月800件の受注に対応! ハンドメイド材料専門店「CartonnageArt」のきめ細かな顧客対応

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CartonnageArt 山口 生季代さん インタビュー

フランス発祥の伝統工芸・カルトナージュの材料を中心に、ハンドメイド素材の販売を行う「CartonnageArt(カルトナージュアート)」さん。2017年5月に開催されたカラーミーショップ大賞2017では、顧客ニーズへの的確な対応力や知名度アップのための活動が評価され「ジャンル賞」を獲得されました。今回は、CartonnageArtを運営する有限会社クレアベルの山口 生季代さん(写真右側)に、ネットショップ成長につながる日頃の施策についてお話を伺いました。

専業主婦からの独立・開業、そして趣味との出会い。

ブログを拝見しましたが、山口さんはインテリアコーディネーターとしても活動されているそうですね。

そうなんです。
23才で結婚して以来ずっと家におりましたが、自宅を建てた際のカーテン屋さんにスカウトのような形でお誘いを受け、そこで勤めはじめたのがきっかけです。

その後 2000年にインテリアコーディネーターの資格をとり独立・開業し、オーダーカーテンを中心としたインテリア用品の販売をしてきました。

専業主婦からの就職・独立・開業…! かなりパワフルな経歴に驚きました。そこからカルトナージュの道に進んだのはなぜでしょう。

実は、カルトナージュは開業後に始めた趣味なんですよ。
洋裁、編み物、トールペイントなどなど…学生時代からハンドメイドが趣味だったのですが、開業後の10年は仕事と家事に追われてそんな時間も作れなくて。

でもこのまま仕事だけで人生の後半を終わらせることだけはしたくなかったので、新たな趣味探しを、と。

そこで出会ったのが、カルトナージュだったんですね。

はい! 私の好きな国・フランスの伝統工芸ということにもまず惹かれましたが、組み立てた厚紙に好みの布を貼って仕上げるハンドメイドならではの楽しさに、すぐに「これだ!」とひらめいてワンデーレッスンに申し込みました。

実際にやってみていかがでしたか?

もう、すっかり虜になってしまいました!(笑)
それからは月に一度のレッスン日が待ちきれなくて、自己流でいろいろ作品づくりをしたのですがそれでも物足りず…。

レッスンをさらに増やしたんですか?

いえいえ。どうせやるなら本場でしっかり習いたいと思ったので本業を休んでフランスへ渡り、現地で2人の先生に師事しました。

ものすごい行動力! 先ほどから圧倒されてばかりです。

「おしゃれなお店も材料もない!」
ニッチなジャンルならではの悩みに一石を投じたネットショップ開設

趣味だけにとどまらず、カルトナージュ材料のネットショップを立ち上げたきっかけを教えてください。

当時の日本ではカルトナージュ自体の歴史がまだ浅く、教室探しはもちろん材料を揃えるにもなかなか思うようなものがない状況だったんです。

ネット上でもおしゃれなお店はほとんど見当たらず…きっと他の愛好家の皆さんも悩みは同じだと思いまして。それならば私がということで、インテリアの仕事のかたわら自分でネットショップをはじめることにしました。

なるほど! カラーミーショップはどのようにして選んだのでしょう?

カラーミーのことは、 Web デザイナーさんに教えていただいて知りました!
細かなデザインはその方におまかせで作ってもらいましたが、ネットショップの知識が全くなかった私でも運営できたので、非常にわかりやすいシステムだと思いますね。

ありがとうございます。立ち上げ当初、苦労したポイントなどあれば教えてください!

当初は出荷を外部委託していたのですが、自社で完結させるほうが効率的だったので需要増加に合わせてシステムを作り替えました。

家族やスタッフの手を借りながら発送作業をこなしていたのですが、それでも1日の出荷数には限界があります。やがて商品在庫数も増えてきて、スタッフを増員するにも十分なスペースが確保できないという状況に陥りまして…。

それは…かなり大変だったのでは…!

責任感とガッツのあるスタッフに支えられ、なんとか月400件ぐらいまでは頑張りましたけどね。残業が続き、物理的にもかなり手狭になってしまったので5年目を迎えたころ思いきって現在の広いオフィスに移転しました。

同時に、立ち上げ当初のままだったネットショップも現在のかたちへと大幅にリニューアルし、スタッフも2人から4人体制に拡大しました。
6年目となる今年はさらにスタッフを増やし、5人体制で取り組んでいます。

オフィス移転とスタッフ増員を経て、どんな変化がありましたか?

