日本中のお客様とつながれる。超人気ベーカリーがたどり着いた本当に幸せなお店のかたち。

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ショップオーナーインタビュー
「BOULANGERIE LEBOIS」森葵さん

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東京・中野の閑静な住宅街にあるベーカリー「BOULANGERIE LEBOIS(ブーランジェリールボワ)」さん。

パン職人の森朝春さんと、奥さまの葵さんで2001年に開店。夫婦二人で営む小さなお店にするつもりが、「本場フランス仕込みのパン屋さん」の先駆けとして、空前のパンブームに乗り、あれよあれよとあらゆる雑誌に取り上げられるカリスマ店へ成長してしまいました。

そしてパンブームがひと段落して始めたネットショップでも、思いもよらない幸せなエピソードが。

カラーミーショップ大賞2015「職人賞」獲得を記念いたしまして、ネットショップを担当している奥様の葵さんに、お店のこと、ご主人のことなど、お話をたくさんお聞きしました。

本場クロワッサンとの出会いで、旅行が3年間の修行に

さっそくですが、ご主人はどんなきっかけでパン屋さんになることを志されたんですか。

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(お話を聞いたお店の接客とネットショップを担当されている奥さま・森 葵さん)

スクリーンショット 2016-04-08 7.58.06葵さん
主人は石川県の羽咋市という所にあるパン屋の三代目なんです。給食のパンなんかもつくる、いわゆる「街のパン屋さん」の息子だったんです。

それで、パンの勉強をしようと「東京製菓専門学校」に進学して。その時は、東京で数年間修行したら、地元に帰ろうくらいに思っていたそうですよ。

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(パン職人のご主人・森 朝春さん)

ご主人と葵さんとは東京で出会われたんですか。スクリーンショット 2016-04-08 7.58.06葵さん
そうですね。彼が専門学校を卒業後に働いていたパン屋に、私がアルバイトとして出会って、結婚することになりました。

ちょうどそのとき、私はヨーロッパに行きたいなと考えていて。

じゃあ、地元に帰る前にパンの本場のフランスに行ってみようか、ということになって、彼の専門学校の先生に、フランスで見学させてもらえるパン屋さんを教えてもらいました。

どのくらい住まれていたんですか。スクリーンショット 2016-04-08 7.58.06葵さん
本当は、半年間のつもりだったんですけど、結局は2年8ヶ月もいました。

全然違いますね!お仕事はどうされたんですか!スクリーンショット 2016-04-08 7.58.06葵さん
まずは、見学のつもりで行ったお店で働かせてもらえることになって。

そうしたらちょうどそのお店のオーナーさんの親戚がパン屋のオープニングスタッフを募集していて、気に入ってもらえて。

フランス語はできたんですか。スクリーンショット 2016-04-08 7.58.06葵さん
全然できませんでしたよ。「トラヴァイエ、トラヴァイエ!(働く、働く!)」みたいに単語でなんとかしのいで。今思えば若気の至りですね。

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なんと…。フランスはやっぱり刺激的でしたか。スクリーンショット 2016-04-08 7.58.06葵さん
そうなんです。そんなに長くいたのも、そもそもは、主人が、フランスで始めての朝食で出会った「クロワッサン」が、とても衝撃的だったんですって。

専門学校を卒業して、5年働いて、もう自分は立派な職人だと思っていたのに、これはなんなんだ!って。そこから、真面目にパンのことを勉強し始めたんです。

それがルボワさんの絶品クロワッサンの原点なんですね。スクリーンショット 2016-04-08 7.58.06葵さん
そうなんです。

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想定外の大盛況!一気にカリスマ店へと駆け上る。

そのあと日本に帰国されて、どうしたんですか。スクリーンショット 2016-04-08 7.58.06葵さん
今は無くなってしまったベーカリーに、オープニングスタッフのスーシェフ(副料理長)として入ることができて。

そこのシェフたちは、フランスで修行された方や、木村屋でしっかりキャリアを積んだ方だったりして、たくさん勉強させていただくことができました。

そして、2001年に独立を決めて、今のお店をオープンしました。

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ご夫婦で始められたんですか。
スクリーンショット 2016-04-08 7.58.06葵さん
そのつもりだったんですけど…。

私が店番をして、主人がパンを作って、少しずつ口コミで広がっていったらいいな、くらいに思っていたんですが、あれよあれよとものすごいお客さんが来てしまって!

