唯一無二の世界観!メディアでも話題の「邪悪なハンコ屋しにものぐるい」が人気を獲得できた理由

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邪悪なハンコ屋しにものぐるい 店長 伊藤 康一さん インタビュー

東京・谷中銀座商店街にある「邪悪なハンコ屋しにものぐるい」さん。2011年に販売を始めた個性的なキャラクターハンコが話題になり、「カラーミーショップ大賞2014」では特別賞受賞、「ぶらり途中下車の旅」ほか多数TV番組で取り上げられるなど、注目を浴び続けています。今回は店長の伊藤 康一さんに、ショップ立上げから商品・キャラクターにかける熱い思いを伺いました。

下町風情あふれる「谷中銀座商店街」。入り口の階段「夕焼けだんだん」を降りるとすぐ、左手にお店の看板が見えてきます。

店舗開店の際、この場所を選んだ理由があれば教えてください。

最初は下北沢にお店を出そうと思っていたんですが、ちょうど商品を置いてもらっているお店が下北沢にあったので、それ以外で探していました。
その時にたまたま知り合った青空洋品店というお店をやっている方が、谷中でお店をやっていて、「谷中はいいところだよ。」と言われたのがきっかけです。
最初はこの商店街から一本裏手のところでオリジナルTシャツの販売をはじめました。

そうだったんですか。そこから移転されてきて。

はい。なかなかうまくいかなくて悩んでいるときに商店街の物件に空きが出て。
実際、店舗移転は賭けのようなものでした。普通はそういうギャンブルって失敗すると思うんですけど、運良くうまくいきました。
お店を表通りに移転させたおかげで、嬉しいことにお客さんも増えてくれて。

ずらっと並んだハンコを目の当たりにすると壮観です。

そうなんですよ。いつの間にか500種類を超えちゃって。

(お店の奥から)ひょっこり。

わ!ネコさん!

うちの看板ネコ「伊藤ネコ」です。

クラウドファウンディングできぐるみをつくられたんですよね。

はい。「会いに行けるゆるキャラ」としてつくりました。
この谷中銀座商店街のおかげでうまくいったと思っているので、ちょっとでも貢献できたらと思います。
まぁ、街はじゅうぶん賑やかなんですけどね(笑)

伊藤ネコさんも、今日はよろしくお願いします!そして、私もハンコが欲しくなってきました。

30分でできるので、インタビュー中にできあがると思いますよ!つくられますか?

じゃあ、おねがいします!

かわいい引換券をいただきました。30分ほどで完成するので、商店街でお買い物している間にできるのも魅力です。

お客さんの要望に振り回されず、「自分がいいと思ったもの」をつくる。

これだけたくさんのハンコ、アイデアやデザインはどうやってつくっているんですか。

アイデアは次から次に出てくるので、そんなに苦労はしていません。良さそうなものを思いついたらストックして順次つくっています。

かわいくてちょっぴりシュールなキャラクターが特徴的ですが、ハンコやTシャツの柄を新しくつくる際に、「これだけは守る」といったルールはありますか。

いちばん大事にしているのは、自分がいいと思えるかどうかです。もちろんお客さんからの要望も受け入れないわけではないですが、八方美人にはならないように、「好きだと思ってくれる人だけが買ってくれればいい」と思ってやっています。

あえて狙わない。

万人受けするより、100人中99人に嫌われても1人にめちゃくちゃ響いてくれるほうが良いと思いながら、つくっています。

そういった意思が個性的なオリジナルキャラクターづくりの根底にあるんですね。そもそも、どんな経緯でオリジナルTシャツやハンコの販売を始められたんでしょうか。

やりたいことが見つからなくて苦しんでいたフリーター時代に、クリエーターさんたちが出展しているイベントへ出かけました。そこでオリジナルTシャツをつくって販売している方がいたんです。
すごい面白いTシャツがあって、買いたかったけどその時は在庫切れで買えなかった。ホームページを見ていたら、どうやらその方、Tシャツで食べているみたいで。
「これなら自分もできるかもしれない!」となぜか根拠のない自信が湧いてきて、自分もTシャツ屋を本当に始めてしまいました。

始まりはオリジナルTシャツ販売だった。

はい。うまくいくかどうかわからないけど、とにかくやってみよう!と思って。
ここで僕の運がよかったのは、こうして好きな仕事を見つけられたことです。
朝起きて寝るまでずっとやっていても苦にならないことを見つけられるかどうかが重要な気がしています。

伊藤さんの言葉の端々から、心から楽しんでいることが伝わってきます。

ネットショップ運営のことについて、お話を聞かせてください。ショップデザインも含め、最初はお一人で回されていたんですか。

そうですね。最初は全部ひとりでやっていました。今はスタッフも増えて、みんなで分担できて、ありがたいことにだいぶ楽になりました。

ネットショップを始めるにあたって勉強したことなどはありますか。

実はフリーターをしていた頃に、趣味でホームページつくったり、一眼レフで写真撮ったりしていました。フリーペーパーの原稿をつくるアルバイトもしていたので、デザインツールも使えるようになっていて。
ちょうどネットショップをやるために必要な知識がすべて身についていました。これも運がよかったです。


邪悪なハンコ屋しにものぐるいネットショップTOPページ

ちなみに、カラーミーショップはどうやって知りましたか。

ネットショップをやっている知人がショッピングカートを変えたというので見てみたら、すごい使いやすそうで。それで教えてもらったのがカラーミーショップです。
自分でも調べて、サイトでやりたいと思っていたことがほぼできて、費用も抑えられて、自分の希望にいちばん合うと思いました。

ありがとうございます!

 

 
(お店のカウンターを見て)

そろそろ、ハンコができあがったかな。

どうぞ。

わぁ、かわいい!ありがとうございます!

これもプレゼントしますよ。

すごい!絵本だ!

購入してくれた方にオマケでつけているものです。ちなみに、中身は「僕が言いたいことを言う。描きたいことを描く。」というのがテーマです。

「前例がなければ、あなたが前例になりましょう。」という言葉にハッとさせられます。

プロボクサー時代の同じジムの選手が、負けたこともない、ダウンすらしたことないチャンピオンからダウン奪って勝ってチャンピオンになったんですよ。
前例がなければ自分がつくればいいんだ!と強烈に感じたことを覚えています。その気持ちを無駄に入れてみました。(笑)

プロボクサー時代…?

僕、大学時代にプロボクサーになっちゃったんです。

ボクシングをやっていたんですか!?かわいいキャラクターからは想像がつきません。

中学のころに「明日のジョー」を友達から借りて読んで。だいたい男ってみんなそういうものに憧れる時期があると思うんですけど、憧れだけで終わらせずに、実際にはじめてしまいました。
でも挫折して7年ほどフリーターをすることになります(笑)

その期間を経て、Tシャツ販売を始められたんですね。
そうなんです。

将来は、一日中みんなが楽しく過ごせる「伊藤ランド」をつくりたい。

今後、今とは異なる形態のビジネスやジャンルへの興味はありますか。

今やっていることの延長を続けていくと言うよりも、新しい、いろんなことをやってみたいと思っています。たとえばネットでも物販でもなく、飲食店でも面白そうですよね。

飲食事業にもご興味があるんですね。

いつかやりたいですよね。理想としては3階建てくらいのビルを建てて、自分がやってみたいお店がいろいろ入っていて。かき氷屋だったり、子ども写真館だったり、いろんな業態のお店が。
お客さんがそこを目指してやってきてくれて、一日楽しめるような場所をつくるのが夢です。「伊藤ランド」です。(笑)

過去のお話から今後の展望まで、今日は本当にありがとうございました!