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ノヴァさんはいつできた会社なんでしょう。
1985年創業です。創業31年になります。
もともとは町の小さな天然酵母のパン屋から始まって、おいしくて安全なパンの原料(ドライフルーツやナッツ)を求めて、先代自ら世界中の生産地を訪れ探していくうちに、ほかのパン屋さんから原料を分けて欲しいという声が増え、やがて原料卸に業務形態が移行していきました。
ネットショップはいつから?
約3年ほど前、2013年の初めくらいですかね。それまでは、電話とファックスだけで注文を受けていました。今はパン屋さん向けの業務用卸売専用のショップ(要登録)と、個人のお客さま向けの「NOVA SELECT(ノヴァセレクト)」の2つを運営しています。
すてきなデザインですが、社内にデザイナーさんがいらっしゃるんですか?
デザインについては、制作会社さんにお願いしています。しかしプロの方に任せしっぱなしにすることはせず、サイトを良くするため、こまめにデザイナーさんとコンタクトを取り合っています。また、個人のお客様向けのネットショップはより敷居が低く、親しみやすい雰囲気になるようお願いしています。
どんなパン屋さんと取引をされているんですか?
北は北海道から南は沖縄まで。まさに全国各地からご注文いただいてます。原料にこだわりを持ったパン屋さんが多いですね。
そういったお客さんたちはどうやってノヴァさんを知られるんですか?
最近は、あちこちの小売店さんに商品を置いていただいたり、都内で試食販売をさせてもらったりしているので、それで知っていただいたり。あとは、インターネットの影響も大きいと思います。
「オーガニック」という言葉が広く知られるようになって、原料を探すパン屋さんにしても、個人のお客様にしても、インターネットがきっかけでノヴァを知ってくださる方も増えていると感じています。そもそもうちには営業担当がいないんですよ。
それなのにお客さんは着々と増えている…!
営業担当は商品たちなんです。わたしは普段、できるだけ工場にいるようにして、製造現場に入り、細かいところまで目を配っています。日々、コミュニケーションを取って、変えたほうがいいと思うところはどんどん変えますし、改善点はスタッフたちに直接伝えます。海外の生産者とも同じように直接やりとりをします。
ただ海外の場合は文化の違いや考え方の違いがあるので、それこそ何年もかけて現地へ足を運んで、お互いの落としどころを見つけながら改善をお願いしています。長年のやりとりが実を結び、いまではオリジナルの品質規格みたいなのができて「ノヴァスーパークリーン」なんて呼ばれているんです。
現地の生産者さんたちも、日本にも通じる品質!と胸を張ってくれるようになりました。ドライフルーツは、大粒でおいしい、最高品質のものを輸入することももちろんですが、異物が入っていないとか、大きさや甘さなど規格を満たさない商品を決して混ぜないとか、選別基準や品質を守ることも重要です。お客様がノヴァの商品を手にして当たり前に「おいしい!」と言っていただくには、そういった一つひとつの積み重ねが大切なんです。
オーガニックは一般のものよりはどうしても価格が高くなってしまいますが、おいしければ、お客様はまた買ってくださいます。「商品」そのものが営業、というのはそういう理由です。
直営店は集客としてどんな位置付けなんでしょう。
ノヴァセレクトは小さなお店ですが、スタッフたちはネットショップやウェブサイト、SNSなど、実にさまざまな作業をこなしていて、ここから耳よりな情報をたくさん発信しています。
店舗のディスプレイや試食もそうですが、撮影をしたり、スタイリングやコーディネートを考えたり、季節ごとに企画を立案したり。ドライフルーツの良さを伝える工夫を考え、形にしていく。ここはウェブで情報を発信していくためのプレゼンテーションの場でもあるんです。わたしたちはノヴァセレクトを「ショールーム」とも呼んでいます。実際、ノヴァの本社工場を訪ねて来られたお客様をご案内する機会も多いんですよ。常に目をかけて、手をかけて、店舗を良くしたり商品についてさらに学んでいくことで、企業としての情報発信や会社全体を良くするための一つの起点になれば、と考えています。
広告などは何か使ってますか?
