場の変化を観察できるので、デザイナーであっても表面的な問題以外に気がつきやすいんです。

得意なSNSを複数で掛け持ちすることで更新頻度UP

ヒッコリーさんの活動はいつからスタートされたんですか?

2001年からです。最初は市内で小さなスペースを借りてTシャツの販売を始めました。そしたら地元のメディアに掲載されるようになりやることもどんどん広がって。2003年に今の商店街へ拠点を移して、2010年に現在の建物へ移転。現在のようなデザインやイベントなどを企画提案しています。

ネットショップは始めのころからされていたんですか?

はい。 若い人たちの間でWebサイトが流行し始めた世代だったので「この波に乗っからないと!」という気持ちが、当初からありました。

実際にネットショップを運営してみて、いかがですか?

県外からも注文が入ったりするとやっぱりうれしいです。ネットショップに訪れる人の気持ちになって内容をこまめに更新していったり読み物を増やしたり、背景をていねいに書いたり、そういった細やかな気配りをしていかなくちゃいけないなと感じています。

SNSはどうやって運営されていますか。

InstagramFacebookTwitterとそれぞれ得意な人が複数人で掛け持ちしています。ひとりだと他の業務も兼ねているので更新が滞ってしまいますし、このやりかたで運用するようにしてからは投稿量もかなり増えました。

情報発信をするうえで気をつけていることはありますか?

自分たちが無理しない、とにかく楽しそう!と感じてもらえる発信を大切にしています。

ファンになってくれそうな人へ無理やり寄り添うようなことはせず、あくまでも自分たちの「ゆるさ」をベースに、受け手や世間の流行などに無理やりあわせることはあまりしていないですね。

遊園地のガイドブックのようなワクワク感あるネットショップへ

今後ネットショップを通じてやっていきたいことを教えてください。

ヒッコリー全体の売上のうち10%くらいがネットショップ経由なのでこれを30%にしたい!という目標があったんですけど、最近は、ネットショップは売上だけが全てじゃないと思い始めていて。

というのも、実店舗へいらっしゃるお客さんの多くがネットショップをチェックして来店してくれるんですね。だからネットショップは遊園地のガイドブックみたいな想像をふくらますためのツールでもいいかもしれない、と最近感じています。

売上だけが指標ではない、ものを買うことだけが機能ではない、ということですね。

そうですね。ネットショップから実店舗へ誘導する役割もあるかなと。ネットショップにはリアルに近い情報がみっちりつまっていて買える機能もあるっていうくらいがいいのかもしれません。最近はカメラマンの方にも手伝ってもらっているので、商品写真や記事など、ばんばん撮影して更新していきたいなと思います。

遊園地のようにワクワクするネットショップ、これからどんなふうに発展していくか楽しみです。今日はすてきなお話をありがとうございました!