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会社自体はすごく古いですよね。
そうですね。創業400年を超えます。
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馬居さんは何代目になられるんですか?
15代目です。
それはすごい。いつから社長になられたんですか?
社長に就任してからは10年ですね。
長く続いている化学品の事業から、BtoCの事業を立ち上げたのはなぜですか?
基本的にはずっと BtoB が本業ですが、ここ20年の間に、もともとあった工場がだめになったり、立ち上げた工場がだめになったりということがありました。
特に5年ほど前からは、世の中のグローバル化に従って取引先の工場が中国に移転して、国内の生産が縮小されたんです。
取引先の生産ラインが変わっていったのですね。
そうです。我々は国内に向けて出しているし、それを輸出するにしても競争になるので、自分たちの事業が縮小しているという危機感があったんです。
なるほど…。
そうは言っても、5年くらいは大手に向けた営業を続けていました。
でも、なかなか芽が出ないジレンマを感じて、思い切ってなにか違う手法をとらないといけないんじゃないかと思うようになりました。自社で開発して自社で売り切る部分を作らないといけないと。
では、なにができるか?ということを開発チームと話し合っていたんですけど、いいものが出てこなくて。
ある時、一般の女性のお客様から会社に電話があって「硫酸マグネシウムを売ってもらうことはできるんですか?」と聞かれました。
「どのぐらい必要なんですか?」と聞いたら…
100gくらいですよね。(笑)
まあ、小さい数字ですよね。(笑)うちは逆に、工業用の1tなんていう単位で売っているので、その時は売れずに終わりました。似たような問い合わせがポツポツと来るようになったある日、一体なにに使うのか聞いてみたくなりました。
聞いてなかったんですね。
最初は聞いてなかったですね。
聞いてみると、それが「エプソムソルト」と呼ばれて、ハリウッドセレブが美容のためにお風呂に入れて使っていると。
びっくりですよね!
問い合わせてくれる方はエプソムソルトについていろいろ調べて、それが硫酸マグネシウムという別称で呼ばれて、馬居化成がトップメーカーだということに辿り着いたそうなんです。
日本にはエプソムソルトが広まっていなかったんですね。
当時はそこまで広まっていませんでした。それに、BtoBでやっていたので量があまりにも違いすぎて、ピンときてなかったんです。
では、なにがきっかけで?
ある日、誕生日に知人からLUSHのバスボムをもらったんです。その時はLUSHを知らなくって「えーっ!こんなに大きい上に500円もするのか、強烈だなぁ…」と。
匂いも色も独特ですよね。(笑)
あれはイギリスから来たものですよね。発想が違うとハンドメイドでこんなものが作れるのかと驚きました。入浴剤って、自分の頭の中では、花王さんのバブのようなもので、大手企業がやり尽くした世界だという思い込みがありました。今から中小企業が参入しても、成功できるようなもんじゃないと。
でも、LUSHを見てから「発想を変えたらいけるんじゃないか」と思うようになりました。
入浴剤にも付加価値がつけられると。
他にも小さい会社が独自性を発揮して成功している事例を見て、おもしろいなぁと。バルミューダの扇風機なんかもそうですよね。小さな会社でも家電業界に参入して。
確かにそうですね。
そこでようやく、本業の素材を使って入浴剤を作ってみようと思ったんです。ただ使うだけの入浴剤ではなく、想いを込めた製品ができるなら価値があるんじゃないかと。
それで、バスボムを作りました。
バスボムにはどんな想いが込められているんですか?
とにかく世の中になくておもしろいもの、癒しを感じてもらえるものをと。エプソムソルトとしての効果の面でも、まじめにMADE IN JAPANのしっかりしたものを作りました。
なぜカラーミーショップでスタートしたのですか?
最初からECサイトで売ろうと思っていました。小売店という発想はなかったんです。
ネットショップは社内で作られたのですか?
