メーカー5社で商品企画、初の接客にも挑戦! 新潟発・ニットブランド「つもりプロジェクト」の誕生秘話。

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つもりプロジェクト 白倉 龍典さん インタビュー

国内でも有数の繊維産地・新潟県の繊維メーカー5社による共同ブランド「つもりプロジェクト」さん。長い歴史に裏打ちされた県内繊維工業の高い技術力を、カラフルかつ実用的なプロダクトで自由に表現しています。2017年5月に開催された カラーミーショップ大賞2017 では、魅力ある商品が映えるシンプルでまっすぐなサイトデザインが高く評価され、見事「地域賞」を受賞されました。今回はブランド代表の白倉 龍典さんと営業担当の近藤 友紀子さんから、ブランドの誕生秘話と今後の展望について詳しく伺います。

年間生産数 126 万枚! 国内最大級のニット工場に潜入。

今回お邪魔したのは、新潟県見附市にある第一ニットマーケティング株式会社さん。

広い工場の内部には、約 140 台もの編み機がずらり。
カタカタと音を立てながら糸を繰り出し、きめ細かなニット地を絶え間なく編みつづけています。

編み機がこんなにたくさん…! この工場では、どんなものが作られているんですか。

ここは横編みニットといいまして、簡単に言うとセーターを作っている工場になります。

ひとくちに “繊維業” といっても、実際には横編みニットや丸編みニット(Tシャツ生地)、それから布帛とよばれる織物など いくつものカテゴリに分かれています。
僕たち「つもりプロジェクト」は、その垣根を超えて集まったメーカー5社からなる共同ブランドなんですよ。

ということは、お二人も普段はそれぞれ別の会社に?

近藤さん: そのとおりです。白倉さんは長岡市にある有限会社 白倉ニットという会社に、私はここ 第一ニットマーケティング株式会社に所属しています。

ブランド設立以前から、5社の交流はあったんですか?

いえ、ほとんどありませんでした。
私たちのようなメーカーは OEM 生産が基本で、主にアパレルブランドさんから注文を受けて製品を生産しています。カテゴリが異なれば関わることは滅多にないので……同じ県内とはいえ、交流は希薄でしたね。

そんな中から「つもりプロジェクト」が生まれたきっかけって、一体どんな…?

近藤さん: せっかくですので、続きはお茶でも飲みながらゆっくりお話ししましょうか。事務所へご案内しますね!

ありがとうございます!
 

共同開発から接客まで、初めてだらけの挑戦。

改めて、つもりプロジェクトの成り立ちについて詳しくお伺いしてもよろしいですか?

最初は、新潟県の事業がきっかけだったんです。
県内の繊維メーカーをたくさん集めて、展示会形式で製品発表をしてみませんか?と県庁さんから声を掛けていただき、東京・銀座のポーラミュージアムで展示会を行いました。そのときのパンフレットがこちらなのですが。

この段階で、すでに「つもり」という名前はついていたんですね。

はい。雪のつもった故郷の風景、新潟の繊維業が積み重ねてきた長い時間や、未来への意思といった意味をこめて「つもり」と名づけられました。

やわらかで情緒があって、素敵です。東京での展示会の評判はいかがでしたか?

この展示会では、商品販売は一切しなかったんです。にもかかわらず三越伊勢丹さんなどの百貨店やバイヤーさんが来てくださり「販売の予定はありませんか?」とラブコールをいただきまして。

すごい!

それをきっかけに現在のメンバーとなる5社が集まって、県主導ではなく企業団体のブランドとして改めてスタートをきったのが「つもりプロジェクト」というわけです。

なるほど。そこから商品企画や販売が始まっていったんですね。

はい。三越伊勢丹さんの協力もあって、期間限定のポップアップショップを全国各地で開催することができました。「どうせなら僕たちで売るところまでやってみよう」ということで、実際に現場に立って接客にチャレンジしたり。

えっ! 作り手でありながら、百貨店で接客までされたんですか。

ええ。もちろん接客は素人でしたので、もう…ものすごく下手くそでしたけどね(笑)

僕たち繊維業って、クライアントの注文通りに生地を仕上げたらそれでおしまいなんですよ。その先でどんな製品になっていくのか、あまり知らない場合が多くて。
着る人にとってその生地がよかったのか悪かったのか、それすら耳に届かないんです。

そう考えると、ちょっぴり切ないですね。

でも、期間限定とはいえ 僕たちが売り場に立つようになってからは、最終消費者のリアクションを直接受け取れる機会が増えてきました。
その声を少しずつ製造現場に戻して、職人さんのモチベーション向上に繋げられればと思います。

今まで届かなかった声が聞ければ、職人さんもきっと新鮮な感覚ですよね。
ところで、常設の実店舗を置かないのには何か理由が…?