月800件を超える出荷にも対応可能となり、スタッフひとりひとりのワークライフバランスも大きく改善することができました!
ただ、受注数の増加に合わせて新商品の制作・仕入れを進めているので、移転したばかりのオフィスがまた狭くなってきたのが最近の悩みどころです。

なるほど…! それもある意味、うれしい悲鳴ですね。

広告費はほとんどかけず、愛好家に向けての情報発信を

ネットショップの集客や成長に向けては、どのような施策を打ちましたか。

ブログランキングの「カルトナージュ」コミュニティに参加し、愛好家や興味のある方に向けて作品や情報を発信していきました。

広告などは出稿しなかったんですね。

はい。うちの場合は趣味の世界の商材ですし、不特定多数の方に露出してもあまり意味がありませんからね。なので広告宣伝費は当初からほとんどかけていません。

なるほど! ブログでの情報発信はどれぐらいのペースで行っていますか?

実は、週1回程度が精いっぱいなんです。
多くのアクセスをいただけるのは作品をアップしたときですから、なるべくたくさんの作品画像を載せたくて。ついつい文章が長くなることも多いので、アップに時間がかかってしまうんです。

それでも私たちはハンドメイド材料のショップですから、やはり実際の作品で具体的な商品イメージをお伝えすることを今後も大切にしていきたいですね。

お客さまにとっても制作の参考にできるのはうれしいと思います。ちなみに公式アプリを導入されていますが、こちらは現在どういった運用を?

アプリは設備投資の一環で取り入れてみたのですが、プッシュ通知で新商品のお知らせをするなど、いち早く情報をキャッチしていただけるツールとして展開しています。

気持ちよくお買い物していただく工夫や、リピーターづくりのための施策などありましたら教えてください。

うちでは会員さま向けのメルマガを重視していて、月4回は新入荷・再入荷情報を配信しているほか、入荷状況はSNSでもリアルタイムにお伝えするように心がけています。

それから、ご購入いただいたお客さまには、感謝の気持ちをこめて月替わりのプチプレゼントと、オリジナルのお礼状を添えて発送しています!

箱を開けてみて、思わぬプレゼントが入っていたら絶対にうれしくなりますね。

それこそが私たちのこだわりなんです。
「魅力あふれる商品を、自分が受け取って嬉しい梱包で、自分が受け取って心地いい誠実なメールと共にお届けします」というポリシーを掲げておりまして。

いつも対応に迷ったときは相手の立場になって、自分ならこうしてほしいと思う対応をスタッフ一人一人が意識しています。

「カルトナージュ」のさらなる知名度アップを目指して

山口さんが考える、他店に負けない強みは何でしょうか?

いろいろありますが、ひとつ挙げるとすれば独自アイテムの充実でしょうか。
オリジナルデザインの生地やキット類をはじめ、国内外で製作していただいている金具類など、他のお店では手に入らないアイテムを数多く揃えております。

こういったアイテムを生み出せるのは、他でもなく私自身が愛好家であることが大きな理由かもしれません。「こんなものがあったらいいな」というひらめきを図面に起こして実現したアイテムも多くありますからね。

もちろん私一人の力では成り立ちませんので、日々のスタッフの努力には心から感謝しています。今後はスタッフ全員がさらに楽しんで働ける快適な環境を作っていきたいです!

事業成長の大きなカギは、趣味やスタッフの皆さんへの深い愛情にあるようですね。今後3年間の目標や、ネットショップで挑戦してみたいことはありますか?

カルトナージュのさらなる知名度アップを目指して、コミュニティづくりや出版に挑戦してみたいと考えています!
「カルトナージュ材料といえばCartonnageArt」「ハンドメイド材料もCartonnageArt」と言っていただけるよう、ますますの顧客満足度アップを狙っていければなと。

3年後といえば、ちょうどCartonnageArtをスタートして10年目を迎えますね。
2017年のカラーミーショップ大賞では「ジャンル賞」をいただきましたが、今後はさらに大きな賞の獲得を目標にがんばっていきたいと思います!(笑)

今日は貴重なお話をありがとうございました!