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ビーカーがコーヒーカップに変身! 清澄白河から実験器具のユニークな使い方を発信する「リカシツ」さんの話

[prologue:description=昭和8年創業の老舗企業・関谷理化株式会社。そのアンテナショップ「リカシツ」さんでは、実験に使われる「理化学ガラス器具」を、暮らしになじむ新しいインテリアとして再提案しています。今回は、カラメル編集部が清澄白河にあるアンテナショップに訪問して、どんな想いでスタートしたのか背景について詳しく伺いました。:image_path=https://calamel-wordpress.s3.ap-northeast-1.amazonaws.com/contents/uploads/2016/03/18182546/IMG_9027_original.jpg]

リカシツさんの商品については、こちらのレポートをどうぞ!

理系男子の心をくすぐる!実験用ガラス器具のインテリア活用術を教えてもらいました。

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熟練の職人さんたちが作る「理化学ガラス器具」って?

まずは、理化学ガラス器具がどういったものか教えてください!

理化学ガラス器具っていうのは、たとえば大学の実験研究、それから製薬会社さんの研究所、そういったところで使われているガラス器具全般のことですね。

お話をしてくれたのは関谷理化株式会社 営業部部長・猪野和雄さん。

お話をしてくれたのは、関谷理化株式会社 営業部部長・猪野和雄さん。

理科の実験で使った試験管やビーカーなんかでしょうか…?

まさにそれです!

実験でおなじみの理化学ガラス器具を関谷理化さんは作られているんですね。

はい。会社としては、理化学ガラス器具の製造販売のほかに加工なんかもやってます。たとえば大学の先生たちが「ここをちょっと曲げてくれ」とか「ここを10cmだけ切ってくれ」とか要望があるとき、わたしたちのガラス職人さんが加工してあげるんですね。

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なるほど!細かな要望に応じて職人さんが加工してくださるんですね。

そうそう。たとえば、ここに置いてある大きな理化学ガラス器具。

大きいですね、見たことのないかたちをしています。

左が揮発性のものをいれて実験する器具で、右が標本を入れて置いておく瓶。これなんかも、ぜーんぶ職人さんの手作り。今はもうこれを作れる職人さんがいなくなっちゃったので、うちの会長に言わせると車1台買えるくらいの値打ちがあるんですよ。

これ1つで車1台か…。すごいなぁ。

大きな理化学ガラス器具。車が買えるほどの値打ちなんだとか...!

リカシツさんの2階に展示してある、大きな理化学ガラス器具。

理化学ガラス器具のメーカーが、なぜアンテナショップをはじめたの?

高品質な理化学ガラス器具を、なぜ一般の方へ届けようということになったのでしょう。

2年くらい前からかな。「試験管に花を入れたい」「ビーカーを飾りたいんだけど、どこで売ってるの?」そんな声が日増しに多く集まるようになってきたんです。

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言われてみれば、ビーカーやフラスコが雑貨屋さんに並んでいるのは見たことがありません。

まあ当然のことなんです。うちは学校とか病院とかにしか、もともと卸していなかったので。それで「一般の人たちが気軽に理化学ガラス器具に触れてもらえる場所を作れないだろうか?」という想いで、2015年4月にアンテナショップを始めたんです。

まだオープンしてから1年なんですね。

そうなんです。だけどリカシツがオープンする1カ月前、500mもないところにブルーボトルコーヒーさんができて。一気に清澄白河という街が話題になったんですね。

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今やコーヒーの街として大注目を浴びていますね、清澄白河は。

うん。そのおかげもあってたくさんお客さんが来てくださって。ちなみにブルーボトルコーヒーさんも、あと近くにあるアライズコーヒーさんも、うちに来てくれたりします。

ご近所のお店と一緒に街を盛り上げていってるんですね!