広告などは特にしていません。ウェブショップやサイト(公式ホームページ「Nova」「NovaSELECT」)の更新をまめに行い、タイムリーに情報を載せるようにしています。ドライフルーツ、ナッツを使ったレシピの紹介や、生産者さんのところへ足を運んだ際のレポートも写真付きで載せたりしています。
パン屋さん向けのレシピやカタログなんかもあるんですね。
新商品を出すとパン屋さんから「この素材はどんなふうに使ったらいいですか?」という質問をよくいただくので、販売時期に合わせてレシピを更新するよう心掛けています。パン屋さん向けのレシピは、相手はプロの方ですから、ちょっとコツがいるんです。こちらから過不足のないレシピを提案するのではなく、パン屋さんの創作力をかきたてるような、「ここをこうしたら新作のパンができそうだ」とひらめいてもらえるような、「もうワンエッセンス足したら完璧になるレシピ」になるよう心掛けています。
とても参考になります。SNSはどうでしょうか。
フェイスブック、インスタグラムを運用し、スタッフたちで更新しています。ウェブ関連のアカウントが合計5つあるので、もれなくケアできるよう、社内で「WEBカレンダー」というものを作っています。関係スタッフ全員で情報をシェアし、イベントや季節ごとの販促も、これで管理しています。イベント出展中にブースの写真などをアップすると、「フェイスブックで出展を知って来ました!」と会場へ足を運んでくださる方もいらっしゃるんですよ。
フェイスブックとインスタグラムは棲み分けを意識していて、どちらもやみくもに更新回数やフォロワー数を増やすというよりは、情報はもれなく網羅しつつ、ノヴァのカラーを損なわないよう心掛けています。タイムリーな情報はフェイスブックで、ドライフルーツやナッツ、生産地の美しさや楽しさをビジュアルで伝えるにはインスタグラム、というふうに使い分けています。集客にダイレクトにつながる場合も時にはありますが、その可能性はまだまだこれからだと思っています。
個人向けネットショップはどうでしょうか。リピーターの方は多いですか?
多いです。ドライフルーツ、ナッツをまとめて買う方が多いですね。特に最近は、ギフト需要が多くなってきたなと肌で感じています。ドライフルーツが体にいいから、という理由でご両親へ贈られたり、育児をされている方へのプレゼントなども増えています。
営業担当=最高品質の商品たち、とおっしゃっていましたが、どうやって最高品質を実現しているのですか。
わたしたちは世界中の生産者さんに直接会いに行くんです。
日本のお客様は、食の安全に対して厳格なところがあります。海外なら、いちじくに虫が入っていても「オーガニックだから」「自然農産物だから」仕方ない、当たり前、と思ってもらえても、日本はそうじゃない。たとえ自然農産物であっても、商品としての「品質」を求められるんです。フルーツを天日干しする工程で付着する小石や、干しぶどうについている穂軸(実の先に付いている枝)も、きちんと取り除かないといけない。そういった文化の違い、日本ならではの基準をわかってもらわないといけないのですが、なかなか一筋縄ではいきません。相手にもその国の文化や考え方があるし、こちらのやり方ばかり押し付けても絶対にうまくはいかない。
そこで、現地へ足を運ぶのです。足繁く通うと「こいつ毎年来るな、仕方ないな、やってやるか!」とだんだん対応も変わっていくんですね。時にはひとつの品質改善をお願いするのに6~7年かかることもあります。とにかく直接会って話す、ということが重要なんですね。
会社では、私もお客様からのクレームの電話に出ますし、異物が送られてきたら担当者と一緒に自身の目で必ず確認します。今はインターネットも24時間世界中へ繋がるし便利な世の中ですから、クレームの案件はすぐに現地へメールします。タイムリーに情報を届けることで、日本のお客様たちの厳しい安全・安心の基準を伝えることができるんですね。生産者さんの声も日本のお客様の声も、どちらも現場に立ってこそ伝えられる情報、守れる品質だと思っています。
世界中の生産者を実際に訪ねて、文化を超えて日本の「こだわり」を理解してもらうよう努力しているのですね。
そうですね。わたしたちはオーガニックであることを大事にしていますが、さらに大事にしていることが「おいしさ」。どんなに安心・安全と言っても、おいしくないと食べ続けてもらえませんから。その年に収穫した最高のものを輸入しますし、おいしい状態を維持するために、工場での管理も徹底して工夫しています。お店にしても商品にしても、目の届く範囲でないと独り歩きしてしまうので、いまは目の届く範囲で地道に商売をしていきたいと思っています。
独り歩きしないよう、すべて見えるところで商売をする。なるほど。最後に、今後についてお聞かせ願えますか。
オーガニックの分野って、海外ではすでに大きな商社さんがどんどん参入してきているんですね。わたしたちのような会社は、規模の面ではかなわないかもしれませんが、そんなときにも、生産者さんとのつながりであったり、小さいロット(輸入量)だからこそできることを大切にしていきたいと思っています。わたしたちにしかできないことを、ノヴァセレクトやウェブショップ、ウェブサイトなどを通じて、これからもきちんと伝えていければと思っています。
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