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さっそくですが、藤川さんはなぜ、フレッシュチーズの専門店を始めようと思ったのですか?
藤川
最初はとろけるチーズなどの加工したチーズが好きだったのですが、
イタリアのナポリで、できたてのチーズ(フレッシュチーズ)を食べて感動したのが始まりです。
大学生のころに、いろんな世界を見たくて、バックパッカーでぶらぶら旅をしていました。
旅先で会う人たち、みんな目標を持って夢を追いかけてるんですよね。
その時に、ふと高校のころは料理人に憧れていたなと思いだしたんです。
そこで思い切って、ナポリのピザレストランで約3カ月、飛び込み修行をしました。
あの時、ナポリで食べたできたてのおいしいチーズが、今の仕事につながっているんです。
お仕事にまで繋がったフレッシュチーズの魅力とは何だったのでしょう?
藤川
熟成チーズは製品だけど、フレッシュチーズというのは”素材”。
モッツァレラやリコッタならピザ、デザート、前菜にもできる。
フレンチから和食までシェフの手により、命を吹き込んでもらうことで、さまざまな楽しみ方が見つかります。一般の方も家庭でいろんな工夫をして調理されていますよね。
ひとりひとり異なった表現をできることが、フレッシュチーズの魅力だと考えています。
ところで、「CHEESE STAND」という店名の由来はなんですか?
藤川
イタリア語の名前とかは、あんまり性に合わなくて.‥(笑)
シンプルで分かりやすいものにしようと考え、
ふらっと気軽に立ち寄れる、
ガソリンスタンドみたいな場所という意味をこめて「チーズスタンド」にしました。
実際1人で来店されて、さくっと食べて帰るかたも多いです。
女性1人でチーズとワインを食べて帰宅される方もいて、かっこいいなあと思っています。
チーズはお店で作られているんですか?
藤川
基本的には僕がチーズをひとりで1から作っています。
ガスコンロとシンクがあればチーズはできるので、
工房に見学に行って少しずつ家で練習を積み重ねて製法を学びました。
使っている牛乳は、毎朝牧場から届く新鮮なもの。
届いてから合計5,6時間かけてお店でチーズを作っています。
おひとりで作られてるんですね!チーズ作りにおいてこだわっていることはありますか?藤川
チーズに必要なものは、乳酸菌と凝乳酵素(ぎょうにゅうこうそ)と塩と水のみ。
実は、乳酸菌と凝乳酵素はイタリアから取り寄せてるんですよ。
いま、お店ではどんなチーズを出してるんですか?藤川
主にナポリをはじめとする南イタリアのチーズを4種類。
モッツァレラ、リコッタ、ブッラータ、カチョカヴァッロを出しています。
カチョカヴァッロという名前のチーズは、カチョはチーズ。カヴァッロが馬という意味です。
現地(イタリア)では、大昔、馬の両脇にさげて持ち運んでいたんですよ。
ブッラータは、細かくしたモッツァレラを弾力あるチーズで包んだ巾着状のチーズ。
ナイフを入れると、乳酸菌のおかげでとろっとしたクリームが、中からあふれ出すんです。
アメリカでは日常的に食べられているんですよ。
うちではトリュフを中に入れたり、
季節に応じて桜の塩漬けを入れたりもしてます。
ピザやサラダで馴染み深いモッツァレラは、
新鮮な生乳で作っているので、ミルク感と弾力のある食感が絶妙。
リコッタは、チーズを作る過程でできるホエイ(乳清)をもとに作っています。
ミルクの甘みが強く、モッツァレラとは違ったほわほわ感がたまりません。
ホエイ(乳清)は飲み物としても、お店で提供しています。
さっぱりとした乳酸菌飲料のような味わいで、
栄養価が高く、プロティンや化粧水としても使われているんです。
飲みやすいように、季節のフルーツやリキュールと割って出しています。
チーズ以外のお料理にもこだわりはありますか?
藤川
サンドイッチに使う野菜は、農家さんから買った無農薬のものを使い、
パンもチーズに合うように作っています。
そういったこだわりはオープン当初から試行錯誤してますね。
当初は、チーズの他にサンドイッチをメインに出していたのですが、
夜も楽しめるように、ピザやワインも出しています。
お持ち帰りやネットでフレッシュチーズをお家でも楽しめますが、どう食べるのが押す勧めですか?
藤川
フレッシュチーズだと、濃厚なクリームが中に入ってるので、
それを、さっぱりとしたフルーツがおすすめです。
みずみずしいモッツァレラや濃厚なブッラータには、
酸味と甘味があるトマトや桃、
南国フルーツのような味のしっかりしたマンゴーとかパイナップルが相性ばつぐんです。
ネットショップの店舗とは違う工夫を教えてください
藤川
ネットショップでは、店舗にないチーズのセット販売もしています。
より新鮮でおいしいチーズを食べていただくために、
每日24時間以内に全国各地にお送りしています。
季節に合ったおいしいチーズの食べ方の書いてあるレシピカードを一緒にお付けしているので、
それを参考にすれば、ご自宅でもおいしく食べていただけます。
チーズのイメージの強い北海道の方からも、
食べ比べや、ブッラータというチーズが珍しいからか注文が結構入ったりするとやっぱり嬉しくなっちゃいますね。
藤川さんにとってCHEESE STANDとは?
藤川
自分の生活の一部です。
今までにない価値観や食べ方を見つけることの楽しさを、
チーズを通じてお届けできればなと思っています。
チーズを食べるシチュエーションって、パーティーだったりお酒を飲む時だったりと
どれもみんなが楽しいときなんですよね。これからも、チーズのある食卓の楽しさをお届けしていきます。
これからも、美味しいチーズを楽しみにしております。今日はありがとうございました!
*こちらの記事は、2015年によむよむカラメルに掲載されたインタビューを再編集して公開しています。
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