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観光という面で清澄白河は強みを持った街ですが、他に候補地はなかったのでしょうか? 若い人が多いところですと、渋谷とか…。

うん。アンテナショップを出すにあたっては、何箇所か都内で候補があったんですけど。江東区は昔からガラスの職人さんが多い街なので、その職人さんと一緒にいろんなものを提供していきたいなということで、清澄白河に決めました。

昔からの職人さんの街だからこそ、清澄白河を選んだのですね。

取っ手の付いたビーカーに、苔テラリウムづくり!お客さんのアイデアから生まれた使い方

今日も平日ですが、たくさんのお客さんでにぎわってますね。

そうですね。コーヒーの街としてにぎわう前から、近代美術館とか古本屋さんとか文化的で魅力あふれるお店が多い場所ではありました。それが、ブルーボトルコーヒーさんの登場でますます観光スポットとして活気づきましたよね。

若い人はもちろんですが、ご年配の方もいらっしゃいますね。

うん。スカイツリーが近かったり七福神めぐりのコースでもあるからかな。

ふだんお店にはどんな方がいらっしゃいますか。

そうだなぁ。東北から九州まで全国からお客さんがやってきます。最近は外国の方も多いですね。割合でいうと80%くらいが女性でしょうか。年齢は10代後半から80歳まで、本当に幅広い層の方が訪れます。

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観光のお客さんが多くいらっしゃるんですね。

それ以外だと、これからカフェを始めるっていう人が来られたり。こないだなんか理科の先生が買いに来たりしました。学校も今はそんなに実験をやらないみたいで、塾で教えるために器具が必要になったから、って買いに来てくれるんです。

先生も訪れるんですね!ほかにおもしろいお客さんのエピソードなんかありますか?

うん。けっこう前に、若い男の子が「ここで買ったビーカーでコーヒーを飲もうとしたら熱くて持てない。何か考えてくれませんか?」って飛び込んできたんですね。

ほう…。

まだオープンして2カ月くらいだったかな? それでうちの職人と相談してビーカーに取っ手を付けてあげたんです。そしたらそれが非常に好評をいただいて。

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ビールジョッキみたいですね!

そうそう。それで「手も付けたから、足も付けようじゃない。」ってなりまして、そのあとワイングラスも作りました。(笑)まあ、ちょっとした遊び心ですよね。

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これはおもしろい!ほかにもユニークな取り組みは何かされてますか。

最近スタートしたんですけど、ショップの2階を使ってワークショップをやってます。たとえば試験管を使って万華鏡を作ったり、苔テラリウムやアクアリウムを作ったり。

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内容もかなりユニークなんですね。

ワークショップをきっかけに、少しでも理科に興味を持ってもらえたらという想いでやっています。コーヒーとか飲料関係のワークショップもいつかやってみたいですね。

そういった展開をするにも、この場所はコーヒーのお店も多くて、コラボなどやりやすそうです。

インテリアに活用しやすい理由は、理化学ガラスの3つの特長にありました。

メディアの掲載数がかなり多い印象をうけたのですが…。

多いですねー。最初は、アド街、モヤさま、朝イチ…テレビが多かったんです。そのあとは新聞で「こういうおもしろい店があるよ」って載って、それから各種雑誌。

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メディアには、どういった切り口で紹介されるんですか?

さまざまあるんですけど、理化学ガラスの素材の良さっていうのが3つあって、その特長をいかした活用法を取り上げてもらっているね。

理化学ガラスの素材の良さ…?

1つ目は「安心・安全」。実験しているときに試験管から内容物が出てしまったらデータが狂っちゃうので、そこらへんの窓ガラスなんかとは作りが全然ちがうんですね。だから食品の保存・保管にもおすすめ。

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2つ目は「耐熱性」。電子レンジとかオーブンとか基本的に使える。たとえばミルクもそのままレンジでチンできちゃう。耐熱性はどれくらいかというと、最高使用温度で230度〜500度くらい。それがふつうの窓ガラスだと80度で割れちゃいます、熱湯かけたらピッと割れちゃう。

ほうほう。丈夫で安全だからお料理にも使える!

