今すぐ試せるレシピ提案で商品力をPR! お麩の新たな魅力を引き出す「富士箱根湧水おふや」のこだわり

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富士箱根湧水おふや 伊丹 大地さん・千尋さん インタビュー

静岡県三島市にある「富士箱根湧水おふや」さん。「カラーミーショップ大賞2017」では、お麩のイメージを変える親しみやすい商品展開とプロモーションが評価され「地域賞」を獲得しました。今回は、主なターゲット層である子育て世代に寄り添った情報発信について、ブランドを運営する三島食品株式会社の伊丹 大地さん・千尋さんご夫妻に詳しく伺います。

まずはお店の成り立ちについて、詳しく教えてください。

千尋さん: はい。私たち三島食品株式会社は、昭和30年代に私の祖父が製麺所としてたちあげたところから始まりました。

開業から50年間は製麺一筋でやってきたのですが、30 年前に地元の製麸工場さんの廃業が決まったのを契機に、私の父が製造設備一式を譲り受けることになりました。

ということは、今もお麩と並行して製麺をされているんですか。

大地さん: いえ、現在はお麩一本でやっています。
製麺って非常に価格競争の激しい市場なんですよね。時代が変化するにつれ大手メーカーさんに太刀打ちできなくなったうえ、製麺設備の老朽化も進んできてしまって。

一昨年に僕が3代目社長に就任し、そのタイミングで思いきって製麺に区切りをつけました。

現在のお麩作りの裏側には意外な事業転換があったんですね…! 今日は商品やネットショップについて詳しく聞かせてください。

たとえ「お麩じゃなくても」手に取ってもらえるパッケージ。

ところで静岡といえばピンク色の麩菓子「さくら棒」が知られていますが、もともとお麩作りには縁の深い土地なのでしょうか。

千尋さん: いえ、特別そういうわけではなかったと聞いています。かつては他県と同様、静岡でも黒糖の麩菓子を作っていたのですが、戦時中~戦後にかけては物資不足の影響で黒糖が手に入らなくなってしまったみたいで。

当時の職人さんが、せめてもの彩りにと麸の生地に食紅を加えたのがさくら棒のはじまりで、自然とピンク色の麸菓子としてこの地域に定着したと言われています。

なるほど。県内では現在何軒ぐらいがさくら棒を製造しているんですか?

大地さん: 今は5軒ぐらいですね。昔はもっとたくさんあったんですけど。

伊丹さんぐらい若い世代の職人さんはいらっしゃいますか。

いないですね。おそらく製麸業全体で見ても僕らがいちばん若いぐらいじゃないかな。ネットで探してみたら全国の製麸業者さんの組合を見つけたので、一昨年僕たちも加入したんですが…「30年ぶりの新規加入だ」と驚かれましたよ(笑)

業界全体で高齢化が進んでいるんでしょうか。

そう思います。
でも、会合に顔を出してみたらちょうど同世代の方がいらっしゃったんですよ! さっそく意気投合して「一緒に頑張ろう!」と。数少ない仲間ができたのはうれしかったですね。

おおっ! それは心強いですね。そんな製麸業界の中で、おふやさんが思う「他社に負けないポイント」はどこですか?

うちはパッケージングにはとにかくこだわっています。今はスーパーに行っても「お麩売り場ってどこ?」状態なので、いかに見栄えよく、キャッチしてもらうかが勝負かなと。

たしかに、意識して探したことはなかったです…。

極端な話、お麩って無くてもどうにかなる食材だと思うんですよ。
でも実は美容にすごく効果的で、お肉代わりに使えたりもする。そういったお麩のよさを今の若い世代に認識してもらうためには、まずは中身がお麩じゃなくても手に取ってもらえるぐらいオシャレじゃないとダメだと思ってて。

たとえばこの「さくらえび麸」なんかは、オリジナルでスタンプを作ってひとつひとつ手押しでパッケージを仕上げています。

かわいい! スタンプはデザイナーさんに発注されたんですか。

千尋さん: いえ、デザインから入稿までわたしが独学で手がけました。自分なりに素材を組み合わせて作っています。

独学とは思えない仕上がりです…! こだわったポイントを教えてください。

全体的に「和モダン&レトロ」を心がけてデザインしました。
商品の特性上、デザインを洋風に寄せすぎるのは無理があると思ったので主に若い世代へのアピールを狙いつつ、上の世代のお客さまにもわかりやすいようにしたつもりです。

ネットショップのデザインにも言えることですが、他の製麸業者さんは老舗が多いのでいかにも和風なパッケージに偏りがちなんですね。だからうちは差別化として、なるべく若い世代の方に興味を持っていただけるようなデザインを目指しています。

たしかに、こんなにオシャレなお麩は他で見たことありませんでした…!