最初から、集客ができ過ぎてしまったんですね。
スクリーンショット 2016-04-08 7.58.06葵さん
「フランス帰りのシェフが作ったお店」という触れ込みと、パンブームが重なってしまって。

とてもとても二人では回せなくなってしまったんです。

パンブーム!スクリーンショット 2016-04-08 7.58.06葵さん
すごかったんですよ。バスでパン屋を巡る「パンの会」みたいなものがあって、日本中から団体さんで押し寄せてくるかと思えば、雑誌やテレビも次々に来て、どんどん有名になってしまって。

主人がお客さんの前に行くと、「わ〜 ルボワの森シェフだ!サインしてください!!」とか言われるんですよ。

すごいですね!!超有名人じゃないですか。みなさん、お目当てはなんだったんですか。
スクリーンショット 2016-04-08 7.58.06葵さん
クロワッサンですね。デニッシュ系です。人気商品は今と変わりません。

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順調すぎてしまったんですね。スクリーンショット 2016-04-08 7.58.06葵さん
もう、大変でした。声は出なくなっちゃうし、たくさんの人を雇わないといけないし。製造に、彼を含めて3人いても、朝の3時くらいから23時まで働いても終わらないんです。

お店を開いたばかりで、張り切って、出来合いのものは一切使わないぞとか、もう全部やろうとするから、さらに大変で。

お子さんも小さかったんじゃないですか。スクリーンショット 2016-04-08 7.58.06葵さん
そうなんです。子どもの保育園のお迎えはいっつも一番最後に駆けこんで。

下の子が2歳、上の子が6歳のときにオープンしたので、子育てもままならなくて。とにかく、ご飯だけはきちんと食べさせなきゃ!と必死でした。

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それはどのくらい続いたんですか。スクリーンショット 2016-04-08 7.58.06葵さん
パンブームが落ち着くまで、3年くらいかな…。

長いですね!!

ひとつひとつを丁寧に。メッセージパンへ込めた想い。

パンの種類は今と同じですか。スクリーンショット 2016-04-08 7.58.06葵さん
もちろん変わっていますが、昔からあるパンもたくさんありますし、メッセージパンもずっとあります。

メッセージパンは、どういった経緯で作られるようになったんですか。スクリーンショット 2016-04-08 7.58.06葵さん
私たちのメッセージパンのような「飾りパン」は、フランスでは、「パンシュープリーズ」と呼ばれていて、コンクールもあるんです。

もともと、フランスで一番最初にお世話になったパン屋さんに教えてもらっていて。

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ただ、主人は最初、やりたいけど、できないといっていたんです。
私は美大をでてますし、粘土も触っていたので、じゃあ、私が作ろうと思い、最初は私が作って彼に教えていました。

もともとメッセージパンは葵さんとの合作だったんですね!スクリーンショット 2016-04-08 7.58.06葵さん
でも、いつのまにか、彼のほうが断然上手になってしまって。

やっぱりパンの性質を知らないと、膨らんだらどうなるとか想像もつきますしね。ですから、今は彼が全て作っています。

先ほど見学させていただいたとき、ご主人が作るメッセージパンの細かさにびっくりしました。スクリーンショット 2016-04-08 7.58.06葵さん
こだわっちゃうんです。

この間も、クリスマス時期でものすごく忙しかったのに、もう、一つ一つそれは丁寧に…。

ですから、メッセージパンは、1日6個が限界なんです。

クロワッサンも繊細な味ですよね。パリパリ、サクサク…。
スクリーンショット 2016-04-08 7.58.06葵さん
クロワッサンだけは、どんなに忙しくても、他の人に折らせることもしなかったんです。

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すごいこだわりですね。スクリーンショット 2016-04-08 7.58.06葵さん
本当は、とても忙しかった時期に、工場を建てて、大量生産をして、などと勧められたこともあったんですけど、うちの主人には無理だなと思いました。

今は落ち着いて、一人で作って回せているので、とても楽になったようです。まあ、忙しいですけどね。

商品にこだわりたいから、販売にコストはかけられない

ブームが落ち着いてきたころにネットショップは始められたんですよね。どうしてカラーミーショップを選んでいただいたんですか。スクリーンショット 2016-04-08 7.58.06葵さん
実は、最初は、大きなモールさんから営業をいただくこともあったんですけど、利用料金がとても高くて・・・。

利益を出すためには、1日にどのくらい売ればいいですか?と聞いたら「100個です」と言われて。うちには、無理だと思いました。

それで、他のサービスを探している時に、あるネットショップがカラーミーショップさんを使っているとわかって、利用料金も安いし、これにしようと決めました。

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初めてみて、いかがでしたか?スクリーンショット 2016-04-08 7.58.06葵さん
お店に来てくれていた人は、買ってくださったんですけど、新規のお客様を獲得するのは難しかったですね。

勇気を持って、カラーミーショップさんが開催していたセミナーに参加をして、そこで基本的な検索エンジン対策などをお聞きして、少しずつ改良することができました。

私たちのセミナーが役に立ったんですね。嬉しいです。スクリーンショット 2016-04-08 7.58.06葵さん
なにより、インターネットにビビっていた気持ちがなくなりました。
あとは、その会をきっかけで、他の先輩ユーザーさんとお友達になって、たくさんのことを教えていただきました。

