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東京・中野にある町のパン屋「ブーランジェリールボワ」3つのこだわりパン

東京の中野にお店を構える「ブーランジェリールボワ」(以下、ルボワ)は、地域の人々に愛されるパン屋さんです。物語に出てきそうなあたたかい雰囲気の店内に入ると、ちょこんと行儀よく並ぶパンたちがおでむかえ。

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お店を切り盛りする奥さんの森葵さんが、開店時に特にこだわったという対面式の棚に、旦那さんの森朝春(もり ともはる)さんがつくるパンがずらり。フランスで3年修行を積み、開店してから10年。今では町には欠かせないパン屋さんになりました。
今回は、よりどりみどりなパンのなかからルボワおすすめの3つを、葵さんに選んでいただきました。

ハード系パンのデビューに。「クランベリーノワ」

どれも美味しそうなのですが、特におすすめのパンを教えてください。

まずは、ハード系のパンのひとつである「クランベリーノワ」。
お店をオープンした当初、ハード系のすごく固いパンばかりだったんです。ナイフを使って切り分けないと食べられないくらい。そんなの、毎日食べようと思うには、すこしハードルが高すぎると思ったんです。
そこで私が「ハード系のパンに、何か食べやすい具材を入れたい。あ、私ナッツとクランベリーが好きだから、それを入れてみて」と提案したんです。

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クランベリーは葵さんからの提案だったんですね! 葵さんのアイディアが旦那さんに採用されることは、よくあるのでしょうか?

よくあるわけではないけれど、私が試食していないパンが店頭に並ぶとすごく怒りますね。

そうなんですね……!

一番お客様に近くて、だからと言ってパンに関するど素人でもないから、思ったことを素直に伝えるようにしています。クランベリーノワは意見が採用された一例ですね。
具材に加えて私が提案したのは、ハード系のパンを食べ慣れていないひとでも親しみやすい、ハード系デビューのパンになるような自家製酵母のパンにしてほしいということでした。ナイフなしで、歩きならポリポリ食べられるやつがいいなって。

たしかにハード系ならではの食感を楽しめつつ、クランベリーとナッツもたっぷりはいっているので風味もよくて、食べづらさを感じません。

この形は馬蹄形(ばていけい)と言うんですが、フランスではポルト・ボナーと言って、幸運を呼ぶお守りのかたちなんです。最初はまっすぐの棒状だったんですけど、それだとつまらないなと思って、この形にしました。

お店の看板商品「クロワッサン」

次におすすめなのは、クロワッサンですね。

はい。夫にとっては、パン屋として大きな分岐点になったパンです。

旦那さんが、修業中にパリで食べたクロワッサンに衝撃を受けた、とうかがいました。

パンの中でも特別な存在なんだと思います。クロワッサンのでき次第で、彼の機嫌が変わると言っても過言じゃないくらいですよ。うまくできた時は、いい顔しているからすぐ分かるんです。「今日の、良いよ。見て」って。そのぐらい思い入れがあります。
その証拠に、クロワッサンだけは、今までにうちを卒業してきた職人さんの誰にも、生地を折らせないんです。

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へぇー! クロワッサンだけは、という意思があるのですね。

パリに「ポワラーヌ」という有名なパン屋さんがあるんですが、そこでつくられた、朝一のできたてのクロワッサンを食べたんです。そうしたら、実家の金沢のパン屋を継げばいいかなと思っていた夫が、パリで3年修行して東京に出店しちゃうくらい心変わりしたんですから、すごいですよね。

葵さんはそのクロワッサンは食べたんでしょうか?

えぇ、一緒にいたので、私も食べました。もちろんすごくおいしかったんですけれど、彼の衝撃がそこまでとはその時は分かりませんでしたね。

バターの香りがやさしくて、サクサクでおいしいです。

本当? 彼にそう伝えておきますね。

パン職人の腕が分かる「バタール」

3つ目は、こちらですね。

これはバタールです。バゲットと見た目が違うだけで、生地に使っている素材は同じです。

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バタールは太っちょなので、中のふわっとした部分を楽しめます。バゲットは細長いので、カリッとした食感。皮のパリパリした部分が好きな方にはバゲットをおすすめしますが、日本でよく食べられているパンはやわらかいものが多いので「バタールのほうがふわっとしていて」と話すと、こちらを選ばれる方が多いです。

先ほどうかがったお話のなかで、バゲットを指差して「フランスパンください」と言う方がたくさんいたというエピソードが印象的でした。

そうなんです、つくっている側からすると「どれもフランスパンだけど!?」という気持ちでした(笑)。最近はバゲットという言葉が浸透してきたようで、うれしいですね。

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シンプルだからこそ、バゲットとバタールはパン屋さんとしての一番の腕の見せどころという気がします。

そうですね。粉と水と塩だけでつくるので、味や食感は、完全に技術次第なんです。甘くしたりしょっぱくしたり、味をごまかせませんからね。一番シンプルで、基本のパンだからこそ、本格的なバタールはご家庭ではつくれないと思います。

町のパン屋さんとして地域の人々のためにパンを焼く

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取材中に来られた方々、みなさん近所の方のようでした。

今日は平日ですから、このあたりに住んでいる方々が多いですね。と言っても週末は遠方にお住まいの方もたくさんいらっしゃいます。私たち、もともと田舎者だから都内でも、いい意味で少し垢抜けないこのあたりの雰囲気が肌に合っているんです。出店するときに、ピタッと当てはまった気がしました。

生活圏内に行きつけのパン屋さんがあるというのは、すてきですね。

パリで暮らしていたころに、パン屋は本来町のものだという意識が芽生えました。だから私たちも、できたてのパンをまずは地元の方々に食べていただきたいと思っています。

このお店のこと

ブーランジェリールボワ

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住所: 東京都中野区弥生町2-52-4


電話: 03-3229-8015
営業時間: 9:00~20:00
定休日: 毎週月曜日、第2・第4火曜日
公式サイト: http://boulangerie.shop-pro.jp/

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これからの暮らしを考えるウェブメディア「灯台もと暮らし」さんでは、さらにルボワさんに詳しく迫るインタビューを掲載しています。あわせてチェックしてみてくださいね!

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