そう。で3つ目は「加工性」。切ったり曲げたり加工性が高いので、さっきのマグカップやワイングラスみたいなオリジナル製品も作れちゃう。

なるほど。こういった特長をいかして作られた器具なんですね。

うん。たとえばアクアリウムとかって容器を水で洗っていくうちに雑菌が繁殖して、魚たちが弱ってしまうんですって。じゃあ「理化学ガラス器具は?」っていうと「熱湯消毒できるので安心ですよ」っていえるんです。そういうメリットに最近気がついたんです。

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3つの特長を考えると、アイデア次第で活用法もどんどん広がりそうです。

リカシツさんの、これからやりたいことを教えてください。

今アンテナショップにある理化学ガラス器具は何種類くらいですか。

うーん…600種類かな。

ろ、600…!?

これでもほんの一部なんだよ。あんまりヘンテコなモノをアンテナショップに置いても「何に使うの?」ってなっちゃうからね。

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さすが歴史あるメーカーさんです。

これは裏話になるんだけど、実は理化学ガラスを作れるメーカーっていうのは、世界で4社くらいしかないんですよ。

たったの4社! なぜでしょう?

とにかく、ものすごい技術が必要なのが理由のひとつです。

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理化学ガラスは、1200度くらいになると飴みたいにやわらかくなって、1700度くらいになると溶ける。1200度から室温に戻るまでの長い時間があるから、いろんな加工ができるんですね。

ふむふむ。

ところがふつうの窓ガラスっていうのは、やらかくなるのは70度くらいで、溶けるのが500度くらいかな。だから加工しようと思ってもあっというまに加工できなくなってしまう。

なるほど。

高品質な理化学ガラスを作るのは、加工するための「技術」とよい「素材」がないといけないから、本当にむずかしいんです。

今後リカシツさんがやっていきたいことなどありますか?

(小声で)…いーーーっぱい、ある。

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(小声で)…こっそり教えてくれますか。

うん。大きくやりたいことはね3つかな。

3つ。

まずね、子どもさんたちの理科離れをどうにかしたい。ワークショップであったりアンテナショップの存在が、理科そのものに対して興味をもってもらうきっかけになったらいいなと思ってます。

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ワークショップで子どもさんたちが来られたとき、反応ってどんなかんじですか?

もう大変ですよ!とーっても喜んでくれる。学校で実験をやらなくなってきているから、自分の指で石や砂を触ったり花を触ったりっていう体験が新鮮みたいね。ワークショップが終わったあと何度も来てくれたりするよ。

それはうれしいですね!

それから、ガラスの職人さんたちが高齢化してるんですね。わたしの知る限り日本でNo.1だなという人はもう80歳です。そういった方々でさえ、製造工程が機械化されてきてお仕事がすこーしずつ減ってきている。だから職人さんと一緒に新しい需要を作っていきたいなあというのも考えてます。

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ほうほう、職人さんと一緒に新しい需要をつくるのが、2つめ。

最後3つめは、リカシツなりにいろんなお客さんの声を聞いて、新製品というのかな。まったく新しい使い方みたいなものを提案していきたいと思ってます。

3つとも方向性が違って、どれも夢が広がりますね。

楽しみでしょう? ああそうだ。四谷に「インキュベータ」さんっていうお店あるの知ってるかな?

初めて聞きました!

野村さんっていう30代くらいの男性がやっていて、ちょうどこのくらいの広さかな? バーなんだけども。店の雰囲気がね…まるで理科室なんですよ

へえー!

ワインはビーカーで、デカンタはフラスコ。(笑)

おおおおー!!

おつまみのスルメは、アルコールランプと網が出てきて自分で焼くの。

最高じゃないですか!!!

でしょう? そんなお店もあるんです。今週の日曜日も野村さんが遊びに来てくれたりしてね。こういうおもしろいお店が、これから増えていったらうれしいなあと思ってます。

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リカシツさんの商品については、こちらのレポートをどうぞ!

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今回ご紹介したショップ
リカシツ
江東区・清澄白河にある理化学ガラス製品のアンテナショップ。インテリアとして新しい使い方の提案やワークショップを展開中。
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