それはとても素敵ですねえ。

主人が作ったパンを届ける。丁寧な梱包がリピーターを生む

その後、ネットショップを続けていく中で、お客様は増えましたか?スクリーンショット 2016-04-08 7.58.06葵さん
はい、増えましたね。頑張って少しずつ改良しましたし…。なにより、リピーターさんが増えました。

どういった要因で増えたんですか。スクリーンショット 2016-04-08 7.58.06葵さん
うーん。確実にはわからないんですが、よく言っていただけるのは、ラッピングが丁寧で驚いたって言われますね。
パンをインターネットでよく買われるお客様も、うちの「梱包が違う!」といってくださって。

実際、梱包はこだわられてるんですか?スクリーンショット 2016-04-08 7.58.06葵さん
はい。主人が何日間もかけて、一生懸命作ったパンを、最後にお客様に渡すのは私じゃないですか。それはお店での接客もそうですけど。
だから、そこで失敗しないように、シールはきちんと真ん中に、紙はずれないようにとか、小さなことなんですけど、とても気を使っています。

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お店での接客と同じように、梱包を丁寧にすることが、ネットショップの接客になるのかもしれないですねスクリーンショット 2016-04-08 7.58.06葵さん
せっかく美味しくても、そこでがっかりされたくないですよね。とても緊張してやっています。

リピートされる方が少しずつ増えて、今があるということですね。スクリーンショット 2016-04-08 7.58.06葵さん
そうですね。知ってる人の知ってる人がつながって。そして今年はついに、メッセージパンをお断りしなくてはならないくらい受注が入ってしまいました。

すごいですね!!スクリーンショット 2016-04-08 7.58.06葵さん
クリスマスシーズンで、お店での受注もたくさんはいって、もう、毎日徹夜で…。ネットショップは在庫設定を減らさないといけなかったのに、間に合いませんでした…。来年は気をつけたいと思っています。

積み重ねってすごいですね。

日本全国の”元”常連さんから入る注文が嬉しい

ネットショップを運営されていて、嬉しかったことはありますか。スクリーンショット 2016-04-08 7.58.06葵さん
あります!10年以上前に、うちの近所に住んでいたお客様が、その頃に販売してたパンは売っていないのか、とお問い合わせをくださったことがあって。

たまたま作れる材料が揃ったので、特別に作りますよとご連絡したら、お子さんが1、2才の時に近所に住んでいて、そのパンがとても好きだったと返信をくださって。

わあ、感動的ですね!スクリーンショット 2016-04-08 7.58.06葵さん
そのパンの最年少ファンですね!って返信したんですが。本当に嬉しかったです。

お引越しされてからも、買い続けてくださるんですね。スクリーンショット 2016-04-08 7.58.06葵さん
そういう方がたくさんいらっしゃるんです。ここは東京なので、地方に転勤だったり、実家に帰ったりで、引越される方がとても多いんですよね。

lebois34スクリーンショット 2016-04-08 7.58.06葵さん
新しいおうちの周りにも、パン屋さんはたくさんあると思うですけど、うちを選んでくれるのは、やっぱり思い入れがあるからなのかなと思うんです。そういうことがとても嬉しいんですよね。

たしかに、インターネットだったらずっとつながっていられますもんね。スクリーンショット 2016-04-08 7.58.06葵さん
転勤をたくさんされる方は、注文が入るたびに、違う場所にいらっしゃったりして。ああ、今はここに住んでるんだな〜とか、ちょっとした文通のような気持ちでとても楽しいですね。そして、すごく嬉しいです。

何て素敵なお話・・・!

投票への呼びかけが顧客とのコミュニケーションに

では、最後に、カラーミーショップ大賞のお話を。ルボワさんはカラーミーショップ大賞2015年でとてもたくさんの一般投票を獲得されましたね。なにかコツがあったりしますか。
スクリーンショット 2016-04-08 7.58.06葵さん
とにかく頑張りました!実店舗のほうで、チラシを配ったり、SNSで呼びかけたり。途中でちょっと疲れちゃうくらい頑張りましたよ。

でも、お客様がわざわざお店に「投票したよ」なんて教えてくれたりして、良いコミュニケーションにもなりました。

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それだけ、ルボワさんが普段からお客様に愛されてるということですよね。「職人賞」を受賞されていかがでしたか?スクリーンショット 2016-04-08 7.58.06葵さん
地味な手仕事を評価してもらえる場ってなかなかないじゃないですか。主人は本当に嬉しかったようです。モチベーションが確実に上がりましたね。

まあ、わたしは「職人」じゃないので、ちょっとがっかりしましたけどね(笑)

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ご主人に喜んでいただけて私たちも嬉しいです!次はぜひ葵さんの頑張りで、大賞を目指してください!!スクリーンショット 2016-04-08 7.58.06葵さん
ふふ。でも、今年は途中で疲れない程度にがんばりますね。

葵さん、本日はありがとうございました!

※ブーランジェリールボワさんは、2017年にカラーミーショップをご卒業され、新しいサイトへお引っ越しされました。