もともとイタリアンレストランをやっていました。そこで出していたパンがとても人気で、お店の近くにあった病院の看護師さんたちが「こんなに美味しいパンを作るパン屋さんだったら私たち絶対ファンになる」って言ってくださって。それで、食パンをたくさん作って売ってみたら、大好評。この食パンをきっかけに、実店舗のパン屋さんをスタートさせました。
「パンのトラ」は、実はうちの看板メニューの食パンの名前でもあるんです。食パンを作る行程で粉と水を混ぜてミキシングしていくのですが、そのときに摩擦抵抗で温度が上昇します。僕たちは、この温度のベストな公式を「トラの巻き」と呼んでいます。それを略して「パンの虎の巻」…「パンのトラ」。 もともとやっていたレストランの名前が横文字で、しかも長くて、お客さんになかなか覚えてもらえなかったんですよ。その反省を生かして「パンのトラ」と名付けました。中学生たちには「パントラ」とか「トラさん」とか呼ばれています(笑)。
うれしいことに、お店には中学生から年配の方まで様々な方がいらっしゃいます。部活の帰りに寄って行く学生さんも多いですし、毎朝モーニングを食べに来るリタイアされた方、それから遠方からもたくさんいらっしゃいますね。うちではイートインのスペースやキッズスペースがあって、お客さんがゆったりできるお店を目指しているんです。パンの種類も120種類以上あるので、それぞれの好みに合わせて選んでもらえる楽しみもあると思います。
やっぱりお客さんの声ですね。「通販は無いのですか?」と聞かれることが多くなったのがきっかけです。それから、顔の見えないお客さんに対してものを売るという新しい挑戦に「ワクワク」を感じていてましたね。実はまだ、ネットショップを始めてから、1ヶ月なんです。 最初は大手のモールに出店しようと思ったんですが、そういうサービスって「自分たちの特色」が出せないんですよね。ぱっと見たときにダサいな、という印象もありました(笑)。それで、表現の自由度が高いカラーミーに決めました。僕が好きなバイク屋さんがあるんですが、ネットショップで商品を動画を使って紹介しているんですが、そのショップが使っていたのがカラーミーというのも決め手でしたね。
はい、ブランドを強くしたい想いがすごくあります。伝えることが無い状態でどれだけ頑張っても、お客さんは広がらないじゃないですか。だからこそ、まずはブランドをしっかり浸透させたかった。それこそが、早く、そして遠くまでお店のファンを増やすことに繋がると思ったんです。集客については、今は何もやっていません。パンのトラのWebサイトに来てくださった方がネットショップに流れている状態ですね。あとは、実店舗でネットショップの案内を掲載したリーフレットを配布しています。
ネットで販売している商品は大きく分けて3種類です。ミックス粉とジャムと食パンです。水とホームベーカリーがあればパンのトラの食パンが再現できるこの商品は、ネットショップの武器だと思っています。最初のころは、画面上で見れる情報って名前しかないから不安だったのですが、ミックス粉をリピートされている方が多くいることが分かり、自信になりました。
アメリカに住んでいる日本人の方から「ミックス粉を販売してもらえますか?」と問い合わせが来たんです。ですが、法律の問題があって、商品を送れなかった。その旨を丁寧にお伝えしたら「こんなにていねいに返事をしてくれて、ありがとう」と感謝の言葉を頂きました。
対面接客でもらう言葉も嬉しいのですが、メールはカタチに残り、何度も読み返せるのが嬉しいところです。「ここの粉を使ってパンを作りました!」とかFacebookにアップしてくださったりするのも、うれしいですね。そういったお客さんの声を何度も読み返せるぶん、何度も楽しみが味わえる。これは、ネットショップならではの醍醐味です。 あとは、管理画面上で何度も同じ名前を見たりするじゃないですか。
「あ、今日も買ってくださってる!」そういう小さな発見が目に見えるのがうれしいです。他にも、画面を見ていると発見があります。例えば、まとめ買いされるお客さんに向けて、日常使い用のパッケージもあってもいいのかなぁとか。お客さんからアイデアをもらうこともたくさんあります。
今はショップに動画を掲載できるよう、デザイナーに頼んでいるところです。ミックス粉の活用法を紹介する動画を作りたいんです。アレンジレシピもどんどん公開していきたいですね。それから、いつか海外に出店するのが目標です。ハワイやニューヨーク。どこでもいいからたくさん出店しようという想いはありません。店舗数を増やさない代わりに、ネットショップをもっと充実させて、ビジネスとして拡大し、夢に向かって売上げを伸ばしていきたいです。
僕にとってネットショップは「入口」です。はじめは小さな入り口でした。でも、その入口の向こう側ってなにかすごいものが広がっている。それこそ、世界と繋がっているかもしれない。ネットショップは、ただのきっかけにすぎないと思います。
ネットで物を売るのって、実際にやってみるとすごく大変なんです。ですが、どうせ始めるなら早い方がいい。自宅でできたりするので「いつか始めよう」と思いがちですが、僕は「もう少し早くネットショップをやっていれば、今よりさらに可能性が広がっていたんじゃないか」と思います。踏み出すことをためらっている人も多いと思いますが、その向こう側にある体験って、自分で踏み込まないと得られないものです。スタートしようか悩んでいる人は、勇気をもって、一歩を踏み出してみてください。
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