大地さん: 実は「さくらえび麸」や「ころりふ」など “おふや” ブランドとして出している商品は、今のところネットショップと minne でしか販売していないんです。

それはなぜですか?

そもそも卸せるほど大量に作ること自体難しいのですが、いちばんの理由はなるべく自分たちでハンドリングできるようにしておきたいというところですね。オリジナルのブランドなので商品イメージや価格の一人歩きはなるべく防ぎたくて。
既存のお客さまからも卸のご要望は多いんですが、現時点ではすべてお断りしています。

なるほど! ブランドを確実に守るための戦略だったんですね。
 

インスタ映えより実用性重視。オリジナルお麩レシピに込めた思いとは?

そういえば、おふやさんのネットショップにはお麩を使ったレシピが掲載されていますが、あれは千尋さんが作っているんですか?

千尋さん: そうなんです。今は検索すればいくらでもお麩レシピが出てきますが、実際試してみると面倒くさかったり、手間の割には味もイマイチなものが多くて。

市販のお麩の多くは、下ごしらえとして 30 分程度の水戻しが必要になるんですが、今時忙しい人はそんなに時間をかけられないと思うんです。
私自身も子育てをしながら働いているので、正直「こんなのやってらんないよ!」と。

おかず作りはなるべく時短で済ませたいですもんね…。

そうそう! その点 うちのお麩は水戻しが不要という利点があるので、ネットショップでは忙しい子育て世代にも気軽に試していただける料理だけをご紹介しています。だいたい4~5工程にまとまるぐらいのレシピですね。

たとえばこのお麩入りの玉子焼きも、主人のお弁当を朝作ってからバタバタ急いで撮影したものですし(笑)私自身、料理研究家さんみたいに料理が上手なわけではないので、私が作っておいしくできた料理しか載せません。

毎日作ることを考えたら親しみがわきますね。今夜にでも試したくなるというか。

そう、伝えたいのはいかに簡単に作れるかということなんです。
お麩にもっと親しみを持ってもらいたいので、本当に気負わず…こんなんだけど、でもこんなんでいいんですよってところをお客さまに伝えられればいいなと思います。


 

おかず作りの選択肢にいつか「お麩」が加わるように。

今後、若い世代にもお麩の消費を促せるような新しいアイデアはありますか。

大地さん: そうですね、お客さまの中にはお麩のおいしい使い方を知らない人もいらっしゃると思うので、今後はミールキット(※)のような販売形態も検討しています。

※ ミールキット
誰でも簡単に料理が作れるキットの通販・宅配サービス。人数分の料理に必要なだけの食材とレシピが自宅に届く。アメリカやヨーロッパを中心に需要が拡大中。

たとえばお麩って唐揚げにすると非常においしいんですよ。にんにくペーストや醤油などの調味料にレシピも添えたら、初めての人でも作りやすいはずなので。

完成が楽しみです。最後に、お二人の今後の夢や目標を教えてください!

千尋さん: 皆さんにお麩そのもののことをもっと知ってもらいたいです。スーパーに来て「今日は何を作ろうかな?」と考えるとき、お麩が選択肢のひとつに上がればいいなと。

大地さん: まずは実際に見て体験していただければ愛着も沸くし、お麩をもっと身近に感じられると思うんですよね。
おかげさまで百貨店さんから声をかけていただく機会もありますし、今後は少しずつ実演販売や工場見学なども整備していければと考えています。

もちろんリアルなイベントだけでなく、お麩の魅力をネット上でどう伝えていくかも課題のひとつです。
実は最近 Web コーディングの勉強を夜な夜な進めているので、これからは自分たちの手で活発に情報発信できるよう頑張ります。目指せプラチナプランで!(笑)

今日は貴重なお話をありがとうございました!