大枠のデザインは私が考えて、後は地元の制作会社にお願いしました。
カラーミーを選んでいただいたのは、その制作会社さんなんですね。
そうですね。もともと馬居化成のサイトを作ってくれていた会社です。ローカルの小さな会社なんですけど、細やかでセンスもよく新しい技術にも明るいので信頼しています。彼らにカラーミーを勧められて知りました。
こういうサイトにしたい!という希望はあったんですか?
ギャラリーのようにしたいと言いました。単純に商品を並べるのではなく、商品の世界観や背景を説明するサイトにしたかったんです。
旗艦店を作ろうと思ったのはなぜですか?
ネットショップだけ作っても、最初はなんの人気もなくてぽつぽつしか売れないですよね。そんな中で、地元でアパレルの小売店を経営している遊び仲間の一人が、「僕に扱わせてください。店舗で売ります!」と言ってきて。
「そんなん売れんやろ!」とは思ったのですが(笑)置いてもらうことにしました。
小売のことはまったく考えてなかったので、「まず、どういう仕組み?」から始まって、「委託と、買取があって…」と教えてもらって。
そこからですか!
「一般的にはこれくらいの掛け率で…」「ふんふん」とかって言いながら。(笑)彼が小売店としては第一号でした。
そのうち、入浴剤が新聞などに取り上げてもらえるようになり、渋谷の大手小売店さんから取り扱ってみたいという連絡がありました。
徳島から渋谷へ大躍進ですね。
それが、どう考えても渋谷の方が売れると思っていたのに、結果が逆だったんです。
お友達の店舗の方が売れたんですね。
商品設計やブランド認知力のなさなど、うちが至らなかった点はあります。
でも、その時に思ったのは「売りたいと思っている人がちゃんと説明をすれば売れる」ということです。
その出来事と、ウェブが主体なので、手にとって香りを試せないという欠点を補いたい気持ちがあって、ショールームが欲しいなぁと思いはじめたんです。
どのようにしてNEHAN TOKYOという形に行き着いたのですか?
いろんな仲間が繋がって「こじんまりしたショールームじゃなくて、小売店としてちゃんと成立する形にしないと難しいですよ」とアドバイスがありました。
開店の時も「オープ二ングパーティは一番大事だから派手にやらんといかんよ」と言われて、仲間からPRの方を紹介してもらって。
すごく派手でびっくりしました!とても綺麗な方がたくさんいらっしゃって。
PRの方が招待状を出してくれたんです。(笑)
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先ほどから伺っていると、ビジネスに通じる遊び仲間が多いんですか?
NEHAN TOKYOに関することは、ほとんど僕の遊び人脈からできたものです。
インスタグラムを拝見させていただいたんですけど、なんだか、楽しそうでした。(笑)若い方がたくさん写っていて。
仲間が多いんですよ。
みなさん、地元の方ですか?
海の写真は地元ですね。(笑)
お仲間のみなさんの年齢は、上から下まで色々な方がいらっしゃるんですか?
僕が一番上になるケースが多いんですけど、下が下を連れてくるみたいな感じです。
遊び仲間といっても、やっぱり異業種交流の中で、地元で経営をしているような仲間やビジネスに関わる人脈の中から「前向きだな」とか「気が合いそうだな」と感じる面白そうなやつが、なんとなく「一緒にゴルフをしよう」などという話になっていくので。
マインドは一緒なんですね。
そうなんです。
BtoBでやっていたうちの親父もちょっと変わったところがあって、完全なる遊び相手じゃないにしても上場企業のお偉いさんと交流して、飲みに行ったりゴルフしたりする中で、新しい仕事の糸口やヒントをもらって仕事に繋げていくということがよくありました。
そういうのは、営業としてちゃんとやらないといけない。
…という親父がやっていたことを、僕はかんっぜんな遊び仲間でやっているという感じです。(笑)
遊び仲間から派生した方々と仕事を形にしていく。人と人のつながりの大切さを感じました。今日は地方企業さんたちにとって、とても参考になるお話をたくさん聞くことができました。
よかったです。地方にも良い企業がたくさんありますので、一緒に頑張っていきたいですね。
今後の展開も期待しています。楽しいお話をありがとうございました!
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