まるで博物学! 徹底した調査研究で月1500本のもんぺを作る「うなぎの寝床」

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5日で900万円の売り上げ!九州のアンテナショップ「うなぎの寝床」って?

 

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九州ちくごのアンテナショップ「うなぎの寝床」さん。お店の看板商品は、久留米絣を使ったオリジナルもんぺ。昨年開催したもんぺの展示販売イベントは、なんと5日間で900万円の売り上げ! 渋谷LOFTでの展示販売やSTAR WARSコラボなど各方面から注目を浴びているお店です。今回は「うなぎの寝床」代表の白水高広さんに事業展開や商品開発について詳しくお話を伺います。

もんぺを探す人たちが確実に商品ページへ来るための導線設計

通販サイトには、どんな人が多く訪れますか。

もんぺ販売のイベントやSNSなど口コミきっかけが多いですね。テレビや新聞をきっかけに見てくれる人もいます。

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ウェブ上で集客の工夫などされていますか?

実は昔、大手のショッピングモールサイトに出したこともあるんですよ。でも大手のモールさんでもんぺを探す人たちは、商品を金額で比較する人たちなんですよね。だから求めてるお客さんとはマッチしなくって。今はカラーミーショップ1本です。

SEO対策なんかは、されていますか?

SEOも実はちゃんと考えていて、もんぺは「monpe.info」というドメインを取って、特設サイトを作ってるんですね。このサイトにランディングして、ここから通販へ流れる導線を作っています。

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人っこひとりいないような場所に、お店を持つ理由

うなぎの寝床さんは、福岡県・八女に実店舗を持っていらっしゃいますね。

お店なんですが、実は、人っこひとり通らないような場所にあります。観光客とかもいないし。駄菓子屋さんと種屋さんくらいしかない。もともとそんな場所で始めたのも、通販ありきです。

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どうしてわざわざ買い手の少ない場所に…?

八女にお店を作ったのは、作り手に近いからです。彼らが直接納品しにきてくれるし、僕らも見に行って工程を勉強しにいくことができるんですよ。直に見聞きしたことを使い手の人に伝えることができるし、そしたらモノと長く付き合ってもらえる。修理とかクレームもうちが受けて、それを作り手にフィードバックします。それで、よりよいモノを作るっていう。これが一応、お店の流れというか。

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なるほど。

都市にお店を構える売り手は、なかなか生産現場を見に行けないので、なんか今話題になってる商品を入れて、とにかく売りまくる。遠いところにいる作り手の人たちは、どういう人たちが使うのか想像できないまま商品を卸す。僕たちはそうではなくて、作り手がたくさんいる地域に拠点を作ることで、間に立てるのではないかと考えました。

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作り手のたくさんいる地域で売るということは、買い手の少ないところでどう売っていくかが課題ですが、そこは通販でカバーしたりイベントや卸しを試みたり。だから、あくまでもこの拠点は、博物館的な位置づけでとらえているんですよね。

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博物館的な場所づくり。やりたいことは「調査・研究」

八女の実店舗は「博物館的な場所」を目指しているのですね。

そうですね。おばあちゃんがやってきて掃除用品を探していたけど若い作家さんの器に興味を持ってくれたり、若い人がもんぺを買いにきて人形とか買って帰ったり…そういう発見と広がりがあるような場所に今はなっています。

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ーーー 販売以外にも活動をされているんですか?

実は、調査・研究こそ、かなりやりたいことというか。オリジナルもんぺを販売している動きなんかは完全にメーカーの役割ですし、会社としてはまちづくりやコンセプトワーク、ブランディングデザインに携わったりもしてます。

ーーー 調査・研究?すごい学術的です。

これはまだ実験なんですけど、博物館の台帳と同じ整理のしかたで商品情報をまとめ始めたところです。博物館って展示品ごとの採取先とか素材特性とか技術とか…あらゆるデータを詳細にまとめていておもしろいんです。うちも同じで、地域のモノを何十年経っても、収集して見せたり比べたりできる状態にしておきたくて、そのために販売よりも調査研究に力を入れたいんです。

 

売り方を決めるのは売り手じゃなくて、作り手さん。

価格も高くて生産量も少ない工芸品からムーンスターさんみたいな大中規模のメーカーまで、うちには様々な商品があるんですけど、それぞれ作り手さんのサイズ感にあわせて取引をしているかんじです。

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たとえばお弁当箱作っている関内さんとかおもしろいですよ。「お弁当箱を量産しますか?」って議論を一緒にしたんですけど「僕は自分で作ってていねいに売りたい」と言われたので「ああ、じゃあうちで商品のよさを伝えるお手伝いをしますね」っていうふうに、売り方を考えたんですね。

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久留米絣は「売りたい!」「布を買ってもらいたい!」という課題があったから、もんぺというかたちで商品化して生産効率をあげるサイクルを作ったけど、お弁当箱はそれを望んでる訳ではないんです。

ーーー 作り手さんごとに理想の姿も異なってくるんですね。

そうそう。小さな作り手は、たくさん売れるよりもちゃんとした人に届くっていうことが大事だったり、久留米絣くらいの規模になってくると従業員もいるのである程度売れていかないと話にならないという。売り方は、僕らが決めるんじゃなくて、それぞれの作り手との関係性の中で決めているんです。

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もんぺの型から八女の「KATA」づくりへ

今、八女のブランディングデザインにまつわる仕事をしていて「KATA(かた)」を作って発信していこうという話があがってるんです。

「KATA」とはどんなものですか…?
3つあると考えています。「フォーマット」「装飾」「スタイル」。ちょっと難しい話になっちゃうんですが…久留米絣のオリジナルもんぺを作ったときを例にすると「フォーマット(履き心地とか機能)」「パターン(久留米絣の文様やカラーなど)」の部分は実証されているけど「スタイル(値段設定や見せ方、イメージ)」が問題で、それを調整していったんです。

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なるほど!3つの型のどこに問題があるかを調査研究していったということですね。

あるモノを売ろう、作ろうってなったとき、この3つをきちんと調査研究していくとよいと思っています。

フォーマットのほうもきちんと調査できるのは、作り手さんに近い地域に拠点を構えているからこその強みですね。

そう。それで、ゆくゆくは「フォーマット」だけを売れるようにしていきたいんです。フォーマットをプレーンに作ったら、他産地のアーティストとかとコラボして装飾の部分とかをお願いしたり、八女の「KATA」をベースに海外の方ともコラボしたり。こないだの久留米絣とSTAR WARSのコラボもそのいい例じゃないかなって思ってます。

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うなぎの寝床さんが提案する新しい「KATA」。どんなものが登場するのか、これからとっても楽しみです。


 

今回お話を聞いた方はこちら!

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うなぎの寝床 代表取締役 白水高広さん
1985年佐賀県生まれ、大分大学工学部福祉環境工学科建築コース卒業。個人事業としてデザインの仕事をはじめる。後3年間、福岡県南部・筑後地域の商品開発やブランディングを行なう「九州ちくご元気計画」の主任推進員として経験を積む。任期を終え2012年、大学からの友人である春口丞悟と共にうなぎの寝床を立ち上げる。販売だけではなく、調査研究も含めた、地域の人、文化、技術などを掘り起こしながら、様々な人々、会社、行政ともコミュニケーションをとり事業を推進。企画・デザイン・商品開発・撮影、調査研究等、幅広く活動を続ける