「やちむん」。それは、沖縄県の伝統的な焼き物のこと。
沖縄では数百年以上も前から、本土やアジア諸国の文化が溶け合った独自の焼き物文化が育まれてきました。
使い飽きることのない素朴な色柄で彩られた、手づくりのやちむん。
毎日の食卓にさりげなくなじんで、どんな料理も魅力的に引き立ててくれるうつわです。
今日は、うつわと生活雑貨の「Threetone(スリートーン)」さんによる、やちむん工房「田村窯」さんの訪問レポートをお届けします!
田村窯さんに会うための旅
田村窯さんの自宅兼工房があるのは、沖縄北部の大宜味村。
やちむんの里で知られる読谷村を越えて、さらに車で北へむかうこと約1時間。
山がどんどん深くなり、眼下に望む海の青さがいっそう増したころ、
国道から山手へ登って海を見張らせる高台の上に、小さな看板を見つけました。
手作りの登り窯を建設中
自宅のとなりに工房。
その向かいの斜面には、現在建設中の「登り窯」がどっしりと構えています。
なんとこの登り窯、手づくりで建てているのだそう。
自分で作った窯でうつわを焼くのはどんな気分なのでしょう…。
北窯で6年修行し、夫婦2人ではじめた窯
田村さん夫妻は、読谷村のやちむん工房「北窯」で6年間修行をしたのち、2010年に独立して田村窯を開窯。
女性的かつおおらかで、洗練された印象の強い北窯のやちむんですが、田村窯さんが作り出すのは、力強く現代的なセンスを感じるうつわ。
うつわとしての美しさを楽しめるのはもちろん、料理を盛り付けても絵になるんです。
鋭さを秘めたやちむん
この日はちょうど窯入れの前日だったため、絵付けの完成したうつわが窯の前にずらりと並んでいました。
この段階ではモノトーンですが、焼きあがると緑や青色の鮮やかな絵柄になるのが不思議。
田村窯さんのうつわ作りは、釉薬も成形もやちむんの伝統的な技法がベース。
その中に秘められたやちむんらしくない「鋭さ」こそが、唯一無二の魅力なのです。
買い付けてきたうつわ
工房の中には棚があり、そこに並んでいるうつわをいくつか買い付けてきました。
いつもの「おうちごはん」がごちそうになる、魔法のようなうつわです。
7寸皿
メインディッシュのおかずや、ワンプレートご飯ものにもちょうどよいサイズの7寸皿。
同じお皿で食卓を囲んでも、色柄は少しずつ異なるところが手塗りのうつわのおもしろさ。
5寸皿
おかずの取り皿などとしてカジュアルに使えるサイズの5寸皿。
なめらかな感触がやさしく手になじみ、日々の料理を豊かに演出してくれます。
マカイ 4寸/3.5寸
沖縄のことばで、マカイとは「お椀」のこと。飯椀からどんぶりサイズのものまで、すべて「マカイ」と呼ばれています。今回買い付けたのは、大人用の飯椀にちょうどよい4寸と、子ども用にぴったりの3.5寸。家族おそろいで使ってみてはいかがでしょう。