過去にはそのようなお話もいただいたのですが、プロジェクトメンバー全員が本業を抱えている以上、常設店にコストや人員を割ききれないので辞退せざるを得ませんでした。

かといって、常設店がなければどんどん競合の後手に回ってしまう。コストを抑える方法をいろいろ考えた末に、ネットショップを開設することになったんです。

なるほど…。ネットショップと対面販売には、どんな違いを感じましたか?

実際の売り場に立ってみて痛感したのが、見せ方と説明の難しさでした。
たとえば店頭でいきなり「この生地とこの生地は別々の会社で作っているんです」なんて話をしても、お客さんからすればそんなの知ったこっちゃないでしょう?

コンセプトに興味を持ってもらうって、なかなか難しいですね。

でも、こちらの説明がうまく伝わると、だんだん興味を持って「おもしろいですね。ひとつください」と購買につながることもある。そういう点でいうと、ネットショップは僕たちのコンセプトや技術力を伝えるのにはもってこいのツールだと感じます。
 

作るのは得意だけど、アピールは苦手。

ところで、普段ネットショップの管理は5社でどのように分担されているんですか?

基本的には持ち回りです。
専任の担当は特に決まってないので、僕と近藤さんの実質2人で回しているんですけど。

ネットショップでは定期的にコラムが更新されていますが、これもお二人で執筆を?

そうですね、手が空いたタイミングでちょこちょこ更新しています。ただ、これもなかなか本業とのバランスがとりづらいのが悩みどころで。

そこにも本業との兼ね合い問題が…!

近藤さん: それだけでなく、アピールが苦手なんですよ私たち(笑) どうやってお客さまに PR すればいいのか悩んで、情報発信にはつい消極的になってしまって。製品を作るのは正直、とても簡単なんです。販売自体もネットショップがあるおかげで非常に楽になったのですが、効果的なPRで利益を上げていくのが難しくて…。

今年1月には J-WAVE での紹介、2月には東京の「ててて見本市」への出展など、かなり前向きに活動されている印象がありますが…?

うーん。それでもまだ思うようにはアクションできていないと思います。
僕たちなりのペースで少しずつ、知ってもらうためのきっかけ作りに動こうとしているんですけどね。

SNS 更新やイベント出展、カラーミーショップ大賞での受賞… 日頃の地道な活動が、意外なタイミングでメディア露出につながることもありますよね。

そうですね、もっと積極的に露出していかないと…! ほんと、がんばります。
 

目指す最大のゴールは「ブランドの自立」。

新潟県には魅力的な地場産業がたくさんありますが、他の産業と提携することはありますか?

はい。妙高高原にある赤倉観光ホテルさんってご存知ですか? 「一生に一度は泊まってみたい」と言われる高原リゾートの草分け的存在なのですが、そこの館内スパ施設では以前からうちの商品をコンスタントに置いてくださっていて。

先方から声を掛けていただいたんですか。

ええ、せっかく新潟のホテルなので「何か地元の商品を置きたい」と選んでくださって。
県外の宿泊客の方にはちょっと目新しいのか非常に売れ行きがよくて、ついこの間もアイテムの追加発注をいただいたところなんです。

それは嬉しいニュースですね! 何かそういった形で、今後も県内のお店やホテルさんとコラボしていきたいというのはありますか。

もちろん! ぜひしてみたいです、機会があれば。

新潟には、僕たちのように「作るのは得意なんだけど PR が下手」なタイプの人が意外と多いので、ぜひそういう人たちともコラボをしてみたいですね。繊維業にかぎらず、農業や酒造と組むのもおもしろそうだなと思います。
たとえば同じカラーミーのユーザーさんでも、素敵なお店がたくさんありますもんね。

私たちも今後、店長さん同士をつなぐようなお仕事ができれば…と考えているところです。ぜひ楽しみにしていてください!
最後に、つもりプロジェクトさんの今後の目標について教えていただけますか?

一番のゴールはやっぱり、きちんと自立させることですね。ひとつのブランドとして。

5社とか、もはや関係なく?

はい。最終的には「つもり」っていう会社にできるぐらいまで自立させてやりたいです。

近藤さん: そのときは、白倉さんに社長になってもらいましょう(笑)

なんだか夢が広がりますね! 今日は貴重なお話をありがとうございました。